ノー・アザー・ランド 故郷は他にないのレビュー・感想・評価
全116件中、41~60件目を表示
とにかく無事に帰ってきて欲しい。
「アンネの日記」を読んだり、アウシュヴィッツの映画を見たりしていたのでどうしても、イスラエル側の立場から考えることが多かった。今度のガザへの侵攻も、最初に見た動画は、フェスティバルでハマスに襲われる映像だった。そのため、「確かにやりすぎだな」と思うまで、しばらくは、なぜパレスチナ側の肩を持つ発言があるのか理由がわからなかった。
今回疑問に(と同時に凄い!と)思ったことは、ユダヤ人の監督がパレスチナ側からの映画を作ったこと。ずいぶん勇気が必要だったことだろう。
アカデミー賞での二人のスピーチも感動的なものだった。というか、そもそもアカデミー賞を受賞できたことにも驚いた。この作品に栄誉を与えたアカデミー賞の関係者にも拍手を送りたい。
この映画で一番印象的だったことは、ある場面の雲が、日本の夏によく見るような雲だったこと。当たり前だが、同じ地球上での出来事であることを改めて認識しショックを受けた。
追記
監督が襲撃を受けたとのこと。今はただ無事であることを祈ります。
追記2
1日拘束の後、無事に帰って来られたそうです。ひとまず安心しました。
追記3
アカデミー賞受賞後、入植者からの攻撃はさらにひどくなったという記事を読みました。映画の無力を感じてしまいました。彼らはどんな気持ちで攻撃しているのだろう。
友情モノじゃなく、パレスチナの惨状
パレスチナ人とイスラエル人の敵対関係を超えた友情みたいな宣伝されてますが、
このドキュメンタリーは、別に友情を前面に出しておらず、前面に出てるのはパレスチナの惨状です。
これを観る限り、イスラエル軍の非道さが凄まじく怒り心頭、イスラエル軍は犯罪者で悪にしか思えない。
このパレスチナとイスラエルの問題は、池上彰さんの番組で観たのとネットで調べたぐらいの知識です。
これを観たあとなので、もちろんパレスチナを支持しますが、イスラエル視点のドキュメンタリーも観てみたい。
片方だけじゃなく両方の視点で考えないとダメだと思うので、
とはいえ、人を傷つけていることを、どんな言い訳するのか?
イスラエル政府には、元々いい印象ないです。
ネタニヤフもキライだし。
自分を含め、対岸の火事だと思っている人が多いと思いますが、多くの人に観られるべきドキュメンタリーだと思います。
フィクションの劇映画の悪役のようなイスラエル軍の悪っぷり、迫害され悲しむパレスチナの人々、現場で至近距離で撮られた緊迫感あふれる映像の数々。
凄い観ごたえ、迷ったら観て下さい。
知る義務
アメリカ本国では小規模な自主上映にとどまり、ほとんど配給がなされていない。
にも関わらずアカデミー長編ドキュメンタリー賞をとったことは、アカデミー賞の意地を見せてもらったような気持ち。
イスラエルによるパレスチナの虐殺を止める力がなく、それに異を唱えることが映画作品からもできないとなれば、より絶望が大きかった。
今回のアカデミー賞受賞は、この賞自体の質を担保することにもなったし、映画業界全体の意思を強く打ち出すことになったと思う。
ヨルダン川西岸地区で粛々と進行していた人権侵害。2023年のハマスによるテロは衝撃だったが、それの前段階としてこれほどの事態があったことは、恥ずかしながら知らなかった。
100年以上住んでいた自分達の村が、ある日突然ブルドーザーで潰されていく。
ドキュメンタリーでは兵士による銃殺や、兵士ですらない武装した入植者による襲撃も捉えられている。入植者達は上裸で頭にシャツをまいた異様な格好で現れ、それにイスラエルの兵が帯同する。異様な光景だ。
主人公達は圧倒的な武力の前に無力ではあるが、そんな中で身を守る術、対抗する術が撮影することと、この映画を作ることだ。映画の力を改めて感じさせる。
印象的だったのは、兵士に打たれて首から下が不随となり、最終的にその怪我が原因で亡くなってしまう男性。
気力がなくなってしまい、積極的に人前に出ること自体を拒否するようになる。
