「カメラを回し続けたからこその様々な残酷さ」どうすればよかったか? ハングさんの映画レビュー(感想・評価)
カメラを回し続けたからこその様々な残酷さ
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まずは20年間断片的ではあるがカメラを回し続けたことによる残酷さを感じられた。
たがらこそ、これぞドキュメンタリーという傑作に感じる。
そして、家族がカメラを回してるからこその映像の生々しさも感じられた。
その中で一番自分が感じたのは時の流れの残酷さ。
20年間カメラを回し続けたことによって時系列でお姉さんの統合失調症、母親の認知症、そして老化を見せつけられる。映像作品(ドキュメンタリー)でないと感じられない時間経過を見ることができる。
お姉さんの統合失調症が軸になっている作品で、ネタバレになるが最終的に統合失調症は治る。しかし、最初の発症から治るまでに約20年くらいかかってしまったわけで。
よく『時間が解決してくれる』という言葉があるが、結局見て見ぬふりをすることで20年間病気は治ることもなく、むしろ事態は徐々に悪くなっていく。家族もそれにきっと苦しめられただろう。
いい薬が見つかって姉の病気はよくなりましたとなったときに、20年間を無駄にしてきたように気がした。
よくなったときには全員が結構いい年齢になっており取り返しのつかない時間が経ったことを映像を通して伝わってきた。
それを経て、最後のインタビューの際の父親の『間違ってはなかった』という言葉に心が苦しくなった。
自分ごとで考えたときに、これからも何もしなかったら何も起こらないで時間は粛々と流れでいく。そして、両親は歳をとって、祖父母も死んでしまう。
たがらこそ『今、どうすればいいのか?』を考えるべきだろう。
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