海辺へ行く道のレビュー・感想・評価
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すべての芸術家は「自称」であるべき
原作があるというのを見終わるまで知らなかったので、この映画単独の感想。
芸術家気取りや芸術を敬遠または忌避する人、芸術と聞いただけで盲信する人、黒猫、芸術家は気まぐれであるとの世評を利用する人、才能に自覚のない人、他人の才能を悪用する人などが織りなす、芸術表現をめぐる様々なぶっちゃけ話。
芸術の何たるかを語る知識も鑑賞眼も持ち合わせてはいないが、例えば内なる狂気を他者に伝える技術であるとか、生存に必須ではない物に価値を持たせる営みであるとか、子供の心を洗練された技術で表現する事、みたいなのを色々考える機会にはなった。
剛力彩芽がいい感じに発酵(劣化ではないよ)してた。子役達も余り無理してなさそうなのが良かった。
爆発的ではないけど、ずっと、ずるずるじわじわとおもしろい
大好きな「ウルトラミラクルラブストーリー」の横浜聡子監督の最新作。公開週の金土日が重要と言われていて、初日に観られたんだからすぐ感想上げなさいよ!
モノづくりが好きで純粋な若い子たちを中心において、取り巻く変な大人が次々出てきて爆発的ではないけど、ずっと、ずるずるとおもしろい。
とにかく登場人物がみんな少し可笑しくて愛らしいお話。お気に入りは「静か踊り」のパートと桟橋ランチの客としてやってくるクドカンさんパート。認知症のおばあさんとおじいさんのデスマスク(?)の逸話は笑いではなく良かった。
演者は本当にみんな良かったけど、澄んだ心の主人公原田くん、恐ろしき包丁捌きの麻生久美子さん、胡散臭さと実在しそうな感じが見事に調和した諏訪監督、謎の美女唐田えりかさん、新聞部の同級生役の山﨑七海さんがとてもいいなと心に残る。思い出しながら書いていると、あ、本当にいい映画だったし、好きだわと改めて感じる。
近くでやってたらぜひぜひ観てこの世界観を受け取ってほしいです。
変な人たちのエピソード集
タイトルに書いた以上のものはない。恐らく原作のエピソードをただ並べただけなのだろう。まったく芸がない。個々には少し面白いエピソードはあったが(序盤のスキャナーズ展開とか)、ただそれらが並んでるだけでは飽きてしまう。
主人公に何か問題を与え、映画全編を通して解決しようとする展開を中心に据え、その周りに変な人の変なエピソードが並ぶようにすべきだ。それが映画の脚本とというものだろう。こんなグダグダな脚本なのにプロデューサーがゴーサインを出したか理解に苦しむ。
あと主人公が作り出す「アート作品」のどれもイマイチだったのも痛い。「君の作品には批評がある」とか言っても見てるこちらとしては「そこまでのもんか?」としか思えないものばかり。素人が見ても「なるほど、この子には才能があるんだな」と納得させるものが必要だったのでは?
独特の映像表現と多士済々の演者が見物でした
主人公は中学生の南奏介(原田琥之佑)ということでしたが、序盤は高岡(高良健吾)とヨーコ(唐田えりか)のペテン師コンビが登場し、不動産屋の谷川理沙子(剛力彩芽)がこのペテン師コンビを賃貸物件に案内したりと、誰がメインか分からない、ちょっと散漫とした展開でした。でもNetflixの名作ドラマ「極悪女王」でクラッシュギャルズを演じた唐田・剛力コンビが登場したのは、結構目を見張りました。
ちょっと雲をつかむような展開だった序盤でしたが、徐々に登場人物が繋がっていき、中盤以降は盛り上がりを見せて行きました。理沙子が案内する怪しげな”芸術家”と、美術部所属の奏介との絡みをはじめ、人間関係が薄っすらとではあるけれども重層的になって来ると、俄然面白くなりました。
そして本作の見所はと言えば、その独特の映像表現でした。芸術家を誘致して街おこしを図っているらしい瀬戸内の海辺の街が、とても輝いて見えて実に綺麗であり、かつ浮世離れした感じがあって中々良かったです。ストーリー的にも、地味に超能力が登場したり、謎の怪物が跋扈して街の人々を困らせたりと、微妙にSFっぽい要素があって浮世離れしており、映像とストーリーが合致していたように感じられました。
また、登場人物たちの怪しさも最高。冒頭紹介した詐欺師コンビをはじめ、生徒が撮影したスクープ画像を勝手にネットにアップしてしまう中学校の大岩先生(宇野祥平)、海の中で生活しているらしい五郎(宮藤官九郎)、海辺でランチを販売している静香(坂井真紀)、お祭りの金魚すくい屋(吉岡睦雄)、謎の美術商A氏(諏訪敦彦)、奏介の叔母でありつつも実は借金取りのため街にやって来た大林メグ(菅原小春)などなど、とにかく多士済々の顔ぶれの怪演が非常に楽しかったです。
そんな訳で、本作の評価は★4.2とします。
不思議な芸術作品?
