「文字通り「どうすればよかったか？」を問いかける作品」どうすればよかったか？　officemabuyaさんの映画レビュー（感想・評価）

家族という閉鎖空間のなかで，精神疾患を発症したら，，，とあり得そうだけど否認したくなる現実に向き合う藤野監督。姉と同時代の空気を生きてきた者として，発症当時の疾患名がいかに差別的であり人間であることを否定するような名称だったことも25年間，医療につなげられなかった遠因としてあるように思う。
どうすればよかったか？
両親も姉の実弟である監督もよりよい方向を考えてはいたであろう。
家族の恥，世間体，，，，様々なことが障壁となり自己正当化バイアスも作用しながら時間が過ぎていったのだろう。
医療に繋がると3ヶ月の入院で疎通性が向上，もっと早くに・・・とついつい思ってしまう。
どうすればよかったか？
正解はないだろう。
しかし，家族という閉鎖空間で全てが，育児や介護も含めてだ，完結する，させなければならないという桎梏を問い直す必要がある。

監督が家族という空間を拡げるということに風穴をあけてくれた。
そう思う。

同じように家族にレンズを向け他作品を帰り道に思い出した。
それは小林貴裕監督の「Home」であり，赤崎正和監督の「ちづる」である。