「完全にホームビデオや録音だけでできており、ドキュメンタリーというよ...」どうすればよかったか? ymさんの映画レビュー(感想・評価)
完全にホームビデオや録音だけでできており、ドキュメンタリーというよ...
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完全にホームビデオや録音だけでできており、ドキュメンタリーというよりはある家族の記録という方が正しい。もちろん載せていない記録や場面もあるだろうから、ドキュメンタリーとしての編集は免れないのだろうが。エンドロールが監督本人ともう1名程度だったのが非常に印象的だった。家族同士の執着、世間への見栄、なによりも奥に間違いなく横たわる愛情がますます問題を複雑にしていく様や、喧嘩とまではいかない小競り合い、諦めにも似て、理論で片付かずに時間が過ぎていく様子などが非常に身に迫るものだった。いつ自分やその家族もこうなっても不思議ではないと感じながら見ていた。冒頭の母の怒鳴り声、なんで私にばかり恥をかかせるのか、なぜうちから分裂症が出ないといけないのか、という言葉が根本的なコンプレックスを象徴しているように思った。世間の目を気にすることが家族が抱える問題と向き合うことへの足枷になっていたのだろうか。南京錠は姉だけでなく家族を家に閉じ込めていたのだろうか。父、母、監督、姉、叔母、それぞれの人間らしい想いが生々しく垣間見える。晩年お姉さんが治療により意思疎通や生活を取り戻し穏やかになっていく様子がとても印象的だった。本人が少しでも楽しい時間を胸に旅立ってくれていればと思う。
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