ノー・アザー・ランド 故郷は他にないのレビュー・感想・評価
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独裁政治家に翻弄させられる民衆。
イスラエル…呆れた独裁政治家のもと、パレスチナの貧困に喘ぐ民衆があまりにも不幸過ぎて…。日本では考えられない。初めから終わりまで眠くなる。ドラマ仕立てで無くあくまでもドキュメンタリー。高いレビューが自分には信じられなかったですが…。なぜよその国を荒らしてまで自らの国の至福にこだわるのか?。人の不幸の上に自分の幸福を築こうとする利己主義から生まれる政治家の貧困な心に腹が立つ。
長すぎる苦しみを終わらせるため作られ、世に出された作品
見た後、あまりに悲しく絶望的な現実に打ちのめされ、言葉を失いました。
救いはこの作品を作り上げた4人のジャーナリスト(アラブ人ユダヤ人2人ずつ)です。
平和な日本に居られることは幸せですが、これでいいのか、でも何ができるのか、その問いに簡単に答えは見つからない。
アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞は至極当然で、受賞の意味と重みは非常に大きいと思いました。作り手の命がかかっているからです。
95分の何倍もの見応えは胸に迫る一方で、「この見るに堪えない映像がいつ終わるのか」と、滅多にやらない「時計を見る」という行動に出てしまいました。
それぐらいの、重く大きく迫り来る映画でした。
世界中で、少しでも多くの人に見られる機会が作られ、中東和平に少しでも何かの変化が起きることを心から祈ります。
また、日本の教育に最も欠けている人権教育と平和教育は、この1本を見ることでほぼカバーできます。
他の方もレビューしていますが、教材的価値も非常に大きな作品です。
パレスチナとイスラエル
なぜか苦労して住み着いた人々は却って追いやられることが多いような気がする とても乾燥して何もなさそうな平地(確かに軍事訓練には向いてそう)、井戸や電気を引いて居住出来るようにするのはご先祖さん達の大変なご苦労だったのではないか そんな歴史愛着ある土地もブルドーザーでいとも簡単に破壊されてしまう、悲嘆や怒りは相当なものだろう、住める土地、家があるだけでも改めて感謝だと思った
正直言って誰が何人か見てもさっぱり分からなかったが、現地の人は直ぐ分かるのだな 敵の中にも正しい考えの人は存在するのだ、2人の友情にはほっこり、未来を感じた でも上層部、国が軍事に突っ走るとろくな事はないというのをいつか分かる時は果たしてくるのだろうか?
とりあえずリアルな現状を伝えてくれたことに感謝、そして命懸けの撮影、長編ドキュメンタリー賞にも納得
多くの人に見てもらいたい
【侵略】【入植】とはどういうことなのか、百聞は一見にしかずでした。あまりの不均衡に言葉を失う。それでも、世界にこの事実を知ってもらうため、パレスチナの青年バーセルさんとイスラエルの青年ユヴァルさんがカメラを向け続けた。この映像が届けられたこと自体が奇跡だ。だから私たちはこれを見て、素晴らしいね、じゃなく、この不均衡を、外から変えるためにできることをしたい!胸が痛む場面が多いのはそうなのだが、青年2人のまっすぐな表情に美しさを感じる映像だった。
子供はどんな状況でも子供らしいなと思う場面だったり、イスラエル兵に撃たれ(生活に必要なものを奪わないでくれと言ったことにより撃たれた…)息子が苦しむのを見つめる母親の表情なども忘れられない。ぜひたくさんの人に見てほしい作品。
命のかかった映画に減点なんかできない。
被害者と加害者、その境界線とは…
あまり予備知識を持たずに観た映画。アカデミー賞にノミネートされている評価の高い作品、というくらいの気持ちで劇場に足を運んだ。
映画が始まり、しばらくしてドキュメンタリーらしいでことがわかる。主要な登場人物はハンサムで、まるで俳優のようにも見えるが、背景となるパレスチナの村の様子があまりにリアルで、最初はフェイクドキュメンタリーかと錯覚してしまった。
しかし次第に、これはイスラエルの実質的な支配下にあるパレスチナ人の村の物語であり、主人公のパレスチナ人青年は、この村に起こる出来事をビデオカメラやスマートフォンで記録し、発信するジャーナリストであることがわかってくる。
彼の視点から見るイスラエルの行動は容赦ない。彼が生まれ育った村にやってきては、イスラエル軍が家や学校を破壊する。時には住民が負傷する場面もある。
さらに、顔を隠したイスラエル人の入植者が武装して現れ、住民を追い出そうとし、家を壊し、銃撃をして去っていく。
主人公はその様子をインターネットで世界に発信し続けるが、映画の中で「2000人以上が見た」と語るシーンがある。彼自身はそれを前向きに捉えているが、果たしてそれが人権問題として世界を動かすほどの影響力になるのかも考えさせられる。
なぜ国際社会は動かないのか? 国連は何もできないのか?
