「【”ジェネリック九龍城砦に住むクローン嬢の恋。そしてレモンチキンの味。”今作は、どこか懐かしさを漂わせる”常夏”の九龍城砦で生きる娘と男の少し切ないSFラヴファンタジーである。ラストの趣も良い。】」九龍ジェネリックロマンス NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”ジェネリック九龍城砦に住むクローン嬢の恋。そしてレモンチキンの味。”今作は、どこか懐かしさを漂わせる”常夏”の九龍城砦で生きる娘と男の少し切ないSFラヴファンタジーである。ラストの趣も良い。】
■懐かしさ溢れる街・九龍城砦の不動産屋で働く鯨井令子(吉岡里帆)は、毎日7:00時に起き、スイカを斬り煙草を吹かしながら小さなベランダでスイカを食べる。そして勤め先の不動産屋へ出社する。
そこで働く、元気のよい先輩社員の工藤発(水上恒司)と毎朝タイムカード通し競争をしながら、彼に少し恋をしていた。
工藤は、鯨井といつも同じ水餃子屋で食事をしていた。ルーティーンの様に、テーブルの上の調味料の位置を動かしながら。
令子は、九龍で靴屋を営む楊明(梅澤美波)、バイトをする小黒(花瀬琴音)という知り合いもおり、九龍で流れる日常に満足していた。
ある日、工藤と立ち寄った金魚茶館の店員タオ・グエン(栁俊太郎:珍しくまともな役。)に工藤の恋人(吉岡里帆:二役)と間違われる。さらに、令子が偶然みつけた1枚の写真には、工藤と一緒に自分と同じ姿をした恋人が写っていた・・。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・ご存じのように、九龍城砦は今はない。だが、今作では蛇沼(竜星涼)が仕切る蛇沼製薬が開発した謎の円盤により、ジェネリック九龍城砦が描かれている。
その再現度合いがナカナカである。
狭い路地の中、多数の店と人がひしめき合い、生きているのである。
その中で、工藤と鯨井は部屋のメンテナンスをし、食事をし、行きつけの金魚茶館でお茶を飲み、お爺さん(嶋田久作)たちと麻雀をし、木片を二個投げて占いをするのである。
・だが、徐々に鯨井は、工藤が且つて恋をし、今はいない恋人のクローンである事が明かされて来る。違いはイヤリングがあるかないかである。又、鯨井だけではなく、九龍城砦全体が、蛇沼製薬が開発した謎の円盤による、ジェネリック九龍城砦である事も分かって来る。ジェネリック九龍城砦で暮らす人々は、その敷地から出ると消えてしまうのである。
■鯨井は、工藤の想いが作り上げたクローンである事が徐々に分かって来るが、彼女にその自覚はない。
だが、鯨井の想いが自分ではなく、居なくなった彼女にある事にも気付いて行くのである。少し切ない。
だが、工藤は鯨井と過ごす中で徐々に彼女に恋をして行くのである。そして、二人は初めて同衾し、朝を迎えるのである。
そして、二人は手を繋ぎ、木片を投げ一つが上向き、一つが下向きである事を確認し(香港の占いです。)、ジェネリック九龍城砦を飛び出るのである。
だが、工藤が気が付くとそこは何もない広大な原っぱなのであった・・。
そして、場所は東京に移る。
工藤は行きつけの店で、レモンチキン定食を食べている。すると、スーツケースを転がす音が聞こえてくるのである。それはジェネリック九龍城砦と共に消えたはずの鯨井であり、彼女は工藤の座る席の真向かいの席に座り、レモンチキンを食べながら微笑むのである。
そんな二人が居る店の外には、常夏のジェネリック九龍城砦では、見た事がなかった粉雪が降って来るのである。
そう、二人はジェネリック九龍城砦での関係から、クローン鯨井の工藤への想いが強きために、人間鯨井として復活し、新たなる真実の恋の道を歩み始めるのである。
<今作は、どこか懐かしさを漂わせる”常夏”の九龍城砦で生きる娘と男の少し切ないSFラヴファンタジーなのである。
ラストの展開も、嬉しき作品である。>
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