「メタ的視点で深読みするとようやく面白くなる皮肉」ショウタイムセブン ちゃおさんの映画レビュー(感想・評価)
メタ的視点で深読みするとようやく面白くなる皮肉
この映画一番のメッセージは、犯人の父親の命も、大規模災害やスタジオの人質も政府にとってみれば取るに足らない事であるように、劇中の視聴者や、さらにメタ的に見たこの映画の観客もこれらはテレビの中の出来事に過ぎず、より大きなロンドンの事件や、音楽番組の方が大事なんでしょ、という皮肉、だから報道ですらショウなんだよ、という主人公の主張なわけです。
この映画そのものがそういったメッセージを込めた社会派サスペンスであるにも関わらず、シークレットゲストに錦戸亮という人気者を仕込んでみたり、ストーリーにほぼ全く関わらずに劇中の半分以上気絶している生見めるを「メインキャスト」として番宣に出しまくったり、ただエンドロールの主題歌をスタジオで歌わせただけでPerfumeを「本人役で出演」と打ち出してみたり、あらゆる詐欺的な手法を用いないと集客できない、という、自分の作品を貶めてまでの壮大な皮肉である、と考えると傑作だと思います。
ストレートな感想を言うと、こういう物語では謎解きや犯人探しで色々考えながら見る事になるのですが、脚本がグダグダで思考が別のところに囚われるのが残念でした。テロリストは素人とその爺ちゃんなのであれば、全く関係のないアナウンサーの携帯番号を知ってるのはおかしいし、百歩譲って清掃員ならスタジオに爆弾を仕掛ける事は可能だとしても、ピンマイクやテーブルマイクに仕掛ける事は不可能ですし、スタジオ内にサブも含めて警報音を鳴らす事はそもそも不可能です。回線引かなきゃいけないので。
みたいな事を考えさせてしまう時点で会話劇に引き込めていないので失敗だと思います。