そんな疑問が頭をよぎる。しかし、この映画がアカデミー賞候補となり、世界の注目を集めたこと自体は、彼の活動の大きな成果と言えるのかもしれない。
映画を観終え、彼らの歴史的背景を調べてみた。すると、問題の根深さに直面する。
この問題に解決はあるのか? そもそも「解決」とは何なのか? どの立場から何に介入すべきなのか、考えれば考えるほどわからなくなっていく。
この映画に登場するパレスチナ人たちは明らかに被害者であり、非人道的な扱いを受けている。これは何とかすべきことだ。
しかし、彼らを追い詰めるイスラエルの国家政策や入植者たちの行動の背景を知ると、単純に彼らを「悪」と断じることもできなくなる。結局、両者とも歴史の中で被害者なのだ。
そして、真の加害者は誰なのか?
映画の舞台となった村は、数年後、あるいは10数年後には地図から消えてしまうかもしれない。そう思うと、かつての新宿駅西口の風景を思い出した。
家を持たない人々が肩を寄せ合って生活し、それを支援する人々もいたが、今ではその姿はきれいさっぱり消えてしまった。問題は解決したのか、それともただ見えなくなっただけなのか。
この映画も、歴史の一場面を切り取った貴重な記録映像として残るだけなのか、それとも何かを変えるきっかけになるのか。希望はあるのか? そして、自分には何ができるのか? そんな無力感を突きつけられた映画だった。
考えさせられるで終わらない、現在進行形の問題(パンフレットの内容を含みます)
イスラエルとパレスチナの関係を一から教えてくれるわけではないので、岡真理『ガザとは何か』ステファニークープ『国際法からとらえるパレスチナQ&A』などを事前に読むか、パンフレットを先に買って「二つの占領地」を読むと内容が入りやすい。
西岸占領地におけるイスラエルによるアパルトヘイト政策や家、学校の取り壊し、インフラの破壊など権力勾配のあり方がありありと映されるドキュメンタリー。
「故郷は他にない」からこそ洞窟暮らしになっても留まるパレスチナ人たちと、その有様を伝えようとするユダヤ人ジャーナリスト。
映像の大部分が2023年10月7日より前のものなので、今のガザ問題は10月7日から始まったと思っている人はとりあえず見るべき。
映画作品としては
不勉強なので、軽くパレスチナ問題を予習して臨んだ。
お話としては「軽い予習」で十分。
とてもシンプルな映画。
「国」も「民族」も「社会」も、あくまで「個人の集合体」でしかないのに、こと個人の話は軽視され、時には封殺される。
その意味でこの映画が、パレスチナで起きている「個人」のリアルを描いた作品としての価値は高いと思うし、緊張するシーンやグッとくる部分もある。
当初は「焦るな」とユバルをたしなめていたバーセルが、自分の逮捕が近付いていると察知して急に活動を強めていく感じとか。
今の生活、明日の寝る場所さえ危うい彼らには、将来なんて考える余裕もない。
明らかに不当な圧力や嫌がらせに屈しなければ、家族の安全が保てない人々の苦しみ。
日本公開のこのタイミングでトランプがまた無責任なことを言い出したり、怪しげな停戦話など、まだまだ先の見えないニュースが続く中での公開ということで話題性もあり、「資料」「記録」としての価値は重く、高く評価された方の気持ちも理解した上で、感じることは多くとも、あくまで「映画」としては私には「ソコソコ」の作品だった。
今絶対に観ておきたかった
25-030
アラブ社会と白人社会の見方が変わる
観て本当によかった。フィクションでなくドキュメンタリー映画ですが、アラブ社会と白人社会の見方が変わる映画だと思うし、パレスチナの人達の人柄に心を動かされました。(特にバゼルに)
生きるのが過酷な状況な中で、ドキュメンタリー取り続けた、魂の結晶の様な映画です。地球人ならみんな観た方がいい映画です。
95分間の理不尽。
日本でも似たようなことが起きているような…
基本的には「イスラエル軍がパレスチナ人の家をブルドーザーで破壊」→「パレスチナ人がイスラエル軍に抗議デモ」の繰り返し。
家壊して道具奪って井戸をコンクリートで埋め立てて水道管を切断。
ほぼ殺人では?