自分が彼の立場であれば、おそらく同じように何もすることができなくなってしまうだろう。すべてに絶望してしまうと思う。故郷は奪われ身体の自由さえも奪われてしまう。なんという悲劇だろう。
この映画の批評でライムスター歌丸さんが「知る義務」と称していたが、まさにその通りだ。
「知らない」ことは罪になる。だが私達には知らないことが多すぎる。日々をぼんやり過ごしていると、容易にその立場になってしまう。
そして知っていたとしても、その後に実際に行動することができる人はごくわずかだ。
自分が知らないこと、知っているのに何もしないこと、そんな無力観が『関心領域』を観たあたりから臨界点に達しているように思う。
せめて知る。そして行動する。それが今必要なことだ。
イスラエル軍の行いが想像を超えて酷かった
子どもたちが中で授業中の小学校に大勢で押しかけ、子どもたちの目の前で校舎を重機で破壊する場面は、なぜそこまでできるのか分からずもはや唖然としてしまった。映画の中の2人の様に、分かり合える人達もいるのに。
蒙昧な大統領はここもリゾートにするのか
イスラエルからの爆撃で街をズタズタにされたガザから50~100キロほど東方のヨルダン川西岸パレスチナ人自治区(本来は、当然パレスチナ人の居住区の筈)で、パレスチナの人々が長年暮らして来た村の家を次々と破壊するイスラエルの蛮行を記録したドキュメンタリーです。本作の特徴は、それをパレスチナ人監督だけでなくイスラエル人監督と共に記録した点です。
軍事訓練所にするという名目でイスラエルは一方的に住民の立ち退きを迫ります。それは道理が通らないと裁判に訴えても、審理するのはイスラエルの裁判所ですから簡単に退けられます。イスラエルは、ブルドーザーで家を押し潰して行きます。更に、村で用いて来た井戸にコンクリートを流し込み、水道用のパイプは切断してしまいます。銃を突きつけられる村の人々はそれを見ているしかないのでした。
こんな非道な行為に直接関わるイスラエルの警察官らは「恥ずかしくないのか」と問われて
「決まった事だ。なぜ恥じる必要がある」
と傲然と答えます。更に恐ろしいのは、パレスチナ人居住区に入植して来たイスラエル民間人までもが銃を持ってイスラエル警官と並んで銃撃して来る事です。イスラエルは国連決議などは一切無視しているので、「パレスチナ人はみんなここから出て行け」と言いたいのでしょうが、パレスチナ人が国外に出るにはイスラエルの厳しい制限があり容易ではありません。まさしく彼らにとっては、心の中でも現実社会でも "No other land" - 故郷は他にない のでした。
解決の糸口などどこにも見出せそうにありません。「ガザをリゾート地に」などという蒙昧な大統領の妄言が妙にリアルに響いて来ます。この作品をイスラエル人、イスラエル支持者はどう見るのか、多くの意見を是非聞きたいな。
こんなん見たらイスラエル支持者なんて1ミリも信用できない
自分の無力感とパレスチナ人の深すぎる悲しみと不屈の闘志にただ茫然とするばかりだ
先祖伝来の土地に住むパレスチナ人の村々が、ある日突然イスラエル軍の演習地を拡張するとウソで固めた理不尽な理由で強制的に立ち退きさせられる4年間の話
重武装したイスラエル兵が押し寄せてブルドーザーで家をペシャンコにされるがその都度、穴蔵で暮らしながら何度でも再建してはまた壊される
その度に家族は何人も銃で撃たれ死んだり半身不随にされ、再建させないように大工道具や発電機まで奪われる始末
そのうち近所の綺麗な家に住むイスラエル人入植者も武装して迫害の主役に名を連ねてゆく
バブル期のヤクザの地上げ屋が可愛く思える非道ぶりだ
彼等もパレスチナ人を撃ち殺す
カメラを向ける事が唯一の対抗手段でイスラエル人の人権活動家の青年が単身村へ入り、同年代のパレスチナ人と共に記録しSNSに実態を投稿し続ける
小学校も破壊され井戸にはセメントを流し込まれ またもや撃たれて罪なきパレスチナ人の死
こんなん見たらイスラエル支持者なんて1ミリも信用できない
見て見ぬふりを決め込んでるのだから
そしてまたしても日本のジャーナリズムの欧米偏重と無能さ
