劇場公開日 2025年8月29日

「独特の映像表現と多士済々の演者が見物でした」海辺へ行く道 鶏さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 独特の映像表現と多士済々の演者が見物でした

2025年8月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

主人公は中学生の南奏介(原田琥之佑)ということでしたが、序盤は高岡(高良健吾)とヨーコ(唐田えりか)のペテン師コンビが登場し、不動産屋の谷川理沙子(剛力彩芽)がこのペテン師コンビを賃貸物件に案内したりと、誰がメインか分からない、ちょっと散漫とした展開でした。でもNetflixの名作ドラマ「極悪女王」でクラッシュギャルズを演じた唐田・剛力コンビが登場したのは、結構目を見張りました。

ちょっと雲をつかむような展開だった序盤でしたが、徐々に登場人物が繋がっていき、中盤以降は盛り上がりを見せて行きました。理沙子が案内する怪しげな”芸術家”と、美術部所属の奏介との絡みをはじめ、人間関係が薄っすらとではあるけれども重層的になって来ると、俄然面白くなりました。

そして本作の見所はと言えば、その独特の映像表現でした。芸術家を誘致して街おこしを図っているらしい瀬戸内の海辺の街が、とても輝いて見えて実に綺麗であり、かつ浮世離れした感じがあって中々良かったです。ストーリー的にも、地味に超能力が登場したり、謎の怪物が跋扈して街の人々を困らせたりと、微妙にSFっぽい要素があって浮世離れしており、映像とストーリーが合致していたように感じられました。

また、登場人物たちの怪しさも最高。冒頭紹介した詐欺師コンビをはじめ、生徒が撮影したスクープ画像を勝手にネットにアップしてしまう中学校の大岩先生(宇野祥平)、海の中で生活しているらしい五郎(宮藤官九郎)、海辺でランチを販売している静香(坂井真紀)、お祭りの金魚すくい屋(吉岡睦雄)、謎の美術商A氏(諏訪敦彦)、奏介の叔母でありつつも実は借金取りのため街にやって来た大林メグ(菅原小春)などなど、とにかく多士済々の顔ぶれの怪演が非常に楽しかったです。

そんな訳で、本作の評価は★4.2とします。

鶏