夏の海辺できらめく創作の輝き
■ 作品情報
監督・脚本 横浜聡子。原作 三好銀。主要キャスト 原田琥之佑、麻生久美子、高良健吾、唐田えりか、剛力彩芽。
■ ストーリー
アーティスト移住支援を謳う海辺の町でのんびりと暮らしている14歳の美術部員・奏介は、仲間たちとともに、演劇部に依頼された絵を描いたり、新聞部の取材を手伝ったりと、楽しく多忙な夏休みを過ごしていた。そんな奏介や仲間たちが、創作活動を通して経験したさまざまな出来事を描いていく。
■ 感想
予告編で感じたほのぼのとした雰囲気はそのままに、観る者を心地よい世界へと誘ってくれます。抜けるような青空と、どこまでも広がる雄大な海を背景に、創作活動に勤しむ少年たちの自由な発想と、その楽しげな様子がスクリーンいっぱいに広がり、夏の開放的な気分に満たされます。彼らが作り出す世界は、まるで彼らの心そのもののようにいきいきとしていて、観ているだけで心が洗われるような感覚に陥ります。
物語は、包丁の実演販売、独居老人の相手、人魚像の制作、少年の淡い恋、不穏な祖父の影、介護虐待の疑惑、芸術家への融資、鳥の笛など、本当に多くのエピソードで彩られています。それはまるで、夏の日に海岸に打ち上げられた貝殻や流木のように、それぞれが個性的で、固有の物語をもっているかのようです。最初は、それらがどこに向かっているのか、どう繋がっていくのか掴みかねて戸惑いを覚えました。一般的な映画のような起承転結を求める方には、もしかしたら物足りなく感じられるかもしれません。
しかし、本作は最初から「まとめる」ことを意図していないのかもしれない、と気づいた時、その見え方が一変します。金のためでも、評価のためでもなく、ただ「描きたいものを描きたいように描く」という純粋な衝動が、作品全体を貫いているように感じます。それはまさに、劇中の少年たち、奏介たちが純粋に創作を楽しむ姿と重なり、芸術の根源的な喜びを教えてくれているかのようです。
夏の海辺で青春を謳歌する少年たちの眩しさ、そして自由奔放な物語の展開を、五感で楽しむ。そう考えると、この映画が提示する「投げっぱなしの美学」は、案外心地よいものに感じられます。
私は嫌いじゃないけどね~
公開初日午前中の映画館の観客は私1人だけでした~
私は盛り上がりに欠けたストーリーであろうと無かろうと、真夏の暑さの中で、熱に浮かされてたり、走ったり、モヤモヤしてたり、ぼ~っとしてたりする子供たちの映画は嫌いじゃないので、評価がどうであろうと足を運びます。
ただ今回は、まず最初に画面の大きさに「えっ!そうなの?」となりました。段々気にならなくなりましたけどね。
大人たちの、いや大人たちなりの厭らしさの中で、子供たちの素直さが気持ち良かったです。
夏だし暑いし、いろいろあるけど、元気ですという感じが、この季節特有のものだと思い出したり、やっぱり思春期は女子が強くて、男子は呑気だわ〜と感じたり。
演じた子役たちも、あっという間に大きくなってしまうのだろうが、この季節を忘れないで欲しいと思いました。
評価の星3つは、画面の大きさと時間の長さと音楽でしょうかね。
カナリアの笛は鳴ったかな?
なぜ画角が4対3?
芸術家は、自称、であるべき。
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