「こういうお父さんは素敵」ドリーミン・ワイルド 名もなき家族のうた talkieさんの映画レビュー(感想・評価)
こういうお父さんは素敵
<映画のことば>
「確かに息子さんには才能がある。
しかし、音楽で成功するのは、ほんの一握りの人ですよ。博奕と同じだ。」
「博奕じゃない。これは投資だ。妻と私は、子供と家族のために投資をしている。家族を信じられずして、何が信じられる。」
最初は趣味的に(?)音楽を楽しんでいた、農家として暮らしていたジョーとダニーの兄弟ー。
その仲の良かった兄弟たちが、家族の外側にいるに過ぎない「音楽プロデューサー」とやらに、ある意味、振り回され、翻弄され、そして、疲弊し、兄弟としての関係性までをも失っていく姿が、とてもとても胸に痛い一本でした。評論子には。
昔むかしの楽曲のリリースを持ちかけられるという周辺からの「揺さぶり」に揉まれながらも、兄や父親との関係性を見直してゆくドニーの姿が、何とも胸に温かい一本でもありました。
そして、本作のドンのように、家族がそんな境遇に置かれても、ひたすらわが子の才能を信じる父親は、世の中に、そう多くはいないだろうと思います。
音楽に対する温度差(?)から、いったんは「ケンカ別れ」のような形になったジョーとダニーの兄弟が、最後の最後には再び兄弟としての関係性を取り戻すことができたのは、そういう父親との絆(きづな)があってこそという思いも、独り評論子だけの感慨ではないこととも思います。
本作は、邦題そのもののとおり、味わい深い「家族の物語」と評すべき一本でしょう。
評論子が、映画を観続けることを通じて、いわば「映画のライフワーク」として追い求めている「良いお父さんが登場する映画 ザ・ベスト」のラインナップに、久々に加えることのできた一本としても、秀作としての評に値するものだったとも、評論子は思います。
<映画のことば>
夢はいつの日にか実現する。
時に4/4拍子で。
共感ありがとうございます。
主人公にはお父さんの他にも、下手ウマだった兄、苦言を呈してくれる妻と周囲に恵まれていましたね。周りに盛り立てられる人だったんだと思いました。

