「テルがひとり立ちしていく物語」Welcome Back ひでちゃぴんさんの映画レビュー(感想・評価)
テルがひとり立ちしていく物語
兄弟のように育ったテル(吉村界人)とベン(三河悠冴)。
テルはずっとベンの憧れであり、ボクシングで絶対負けない絶対的な存在だったのだが、
北澤(宮田佳典)に負けてからは、ベンの復讐(というのもおかしな話だが)のために
東京から北澤のいる大阪までのロードムービーなっていく。
※前情報がなければロードムービーになること自体意外である
この二人を心配する青山(遠藤雄弥)の存在が超大事だ。
青山はかつてテルに負けたボクサーだが、どうにもこの二人の行く末が気になるらしい。
大阪までの旅路をサポートする何ともいいやつだし、彼もまたテルからの敗戦をひきずっているに違いない。
途中で気づいたが、これはテル視点の話であり、ベンが中心人物ではない。
実は青山がナビゲーターとなり、話を展開させている。
そして強力な絶対的な敵、北澤の存在がベンをひとり立ちさせていくし、
ベンがひとり立ちしたことで、テルもようやく前を向き始める、、、という、なんとも清々しい作品。
やっぱりこういう佳作に出会えるのが単館系の映画作品。
今週観たシネコン系のメジャー邦画はもちろん素晴らしいのだけれど、
邦画には単感でも滋味溢れる作品がたくさんある。
これが映画鑑賞の醍醐味だとあらためて思った。
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