「Supersonic」Welcome Back ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
Supersonic
ボクシング×ロードムービーという良い組み合わせだな〜というところに惹かれての鑑賞。
これは掘り出し物でした。
擬似的な兄弟愛にボクシングへの情熱、関東から関西までの人との出会いだったり、好きな要素てんこ盛りでした。
新人王に輝いたボクサーのテルと同じ団地で育った記憶力抜群だけどコミュニケーション下手なベンの成長物語で、若武者・北澤に敗北してからの堕落したベンと北澤を打ちのめすために大阪へ向かおうとするベンの真逆な行動力が面白さを加速させていました。
大阪に行くまでの道中で様々なボクサーと戦う中での進化というのもロードムービーに熱というエッセンスを加えてくれていて盛り上がりっぱなしでした。
ボクシングはどのシーンも圧巻で、臨場感満載のカメラワークに繰り出されるジャブにパンチに追い込みとどこを見てもゾクゾクっとさせられる試合には痺れました。
ベンが見て覚えて学んだテルのコピーのボクシングも圧巻でしたし、自己流に強化していく流れも胸熱でした。
北澤との試合のバチバチのやり合いも本当に凄まじく、ボクシングではあまり見ない共闘という形での試合が見れたのも型にハマらない作品だなと思いました。
テルは性格的に難しかないし、粗暴だし口は悪いし、色々と不適合なところは多いけれどボクシングにはしっかり打ち込んでるし、ベンの面倒はたくさん見てくれるし、人の懐に入り込むのが上手いしで目を離せないヤンチャ坊主感満載で最高でした。
吉村さんの主演作はたくさんあるのに今作で初めて見たのですがなんてかっこいいんだろう…と思わされるシーン満載でした。
ベンもベンでコミュニケーションが下手すぎるし、すぐに突っ走っちゃうしで大変ではあるけれど、持ち前の身体能力を活かしたバイトだったり、テルを一途に応援し続ける姿だったりはまさに弟だなーと思いましたし、ボクシングへの熱で自分を変えていくというのが表面的に出ていたのはベンだったなと思いました。
三河さんも直近の作品とはガラッと変わった演技で最高でした。
青山さんが良い人すぎて…たまたま出会ったベンに話しかけてしまったがためにベンとテルを大阪まで、しかも宿代や運転など全部賄っていくスタイルで、いやいや良いながらも全部こなしてくれる聖人でした。
ベンのサポートもしてくれるし、テルとベンの面倒をしっかり見てくれてるオカンのような存在で頼もしかったです。
遠藤さんが「辰巳」とは全然違う役だったのにも驚かされました。
北澤の強者感も素晴らしく、隙のないボクシングの強さと真面目が故に妥協を許さない性格込みで敵キャラではあるけれどこちらはこちらで応援したくなる魅力があったのもとても良かったです。
宮田さんも「SUPER HAPPY FOREVER」で演じてた宮田とはガラッと変わっており、あの時もシャドーだけどボクシングやってたなぁと違うところで点と点がつながってニンマリ。
ラストシーンでは少し先の未来のベンの姿、そして動き出すテルの姿が映され、静かにタイトルが出てきてグッときました。
出会いと別れ、ちょうどそういう時期というのもあっていつも以上に込み上げるものがありました。
前へ前へと突き進んでいってほしいです。
鑑賞日 1/14
鑑賞時間 11:15〜13:20
座席 D-6