「こちら側の問題」白雪姫 U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
こちら側の問題
よく知る"白雪姫"の話だった。
引っかかったのは名前の由来だけど「雪のように白い肌」ではなかったかと。この設定が昨今のポリコレに抵触するんだろうなぁ。
色々と物議を醸した本作だけど、物語としては王道だし、それを余すとこなく伝えていたと思われる。
歌唱も歌詞も素晴らしかったのではなかろうか。
白雪姫は慈愛に溢れ、そんな彼女を慕い、そんな彼女だからこそ助けようとする人々が彼女を支えていく。
CGに触れるわ、CGと物を手渡しできるわ、一昔前だとあり得ない事が普通に起こる。
悲しいのは、観客である俺の価値観が変わった事だろうか?
どうにも、素直に受け取れない。
公平だか公正って言葉が鼻につく…そんなものが実現不可能な絵空事だと感じてしまっているから、そんな夢物語を吹き込んでいいものなのか、と。
逆にそんな単語が挿入されてるって事は、現状がそうなってない事の証明なんだろうなぁとか。
後は、女王のやってる事が日本の政治家とリンクしまくってて…やるせない。
…捻くれた見方だと重々承知している。
子供向け、なれど、それで済ましていいのかなぁと妙な疑念を抱いている。
国を不当に支配している権力者を追い落とす物語なのだ。彼女が先導するから尚もそう思う。
ジャンヌダルクが始まるのかと思い、あの赤いマントの下には鎧を着込み剣を携えている白雪が現れるのかとドキッとした。
そんな野蛮な展開にはならなかったけど、御伽話の範囲内で収まらなさそうな話にもなってる。これからの世代には必要な事なのかなぁと、ボンヤリ思いながら、直接民衆の前に現れる女王に潔さを感じてみたり。
あー、なんかもう歪な現実が邪魔して、真っ直ぐ見れなかったような感覚がある。
ポリコレの問題にしたって、公平なオーディションをして彼女がピカイチだったなら、それでいいじゃないか。そこに余計な価値観が流れこんでいないのなら。
白人にしたら人権団体がうるさいとかの理由があるのだとしたら、それは公平なものではないよね。
つまり、アレだ。
御伽話が現実の影響を受けてしまったら、御伽話として成立しないって事なのかもな。
この先、20年後には今あるゴタゴタがある程度整理されて、この作品への色眼鏡も取っ払われるのかもしれない。
…そん時には違う価値観に染められた「白雪姫」が生まれているのかもしれないけれど。
もう子供のような目線では見れないなぁ。
俺はこの物語を孫と一緒に見た時にどんな話をするんだろうか…?