地獄でも大丈夫のレビュー・感想・評価
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聖なるキャンプファイヤー
わざわざホールケーキ用意するなんて、随分お金のかかったイジメですね。
自殺するなら直前に金やスマフォを渡す必要もないのに。
などといったツッコみ所から始まった本作、予告から想像してたのとかなり違った。
オフビートな自殺撤回からの復讐旅行までは期待通り。
で、いざ再会してみたら何やら改心してて…ってとこが面白そうで鑑賞したので、ここを膨らませてほしかった。
結果的には、信心に目覚めたのは本当だけど性根は大きく変わらず?
謝罪も点数のためで、取り入りやすいナミにだけアプローチしてたって感じかな。
点数を競わせる宗教なんてロクなもんじゃない。
小さい子たちの、どこまで理解してるか分からない無邪気な笑顔がなかなか怖かった。
あれだけ妨害受けてて1点差って、ヘジン凄くね?
でも、見たいのはそっちじゃないんです、カルト教団の話ばっかり広がってよく分からん。
教団が勝手に内部崩壊して、ピンチから脱出するのがクライマックスなんだけど、あれ必要かな。
その手前の、自分の醜さを認めたり相手の存在の大きさを伝えたりの方が大事では。
結論も、お互いがいれば「地獄でも大丈夫」ってとこだし。
「殺して楽にさせるのは温い」から「死ぬのだけは許さない」と似て非なる断罪に到るのはよかった。
しかし、変な方向に走った挙げ句オチがありきたりで、ちょっと期待外れかな。
ハチャメチャでもいいからスカッとしたかった。
病気の妹とか、一体なんだったんだろ。
二人の少女のラストに救われる
『地獄でも大丈夫』イジメの問題は、万国共通。人間が、集団で生きていく以上なくならない。そんな人間の悲しい習性を描きながらも、絶望的にならない。この映画は、二人のイジメられっ子少女の成長期、ふたりの明るさだけがこの映画の成功ではないだろうか。
今も昔も変わらぬ、イジメ
昔は、こんなイジメは無かったとか、言いたがるが。
根本的構造は、変わらない。
大人の世界とて同じ。
しかし、イジメの方法とその程度は、違うだろうな。
そう思いたいのは、私のような年寄りだけか。
でも、旭川でのイジメ事件とか聞くにつけて。
自ら命を断った少女が、痛ましい。
イジメは万国共通、今回は、韓国の高校生が、主人公。
よく、イジメはイジメられる側にも問題がある。
よく聞く言葉だけど。
そんなことは、どうでもいい。
人間は、集団になると、異質なものを排除したがるだけ。
あるいは、集団ストレスのはけ口を見つけたいだけ。
二人の少女の元気さに、救われる。
イジメられる二人の少女は、仲良し。
いつも、死ぬことばかり考えて。
ときには、自殺未遂。
ふたりは、転向したイジメっ子の復讐の旅に、ソウルに。
イジメっ子の少女は、キリスト教新興宗教施設で、新たな生活を送っている。
過去の自分を悔い。
良い人になっている。
ここからが、この映画の見せ場。
新興宗教の嘘っぷりが、現実的でいい。
おおよそ、偽物はこうなんだろうな。
そんな見せ方が、ハマっている。
そう、人間は、そう簡単に変わらないのだ。
キリスト教的団体が、いかにもという設定を見せてくれるのも楽しい。
そう、こんなもんなのだろうな。
人は、一度信じると、たとえおかしいと思っても、中々その過ちを認めようとしない。
当然な話で、否定すれば、自らのアイデンティティーを失ってしまう。
だから怖くて、しがみつく。
信仰を否定するつもりはないけど、おおよそ世の中には、ごまんとある。
ひとりで、悩まない、これしかないな。
少女ふたりが、故郷に戻るラストがいい。
一回り成長した、二人が、現実に向かってゆく。
新興宗教の欺瞞を目の当たりにすることで、大人社会のいい加減さも体験した。
そんな二人の、ある種開き直りの明るさとでもいいますか。
だよね、せめて映画の世界ぐらいこうあってほしいなと。
残念だけど、現実社会は、なかなか。
親や教師に相談しても。
きちっと向き合ってくれなかったり。
イジメ自体なかったことにして、自らの保身を図る教師もいたりして。
悲しいけど、サバイバルです。
これは、無理だとというときは、そんな環境から逃げ出す以外には。
これ、大人の社会にも言えることなのですが。
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