中東は日本人の無関心領域なのか知ることに
平日の昼間に観客はわずか5人
アカデミー長編ドキュメンタリー映画の最高賞を受賞してまだ1週間ほどしか経っていないが
この映画館では今日で打ち切りだ😭
これがニュースで報道されないということ
久々の強烈ムナクソ映画
実は何度聞いてもこの地域の問題の因果が頭に入ってこない。
なら映画で見ると何かとっかかりになるかも、と挑む。
もちろん基礎知識があるに越したことはなかろうが、なくとも内容に差し支えなかった。
ないからこそ率直な印象を得ることができたような気もする。
「ある視点」だとしても、力が支配するとはこのことか、そんな風にくくってしまえないトンデモ迫害不条理の連続にとにかくムナクソ悪さで満たされる。もし自身が迫害される立場になったとしたら、などと考えようにも想像を絶する現実の連続だった。
加えて多くの子供らが、若者があの状況下に晒されているのかと思えば、不幸などと生ぬるい言い草にしか思えない。だからハマスが暗躍するのだ、とも言いたくなる双方の底なしの泥仕合に極東の私さえ絶望してしまう。
23年の記録で終わる本編のラスト付近での不穏な出来事の数々が今に続くのだと思えば、見ていて尻が落ち着かなかった。
東洋人の自身から見ればどちらも同じ人種であり文化圏にしか見えないのに、意味が分からない。
謎の悪意よ滅びよ!
悪意だけが滅びてしまえばいいのに。
怒りながら自転車をこいで帰宅した。
この映画を自分の眼で観てほしい
ヨルダン川西岸のパレスチナ人の居住地区のひとつ“マサーフェル・ヤッタ”が、イスラエルの一方的な理由で破壊され、それに抗議する住人の姿を追ったドキュメンタリー。ここで生まれ育った青年バーセルと、イスラエル人ジャーナリストの青年ユバルがフィルムにおさめる
まずここはガザ地区ではく、ヨルダン川西岸であること。ニュースで取り上げられる紛争地域でなくても、こんなことが発生しているのだ
荒れ地に、所々コンクリートで家が建つ素朴な村。この一帯をイスラエル軍が訓練施設にすると一方的に決め、隊列を組んで現れて、行政の命令と称する紙を見せて、個人の家や共同の井戸、水道施設を破壊していく。家財道具を持ち出す僅かな猶予は与えるが、予告無しに現れるので、最低限の家財を家の外に出すだけで、もちろん転居先の当てなど無い
砂漠のような荒れ地の貴重な井戸にも、情け容赦無くコンクリートが注がれる
壊された家に残っていた大工道具を没収されそうになって、抗議の声を上げた青年は発砲され、命は助かるものの、首から下が麻痺してしまう
もちろん住人は抗議のシュプレヒコールをあげ、横断幕と共にデモを行なうが、正規軍として武器を持つ者の圧倒的な力には敵わない
家を破壊された住人は洞窟で暮らすか、野宿、もしくは市街地への町暮らしを選ぶより他はない
映画は手ブレばかりで疲れるかなと危惧していたが、スマホやパナソニックのハンディビデオで録画する二人を捉える、第三者の目線からの映像もあって、現場を多角的にとらえている
時間の流れや、映像の前後の説明は無いが、不親切感は感じない
パレスチナ人の居住する地域を減らして、都市部に集約する為らしいが、村の家の破壊を命じるイスラエル人や軍人は血も涙もなく、力をもって一方的に命令を下す
権利が保証されている近代国家では考えられない行政の暴挙であり、ガザ地区においてハマスがイスラエルに一矢報いようと企図することで始まった、今回の混乱の遠因を見ることが出来るのである
まずは自分の眼でこの映像を見て、自分の頭でこの映像の意味するものを考えて欲しいと思った
【蛇足】
①バーセルとユバルの顔が似ていて、最後の方まであまり識別出来てなかったように思う
②パレスチナの人々の中にジャーナリストを名乗るとは言えイスラエルの青年がやって来て、拒否されるかと思ったら、そこは寛容に受け入れてくれて、二人の間には絆も生まれるのである。そこに、ささやかながら解決の糸口があるように思えた…そう簡単ではないのは1年以上続いた戦闘状態を見ていればわかるけれど
この現実を知ることが大切です
アカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞受賞がきっかけではあるが、何としても観なくていけない映画だと思い朝イチに駆けつけた(私の近隣ではここの映画館のみ。しかも朝一回のみの上映)。イスラエルとパレスチナが長い間、憎しみ合ってる事実と今のガザ地区の事はニュース等で知ってたが本当の現実は全く知らなかった。日本人の殆どの人と同じだが、まずは自分の無知を恥じたい。特にニュース映像で度々出てくる地図にあるようにヨルダン川西岸地区とガザ地区はパレスチナの自治区と思っていたが、実際はヨルダン川西岸地区はABCに区分け(Aはパレスチナ自治、Bはパレスチナに民生権あるがイスラエルが支配、Cはイスラエルが制圧)されており、穴だらけのスイスチーズのようになっている(パンフレットの記載)。そのような事実に驚愕する。そして、このドキュメンタリーのマサーフェル・ヤッタはC地域であり、イスラエルは軍の訓練所にする名目で土地を奪おうとしている。カメラは住民の家や子どもたちの学校をなぎ倒し、ライフラインの井戸をコンクリートで埋める非道な状況を映し、ラストでは軍に守られたイスラエルの入植者(パレスチナ人を追払いそこに住もうとしてるイスラエル人)が抵抗する住民に銃で撃つシーンまで観ている我々に突きつける。
映画を作ったパレスチナ人のバーセル・アドラーとイスラエル人のユヴァル・アブラハーム(この2人の友情が奇跡)はベルリン国際映画祭のスピーチでこの映画のような状況を訴えたが、ドイツベルリンの市長は「ドイツはイスラエル側についている」として、ハマスによるユダヤ人に対するテロの責任を追求したと言う。同じくイスラエル側にたつアメリカはそもそも最初は上映されておらず、自主上映で評判となりアカデミー賞にたどり着いた。又トランプ大統領はガザ地区の住民は退去してもらいそこをリゾート地にするなどと言う始末である。
終結など全く見えない状況だが、ホロコーストが誰でも知っているように、世界のあらゆる人々が今の現実をもっともっと知り、非難の声を上げ続けるしか方法はないと思う。
先ずは、この映画を観てもらってから、、。
子供達のキラキラしている瞳が曇らないことを祈る
凄い映画。
Free Palestine
伝えることの意味
絶望って、繰り返し心を潰される事で起こるんだと思った。
パレスチナのヨルダン川西岸の村で実際に起こっている現実を、パレスチナ人の活動家の息子であるジャーナリストの青年と、イスラエル人だがこの問題に取り組んでいるジャーナリストとの共同記録映画。
予備知識がないと何の映画かわからないと思う
最初に字幕で良いので概要の説明が欲しいところだ
興味のある人しか見ない前提なのはせっかくの映画が、伝える効果が損なわれてしまうようで勿体無いと思った
映像は本当のものなのでリアルで息が詰まるような迫力がある
じわじわとパレスチナ人の家を毎週壊し続けるイスラエル政府軍。
マスクをして顔を隠して襲ってくる入植者。子供のいる小学校をブルドーザーで潰していく。洞窟に逃げてそこで生活する人々
身体障害者であっても、病気になっても車も家も奪われただ静かに死を待つ
洞窟の中で人間らしく生きることを大切にする家族
可愛い女の子、優しいおばあちゃん
介護する叔母、踊る男の子
遠い小学校へ通い学ぶ子供たち
水タバコを吸い、気分を紛らわせる青年
食事を家族みんなで摂る
近所で気をかけあう
人の思いが通った
生活がそこにある
ただパレスチナ人であると法学部を出た優秀な学生も能力に見合った就職には就けない
車のナンバープレートもパレスチナ人の車は緑で行けるところが限定的、イスラエル人のナンバープレートは黄色でどこにでも行ける
あらゆる差別と支配がある
壊して壊しまくって
そのパレスチナ自治区にキレイな家を建てるイスラエル人入植者。
これが暴力でなく何が暴力なのかと思う
なんとか家を建てたとしてもまた壊される
自分の土地を奪われ
家畜を手放してしまうと生活はもちろんできない