映像は手ブレ画面多め。
あと、動画を撮影しているパレスチナ青年・バーセルがイスラエル軍に捕まりそうになって必死に逃走する場面も多い(『電波少年』を思い出した)。
個人的に衝撃的だった場面が2つ。
1つ目はスマホの縦長画面で撮影された、パレスチナの中年男性がイスラエル軍に抗議していたところ、感情的になったイスラエル兵が中年男性を銃撃する場面。
映画で人が撃たれるところなんて腐るほど見てきたが、本物は初めてかもしれない。
単純に気分が悪くなった。
もう一つはバーセルがイスラエル軍に拘束されそうになった時、バーゼルの父親が突撃してきて、撃たれるのを覚悟で兵を制し、バーゼルに「逃げろ!!」と叫ぶ場面。
これも映画でなら似たような画は何度も見たことあるが、本当に命をかけて人を救おうとしているのを見たのは初めてかもしれず、心震えた。
本作はパレスチナとイスラエルの青年監督二人に友情が芽生えていくところが見どころだと思うが、それで状況が何一つ改善されていかないのが悲しい。
パレスチナの人々がイスラエル兵の目の前で真っ当な訴えを全力で呼びかけても、イスラエル兵はどこ吹く風。
この感じ、どこかで見たことある。
辺野古基地建設に反対する住民の訴えを目の前で聞いている時の警察の顔と同じ。
考えてみれば、人道的な人間だとしたら非道な行いを繰り返すイスラエル軍なんてとっくに辞めているはずで、兵隊を続けている時点でまともな人間ではないのかもしれない。
あと、何も悪いことをしていないパレスチナ人に対してもイスラエル軍が非人道的な行いをしているのを見て、個人的には日本でのクルド人差別を連想。
悪いことをしたクルド人が批判されるのは仕方ないにしても、子供も含めたクルド人全体に対して誹謗中傷の嵐。
今はまだ一部の差別主義者がSNSで活動しているだけだが、トランプ的思考の政治家が日本で政権を握ったら、『ノー・アザー・ランド 故郷は他にない』の日本版ができても不思議ではない。
いろいろ言いたいことはありますが、ネタバレになってしまうので詳しく...
いろいろ言いたいことはありますが、ネタバレになってしまうので詳しくは書きません。
とにかくみんな見た方がいい映画です。
パレスチナ支持、イスラエル支持、中立派、無関心に関わらず、一度、見てみてください。
歴史に残る事態が起きている今だからこそ、見る意味があると思います。
今起きていることが歴史の教科書に載ってからでは遅い。
将来、子どもや孫が歴史の勉強でこの問題に触れた時に、あなたは親として、或いは、祖父母として、「知らなかった」と言うのか、今、映画を見て「あの時、私は、、、」と語ることができる大人になるのか。
これは、自分がどんな世界に生きたいか、或いは、子どもたちにどんな世界に生きてほしいか、その世界のために自分に何ができるのか、何をするのか、そういうことを問う映画。
監督たちが私たちに投げかけるのは、答えのない問いのようで、
まるで哲学対話のような映画だと感じました。
映画を見て終わり、ではなく、ずっとその問いに向き合いたいと思います。
そして、何より行動する勇気を貰った気がします。
とりあえず、今、一番見てほしい映画です。
世界が無視し続けてきたパレスチナ
鬼畜の所業
第95回『ナワリヌイ』、第96回『実録 マリウポリの20日間』と、最近は国際的な政治問題が題材となる作品が受賞する傾向が見えるアカデミー賞長編ドキュメンタリー賞。今年で言えばやはり本作『ノー・アザー・ランド 故郷は他にない』が、前哨戦の実績から言っても有力と思われますが結果は如何に?
