「出だしは面白く観たのですが‥」ショウタイムセブン komagire23さんの映画レビュー(感想・評価)
出だしは面白く観たのですが‥
(完全ネタバレなので必ず鑑賞後にお読み下さい!)
(レビューが遅くなりました、スミマセン‥)
今作の映画『ショウタイムセブン』は、かつて「ショウタイム7」のメインキャスターだった主人公・折本眞之輔(阿部寛さん)が今はラジオパーソナリティになっていて、そこに爆弾テロ犯からの電話があり、映画出だしは、主人公・折本眞之輔と爆弾テロ犯との緊迫したやり取りに面白さがあったと思われます。
しかしこの、主人公・折本眞之輔と爆弾テロ犯との電話交渉の緊迫感は、2人の会話が行われているテレビ(ラジオ)局以外の場所で、それ以上のリアルな緊迫感があることが前提だったと思われます。
ところが、誰もいない犯人の部屋に突入する間抜けな警察や、なぜか爆弾テロ犯の母校の担任だったという人物(平田満さん)を身元の特定確認も不十分に現場のテレビスタジオに入れてしまう警視庁公安部・刑事(安藤玉恵さん)など、おやおやおや?‥と、周辺の捜査含めたリアリティの軽さ薄さで、次第に主人公・折本眞之輔と爆弾テロ犯とのやり取りの緊迫感も薄れて行ったように思われました。
極めつけが、爆弾テロ犯の母校の担任だという人物につけられた爆弾が爆発するのですが、警察が現場にいながら誰も救護に向かわないというあり得なさでした。
(カメラをそこに向けないなど、いくらでも救護のやりようはあったでしょう‥
もちろん救護されたらストーリーとして破綻するかもですが、そうであるなら問題はそのストーリーの方にあるのだと思われます。)
そして、映画の初めにはあった2人のやり取り中心の描写の凝縮感が、それ以外の周辺のリアリティの薄さから、逆に周辺の具体的な描写を入れる予算がないから、主人公・折本眞之輔と爆弾テロ犯の2人の会話劇になったのではないか?‥との疑念すら湧き上がる始末でした。
つまり、全体で緊迫とリアリティが薄い映画になってしまっていると、少なくとも1観客の私には思われたのです。
もちろん、電力会社や政府の政治家が絡んだ主人公・折本眞之輔をも巻き込んだ不正の描写には面白さはなくはなかったですが、周辺の細かいディテールの積み上げがないままでは、もはやその不正の説得力も半減してしまっていたと思われます。
究極は、最後に主人公・折本眞之輔が、この見せしめ的番組を作り上げているのは視聴者のあなただ、的な主張を展開するのですが、いやいやそんな説得力が希薄なメッセージ主義を目的にして映画を作ってないで、その前にきちんとそれぞれのリアルな社会と人間描写を積み上げて下さいよ‥とは1観客として僭越、思われました。
何だかもっと面白く出来ましたよね‥と僭越残念に思われながら、今作を観終えました。