布切れに家を壊さないでと書きデモをすれば理由をつけて拘束し暴力を受ける
自分の家が壊されるのを目の当たりにする中で家主があまりにひどいと、重装備のイスラエル兵に訴え、家財だけでも持ち出そうと抵抗すれば銃殺される
土地を奪われ続けるパレスチナ人
ここはヨルダン西岸なのでガザではもっと凄惨
それがこの映画撮影時の状況からさらに悪化して
ハマスがイスラエルの人を誘拐してからガザの大虐殺は悲惨な状態に。
ハマスを倒すのは難しいからと、見分けられない以上パレスチナ人を皆殺しにすると宣言するシオニスト、ネタニヤフ政権
今までだってある程度アラファト議長の時や妥協点を見つけて今よりマシだった時もあった
それが例のc◯ Aに工作されハマスを育て、一方で
イスラエル内部では金と宗教心を煽り双方の対立構造を作り続けた
このパレスチナ問題を火種にし続ける事で、いろんな方向に問題を起こせるとしているフィクサーと国際金融資本家やコングロマリット
大昔は言い出したらキリがない、ここ200から300年でみて、近年はそもそもは入植し、パレスチナの生きる権利を奪い続けたことこそ問題
ただユダヤ人も入植して2代3代と続けばそれもまたそのユダヤ人からすれば自分が生まれ育った土地になっていく
早く線引きするなり、入植はこれ以上絶対ダメとするなり、トランプがいう何らかの解決策を実行しなければパレスチナ人は土地を失い根絶やしになってしまう。
国際事情を鑑みて、パレスチナのアラブ人を直接的に助けてこなかった、クレームだけいう、サウジやアラブの強い国の姿勢も問われる、人柱にしてきたよねって思いますよ私は。
余りにも映画の実際がひどいので熱くなってしまった
私の見解が正しいわけでもない
ただ、今パレスチナ人がされていること、あれは人殺しのイジメです
ユダヤ原理主義の人たちは自分らがずっと差別されて不遇な時代を過ごしてきた、だからと言って同じことをしてはダメ
ただここまですることを良しとしてるのはユダヤ人みんなではないですから、そこはほんと大事なとこです
それぞれが利用されてることにみんなで気づいていかないと希望が見えない
人間嫌いの金金ネットワークのあちらはいつでもダブスタなのだから、、、
ため息の連続
胸に突きつけられたよう
パレスチナの青年とイスラエルの青年との友情を通して捉えた、ありのままのドキュメンタリー作品。
パレスチナ問題はあまりにも根が深すぎて、もはやどちらが悪いのかなんて軽々しくは言えないです。
ですが、560万人ものパレスチナ難民を生み出しているイスラエルは、どうしたっておかしい。
家屋を壊す、学校を壊す、井戸を潰す。
そこからは軍ではなく、入植者を使って更なる追い込みをかける。
そうしてどこにも行き場のない難民として追い出す。
その一端をそのまま映し出されています。
「最も解決が難しい紛争」とも「どちらかの国家が崩壊した時に解決する 」とも言われているこの問題。
子供たちの未来のためにも、この争いがおさまる事を祈ります。
胸に突きつけられたような作品でした。
住み家を奪われる人たち
自分とは、思えない程の怒り
ガザの停戦交渉、ハマスが人質数人、解放すると、イスラエルはパレスチナ系の逮捕者、数十人釈放します。あれ、適当な理由で、ヨルダン川西岸で逮捕された人が、大勢いるからだそうです。きっと、今日も…。
アラファト議長と、ラビン首相が合意してから、何年経ちましたかね。ガザ、及びヨルダン西岸の武力を用いた入植問題は、国際社会では知られていました。その問題を止めなかった結果は、誰が、どのように受け止めたらいい?。
この映画、イスラエル高官が正式に非難しました。内容が一方的だそうです。確かに、ドキュメント映画は、編集者の意図の下、創られます。ドキュメンタリーは嘘をつく、の所以です。でも、その意図を考慮しても、この映像を観る限り、今のイスラエルは、非人道的と言わざるを得ません。
殊に問題なのは、イスラエル兵が、パレスチナの子供達に、恐怖心を植えつけていること。あの子達の恐怖心は、やがて復讐心となり、取り返しのつかない敵対心に凝り固まってゆく…。
