劇場公開日 2025年2月21日

「この現実を知ることが大切です」ノー・アザー・ランド 故郷は他にない アベちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0この現実を知ることが大切です

2025年3月10日
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鑑賞方法:映画館

アカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞受賞がきっかけではあるが、何としても観なくていけない映画だと思い朝イチに駆けつけた(私の近隣ではここの映画館のみ。しかも朝一回のみの上映)。イスラエルとパレスチナが長い間、憎しみ合ってる事実と今のガザ地区の事はニュース等で知ってたが本当の現実は全く知らなかった。日本人の殆どの人と同じだが、まずは自分の無知を恥じたい。特にニュース映像で度々出てくる地図にあるようにヨルダン川西岸地区とガザ地区はパレスチナの自治区と思っていたが、実際はヨルダン川西岸地区はABCに区分け(Aはパレスチナ自治、Bはパレスチナに民生権あるがイスラエルが支配、Cはイスラエルが制圧)されており、穴だらけのスイスチーズのようになっている(パンフレットの記載)。そのような事実に驚愕する。そして、このドキュメンタリーのマサーフェル・ヤッタはC地域であり、イスラエルは軍の訓練所にする名目で土地を奪おうとしている。カメラは住民の家や子どもたちの学校をなぎ倒し、ライフラインの井戸をコンクリートで埋める非道な状況を映し、ラストでは軍に守られたイスラエルの入植者(パレスチナ人を追払いそこに住もうとしてるイスラエル人)が抵抗する住民に銃で撃つシーンまで観ている我々に突きつける。
映画を作ったパレスチナ人のバーセル・アドラーとイスラエル人のユヴァル・アブラハーム(この2人の友情が奇跡)はベルリン国際映画祭のスピーチでこの映画のような状況を訴えたが、ドイツベルリンの市長は「ドイツはイスラエル側についている」として、ハマスによるユダヤ人に対するテロの責任を追求したと言う。同じくイスラエル側にたつアメリカはそもそも最初は上映されておらず、自主上映で評判となりアカデミー賞にたどり着いた。又トランプ大統領はガザ地区の住民は退去してもらいそこをリゾート地にするなどと言う始末である。
終結など全く見えない状況だが、ホロコーストが誰でも知っているように、世界のあらゆる人々が今の現実をもっともっと知り、非難の声を上げ続けるしか方法はないと思う。
先ずは、この映画を観てもらってから、、。

アベちゃん
アベちゃんさんのコメント
2025年3月11日

こちらこそ、ありがとうございます。私はたまたま、定年後自由になり、映画もNHKのドキュメンタリーもゆっくり見れるようになり急速に世界の不条理に関心が持てたが、普通に働いてる人は毎日が大変なので社会で起きてることにはだいたい無関心になります。それでも、今の若い人たちがもっともっと世界で起きてる戦争や紛争を知るようになってもらいたいと思います。その為には、私たちはどうすればいいのか?てな事を考えています、。

アベちゃん
humさんのコメント
2025年3月11日

共感ありがとうございます。本作、入植者の行動などを知らずにいたのでショッキングでした。人がつくる分断の波紋に対する命がけの声。それが正しく押し返すものになるには?と考えながらあまりにも私も無力。しかし知らなければですね。この辺でも上映はわずかです。
命の危機を浴びる純粋なこどもの叫びが、基本的なものをいいあてて胸の奥にこだまします。

hum