そもそも、アメリカの映画産業はユダヤ系の人材と資本があってこそ発展してきたこともありますが、今回(第97回)のアカデミー賞ノミネート作品をみていくと『ブルータリスト』『セプテンバー5』『リアル・ペイン 心の旅』など、映画の題材にユダヤが関連する作品が並ぶ中、断然に目立っている本作の行方が「特に」気になります。
2023年10月から続く「ガザ情勢」をきっかけに、改めて「パレスチナ問題」を振り返って理解しようとする機会も増えましたが、やはりネックとなるのはその複雑さ。と、ここで諦めては同じことの繰り返しですし、見方を変えればむしろ誰にも判る単純な「人道的な問題」については、例えどんな立ち位置にいても無視してはいけない事実です。
今作はまだまだ情勢の悪化の懸念が消えない「ガザ地区」ではなく、もう一方のパレスチナ自治区である「ヨルダン川西岸地区」が舞台。1947年の国連分割決議以降もイスラエルからの入植活動が続き、実質的な面積はどんどんと小さくなっています。本作はそんな過酷で不条理な現状を身を挺して映像に残し、世界へ発信し続けるパレスチナ人青年バーセルとユダヤ人青年ユバル等の活動を見せるドキュメンタリー。
ある日突然、パレスチナ人が居住する村に現れるイスラエル軍と役人。女性や子供の前でも躊躇することなく銃を向け、100年以上前からそこで生活してきた人々の家を重機で壊し、更には自動車や資産を奪っていきます。そして、その様子をカメラに収め取材し続けるバーセル達に対し、銃を向けながら「敵」と叫んで追いかけまわす過激な入植者達(おそらく一般人)も加わる様子は、言葉を選ばずに言えば実に「鬼畜の所業」。冷静に見続けることが辛くなるほど怒りが込み上げる95分は正直しんどいですが、命を張って訴える彼らから目を逸らすわけにはいきません。
果たして、アカデミー会員たちはこれをどう観て評価するのか、正に賞の真価が問われる一本。ある意味、トランプの迷惑な「思いつき政策」よりよっぽど影響があるのでは?と期待しつつ、授賞式に注目です。
日本では報道されないイスラエルの蛮行
この作品では、ヨルダン川西岸地区でイスラエル軍とイスラエル軍に守られた入植者が、パレスチナ人の村を破壊し、土地を奪う様子が描かれている。ヨルダン川西岸地区はイスラエルの領土ではないが、イスラエル軍は、ある日突然、以前からあるパレスチナ人の村を軍用地に指定する。すると軍用地にある建物は違法建築になり、合法的に破壊されることになる。ユダヤ人には出来ないことがパレスチナ人相手だと許されてしまうイスラエル社会は異常である。イスラエルのユダヤ人は感覚が麻痺しているが、彼らのやっていることはナチスドイツによるユダヤ人の抑圧と同じである。
80年前のホロコーストを世界は止められなかったが、いま世界中の人々がイスラエルの蛮行をリアルタイムで目撃している。イスラエルのユダヤ人が1日も早く正気を取り戻し、パレスチナ人と和解することを望むが、そのためには世界中の人々がパレスチナ人の現状を知ることが必要だ。
「もしわたしが死ななければならないのなら
あなたは生きなければならない
わたしの物語を伝えるために」イスラエル軍のガザ攻撃で殺されたパレスチナの詩人リフアト・アル・アライールの言葉です。この映画を見た私、あなたは何をするべきか考えさせられる映画です。
水1滴ではダメでもしずくが続けば変わる
報道など目にする「入植」というものがどんなことを意味するのか、この映画を観るまで知らなかった。
23年10月以降、本を読んだり自分なりに学んできたつもりだけど、何も分かっていなかった。
入植なんてきれいな言葉で表現できるものではなく、ただの破壊で、強奪で、暴力である。
それを、 イスラエル軍だけでなく入植者(ただの一般人)が彼らに守られながらやっている。昔からその場所に住んでいた、非暴力のごく普通の住民たちに対して…
この映画は、それにさらされている側の人達が撮影しているから見せられるものも容赦ない。だからこそ見て、沢山の人に知ってほしい。
そして、そうやって誰かの家を破壊し、故郷を奪ってできた場所に家を建てて住む人、利用する人は一体どんな人なのか、想像するだけで心底おぞましい。
バーセルとユヴァルは、同じ目的を持って活動する同士なんだと思う。
でも、それぞれの境遇が余りにも違いすぎて、観ながら何度も何度も頭を抱えるような思いだった。時間はかかるかもしれないが、バーセルがユヴァルの家を自由に訪ねられるようになったり、彼が自分の意志で就きたい仕事に就けるようになる日が来てほしいと心から思う。そのために、日本にいる自分に何か少しでもできることはあるのか…
最後に……
今もマサーフェル・ヤッタで暮らしているバーセルのTwitterのアカウントを紹介しておく。
@basel_adra
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