一方的だと主張する方々がいるので、ちょっと違った見方を。
こんな意見があります。パレスチナに同情するヒトはいるけど、イスラエルが、何故、武器を手放さないのか、何故、入植地を拡げたがるのか、その根底にある、彼らの恐怖心を和らげる為の国際協力は、あるのか?。と。
ここまでくると、専門家でない私から言及不能。ただ、虐待された子供が、虐待する親になりやすいのと同じ。キリスト教圏で、ヒトラー以前から、迫害だの民族浄化の歴史を背負わされたヒト達に、今日からみんな、友だちだよって言ったところで、受け入れるのか。傷つけられた歴史しかない民族に、他者との共存を求めるプロセスは、通用するのか?。(この問題は、ユダヤだけの話ではありません。このクニで暮らすクルドの皆さんにも、共通の問題です。)
暴力を用いる者に、制裁を与えるだけでなく、共生の道を示す神様って、いるんですかね。よその神様を攻撃するよう、けしかける神様なら、いくらでもいるけど。
入植者が武装しているのは、知りませんでした。軍隊より統制がなく、暴挙、暴発しやすいようです。その事実だけでも絶望的ですが、もし、この映画に希望があるとすれば、ユダヤ系の会員が多い、アカデミーで受賞したこと。ユダヤの皆さんにも、今のイスラエルに疑問を持つ方がいるみたい。つまり、この映画の、ユダヤのカメラマンさんは、彼1人ではない。その志は、きっとつながっている。
ペンは剣より強しと言いますが、カメラが銃より強いことを証明する時が、来たのかも知れません。
中古でいいから、あの人たちに、スマホ渡す方法、ないのかな。
ガザの住民は、全員引っ越す。後に、ガザを新しい街にする。誰もが暮らせる魅力的な街だ…。そう、のたまう大統領様がいます。この映画、観てくれないかしら。
ノー・アザ-・ランド(掛け替えの無い大地)は、誰にでも、あるのだから。
観るべき映画知るべき現実
民族と国家 世代を超えて受け継がれる闘い
第三次中東戦争でパレスチナ全土を占領したイスラエルによる入植活動はオスロ合意後も止まることはなく、また国連が定めた境界をはるかに越境した分離壁の建設も続けられていた。
ガザ地域を巨大な壁で覆い封鎖した監獄化政策はここ西岸地域でも同様に行われていた。パレスチナ自治区を細分化して互いの住民の行き来を検問で厳しく規制し、人々を分断しパレスチナ人社会の弱体化を図る。住むところを奪われた人々は都心部に移り住まざるを得なくなり、そうして人口を一極集中させる方法は難民を狭いガザ地域に押し込めたのと同じ手法だ。もはやオスロ合意で期待された二国家解決の希望は水泡に帰した。
人々は自分たちの家や学校が取り壊されてゆく様を黙って見ているしかなかった。そんな光景をカメラに収めて世界中に配信する活動家の二人、パレスチナ人のバーセルとユダヤ人のユバル。彼らが先日のアカデミー賞授賞式に姿を見せた時には少し安心した。無事であったことに。おまけにバーセルは最近子供を授かったという。彼はスピーチで子供には自分と同じ思いをさせたくないと言っていた。はたして今回の停戦で長きにわたるパレスチナ問題の最終解決となるんだろうか。
イスラエルによる入植活動や入植者たちの傍若無人な姿を映し出した映像を見ていて終始胸を締め付けられる思いだった。先祖が暮らしたこの土地で生まれそして家庭を築いて暮らしてきた愛着のある家が無残にも取り壊される光景はもし自分が同じことをされたらと想像するととてもつらかった。そして一番悲しかったのは子供たちが学ぶ学校が取り壊される映像。怒りを覚えたのは入植者による発砲の映像。しかしここに収められた映像はまだましな方で女性や子供が入植者に撃たれて殺される事件も現地では起きていると聞く。なぜここまで非人道的な行為が行えるのだろうか。もちろんこれらの入植行為は国際法に違反していて国連から再三勧告を受けてはいるがイスラエルはそれを無視し続けている。
本作は10.7のハマスによる攻撃の直前までを撮影したドキュメントであり、この直後にイスラエルによるガザへの攻撃そしてこの西岸地域にも攻撃が行われ多くの住民に犠牲が出た。
