「爆発的ではないけど、ずっと、ずるずるじわじわとおもしろい」海辺へ行く道 たずーさんの映画レビュー(感想・評価)
爆発的ではないけど、ずっと、ずるずるじわじわとおもしろい
大好きな「ウルトラミラクルラブストーリー」の横浜聡子監督の最新作。公開週の金土日が重要と言われていて、初日に観られたんだからすぐ感想上げなさいよ!
モノづくりが好きで純粋な若い子たちを中心において、取り巻く変な大人が次々出てきて爆発的ではないけど、ずっと、ずるずるとおもしろい。
とにかく登場人物がみんな少し可笑しくて愛らしいお話。お気に入りは「静か踊り」のパートと桟橋ランチの客としてやってくるクドカンさんパート。寝たきりのおばあさんとおじいさんのデスマスク(?)の逸話は笑いではなく良かった。
演者は本当にみんな良かったけど、澄んだ心の主人公原田くん、恐ろしき包丁捌きの麻生久美子さん、胡散臭さと実在しそうな感じが見事に調和した諏訪監督、謎の美女唐田えりかさん、新聞部の同級生役の山﨑七海さんがとてもいいなと心に残る。思い出しながら書いていると、あ、本当にいい映画だったし、好きだわと改めて感じる。
近くでやってたらぜひぜひ観てこの世界観を受け取ってほしいです。
<11月25日2度目の鑑賞後の追記>
2回目を大宮に今年誕生したミニシアターOttOさんで観た。残念ながら2週間限定で本日が最終日。ちなみに29日の金曜からは横浜聡子監督特集で日替わり全作品上映。未見の短編もあるのでなんとか予定をつけたいところなんだけど…
1回目でとても興味が湧いたので、三好銀さんの原作漫画をセットで買って読んでの鑑賞となった今回。原作にさまざまあるエピソードのどれを拾って、その中でもどこを削ったり付け足したものは何かだいたい把握したうえで観たわけだけど、改めて世界観を尊重しながら再構築した横浜監督の手腕を感じることができた。全体的な印象は1回目と変わらないけど、静か踊りは2回目はちょっと増長に感じ、クドカンさんパートはやっぱりとっても面白かった。
モグラ叩きのモグラみたいにちょこちょこ現れては消える変な大人たちが、みんな楽しかったな。1回目はこの不思議な物語がどこに着地するのかわからなくて、そのせいで140分を長く感じもしたけど、今回は着地点もわかってるので、映画の楽しさ愛らしさをとことん堪能しながらの鑑賞で、体感110分くらいに思えたのはなんか不思議な感覚だった。
1回目で当確だと思っていたけど、今年のベスト10入りは確実です。
