劇場公開日 2025年3月20日

「自分の使命を自覚した少女(白雪姫)の成長物語」白雪姫 toshijpさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0自分の使命を自覚した少女(白雪姫)の成長物語

2025年3月20日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

幸せ

萌える

お子様連れにお勧めできる良質のエンターテインメント。
そして大人の自分が鑑賞しても心に響く作品だった。

オリジナルのアニメーションは幼少期にテレビで観たような
気がするものの鮮明な記憶としては残っていない。

実写版を鑑賞しての第一印象は「こんなに感動的な話だっけ?」
もちろん実写化にあたり物語の練り直しがあっただろうから
その脚本が良かったのだと思う。

アニメ版との設定の違いとか楽曲の追加とか云々は自分は
詳しく知らないので単体の映画としての感想になる。

ヒロインが幸せを待っているだけの存在ではなく自ら行動することで
人の心も動かし、最後はみんなを幸せにしていくところが良かった。

白雪姫の両親(王と王妃)は善き人で、いずれ王位を継承する一人娘の
白雪姫も善き人になって国を治めるように願い、愛情をもって育てた。
彼女に教えたのは王・女王としてだけでなく人としての正しい生き方
そのものだった。白雪姫は心が清らかな誰からも愛される人になった。

悲劇が重なり逆境が訪れる。白雪姫は自由を奪われても健気に生きていくが
本当に自分がなりたいと思った自分でいられないことで悩み葛藤する。

様々な出会いを経験するが白雪姫の真っ直ぐな生き方・考え方が会う人を
味方にしていく。彼女が言うと説得力があるが決して説教臭くはない。

初恋も経験するが恋愛の描写は割と淡泊な気がした。

権力を手にした者が権力を維持し富を独占しようとする心の醜さ。
対極にある善き人は誰に対しても公平で、奪うのではなく分け与える。
どの時代のどの世界でもあり得る普遍的なものが描かれているので
童話の世界の話であっても絵空事とは感じない。

邪悪な女王に乗っ取られてしまった国を元通りの平和な、人々が幸せに
生きられる国にするためには誰かを頼るのではなく自分自身が立ち上がら
なければならない。その使命を自覚した白雪姫は勇気を振り絞って
悪い女王に対峙する。その姿が凛々しくて感動的。

悪い女王の言いなりになっている兵士たちの心を動かす方法も彼女ならではの
ものでその部分も良かった。

ミュージカルとしての楽しさも満喫できた。レイチェル・ゼグラーは
歌唱力だけでなく役者としても表現力があった。映画の中で見せる
様々な表情が良かった。ドレッドヘアの●●姫とは別格(個人の感想)。
楽曲の良さと彼女の表現力の合わせ技でとても泣ける映画になった。

ガル・ギャドットは徹底的な悪役を好演。

森の風景、七人の小人たち、物言わぬ動物たちが織りなすファンタジーの
世界観など映像面では万人が思い描く白雪姫のイメージを尊重して
敬意をもって製作された感じがする。

109分という上映時間がちょうど良かった。余計な要素を付け足して
上映時間を引き伸ばした(冗長に感じる)映画もある中でこの短さは
潔いと感じた。簡潔だけどしっかり感動できた。

toshijp