さすがに10.7によるイスラエル側の犠牲者が多かっただけにその報復攻撃も苛烈を極めた。戦闘開始からひと月でガザだけでも一万人の死者数、その内4,000人が子供だった。これはロシアによるウクライナ侵攻での犠牲者が二年間で一万人だったことと比べても膨大な数だ。その同じひと月で使用された火薬の量がヒロシマ型原爆二個分に相当するという。
ただでさえ封鎖が続いていて貧困にあえぐガザ地域、今回の攻撃で支援物資も滞り餓死者も多く出した。また攻撃は避難キャンプや病院にまで及びこれも明らかな国際法違反だった。
国連はイスラエルの一連の行為をジェノサイドだと非難している。しかし、イスラエルのこのような無差別殺戮は今に始まったことではない。過去にもガザへの侵攻で多くの子供を含む市民を虐殺している。
こうしたパレスチナ人への強硬的な姿勢は極右の後ろ盾に頼るネタニヤフ政権によるものだが、さすがにここまでの非人道的行為に対して国際的非難は免れられない。アメリカや欧州でイスラエルに対する抗議デモが巻き起こった。
もはやホロコーストの被害者という免罪符は通用しないだろう。同じホロコーストサバイバーの子孫からの批判の声も大きい。
そもそも、ハマスをテロリストと名指しして非難し、イスラエルによる報復攻撃を黙認したのは西側諸国だ。アメリカのバイデンは人道的措置を求むと言いながら軍事支援を続けた。もちろんハマスの行為はテロに該当するとしても、それだけを切り取って判断するわけにはいかない。そこに至るまでの背景を知る必要がある。長年のイスラエルの占領政策に住民たちの不満がたまり、過激派のハマスを支持せざるを得なかった事情は十分理解できる。ただ、二十年近く選挙は行われていないため現在のハマスが民意を反映しているとはもはや言えないだろう。
パレスチナの人々の共通の思いはあくまでも対話による平和的解決だ。それは多くのイスラエル人も同じ。ネタニヤフ政権への支持率はいまや15%ほどだという。
結局は修正主義シオニズムとイスラム抵抗運動の戦いに多くの人々が巻き込まれているともいえるこの戦争。実際、犠牲者の割合は一般人が圧倒的に多い。
このような血で血を洗うような無益な戦いが報道され、またイスラエルによる非人道的行為がバーセルたちのような草の根活動により世界に知らしめられたことで国際的世論はこの戦いの終わりを早急に求める方向に大きく傾いて行った。
たとえ高い壁を築き社会の分断を図ろうとも、もはや人々の思いはその高い壁を飛び越えて世界中に配信されることが可能となった。壁で人々を分断できるなどと先端技術に強いイスラエルにとっては足をすくわれる形となった。
アーティストのバンクシーの活動の原点でもあるパレスチナ。分離壁に彼はその思いを数々の作品にして描いた。分離壁を破り向こう側に広がる海の景色や風船で体を浮かせて壁を飛び越えようとする少女の絵のように彼が作品にかけた思いが今や現実のものとなりつつあるのかもしれない。
授賞式に現れた二人はパレスチナ人とユダヤ人、長きにわたりパレスチナ紛争で争いあった異なる民族同士の二人が力を合わせて今回の賞を勝ち取った。まさにこの姿がパレスチナの未来を予感させる。異なる民族同士でも共存共栄できるのだという。
今回の停戦合意がたとえうまく行かなかったとしてもいずれはパレスチナの地に平和が訪れると信じたい。
他人が住む土地を無理やり奪い取ろうとする修正主義シオニズムにノーを突きつけるユダヤ人も多い。また武力でイスラエルを排斥しようという過激派もいまや支持を得られない。
もしこのままイスラエルがパレスチナ人に対してアパルトヘイト政策を続ければ国際社会からの孤立は免れ得ないだろう。互いの民族がこの地で共存できる二国家解決こそがパレスチナ問題を終焉させる唯一の方法だ。
一日のサービスディに鑑賞。日に一回きりの上映のみ。朝8時台の上映のためか客席はまばらだった。パレスチナ問題に関するこの国の関心度合いをそのまま表している気がした。
今回の受賞で公開館数を是非とも増やしてほしい。今のところ本年度ベストワンの作品。
全116件中、41~60件目を表示