「どうすることもできなかった苦悩の25年間」どうすればよかったか? サスペンス西島さんの映画レビュー(感想・評価)
どうすることもできなかった苦悩の25年間
2024年劇場鑑賞103本目 傑作 78点
まず、閉じ込めていた25年間という月日は、このレビューを投稿している当方が誕生してこんにちに至るまでの年数と同じ期間である
0歳から25歳と成人前後から40代半ばの25年間では触れる経験も体感の年数も違うが、四半世紀という言葉通りの衝撃的な長さをある種牢獄よりたちが悪い箱に閉じ込められていたと思うと言葉が出てこない
時代とそれに伴う情報の正確性と信憑性の乏しさ、今作の事象に至るまでの両親の功績から蓄えられた人間性など、もし当事者だったら正しい判断が出来たとは声を大にして言えないのが悲しい
これが正解だったのかは誰もわからないし、現代になってこの時こうであるべきだっただろうなどとはいくらでも言えるので何も言えないが、ドアの向こうで悲鳴を上げる夜に肩を落とすシーンを見ると、認知症の祖母の時間によって機嫌や気性が悪くなる苦悩を少なからず経験してきたので、少しばかり同年代の他観客より絵や文字より痛みがわかるから尚更言葉がない
弟は幼少期からお世話してくれて大好きな姉の不可抗力な変化を志し半ば受け止めて、それでも二人の間は変わらずあの時の二人で、色眼鏡なく随所でそれが英断なのかと疑問を抱き不思議に思ういわば一番視聴者に近いが、そんな中立にたたないといけなかった彼自身の25年間が一番悔やまれるが、きっと彼の生きる理由だったのだから、それを引き剥がす権利は後にも先にも誰もいない
人生を持ってこの映画を届けてくれてありがとう
コメントする
