秒速5センチメートルのレビュー・感想・評価
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失恋してる人には響く
友達と見に行ったけど友達はそこそこだったらしい。
これは失恋したことがある人は見た方がいい。
あと1人で行くことの方がおすすめする。
私は最初っから最後までものすごく引き込まれて誰かと語り合うというより一人で静かに余韻に浸かりたい感じ。
映画中に過去の恋愛が蘇る。そこでの共通点は向き合おうとしなかったこと。
相手の気持ち、自分の気持ちに気づいていながらも見て見ぬ振りを似て現実から逃げていたこと。
私の人生は後悔ばかりです。
「好き」って言葉にしないと伝わらないし
言うか言わないかで人生が変わるなと思いました。
0.0003%の確率で出会った人、一人一人とちゃんと向き会いたいなと思った。
原作への理解と敬意に溢れた傑作
オリジナルのアニメ作品では描かれなかった追加要素が、原作の精神性を全く邪魔せず、むしろそれをより強調するようなスパイスに仕上がっていて、満足度がはるかに高い。
音楽の使い方、フィルムで撮ったような淡い映像、原作からのセリフやカットの引用の塩梅など、奥山由之監督のセンスが抜群。
松村北斗はとんでもない逸材であることを今作を見て確信した。これからの日本映画を牽引していく俳優になるだろうと思う。
全編ぼんやりしていて輪郭のはっきりしなかった映像が、ラストシーンで遠野が振り返ったあとくっきり、はっきりしていく演出は実写ならではで個人的にものすごく好きな改変だった。
最後まで観るのに根気が要りました
アニメ未見てす。
タカキのコミュ障には何か理由があって、その理由がストーリーの展開につれ明かされるのだろうと思いながら見ていたが、延々何も出てこない。情感たっぷりな描きっぷりが意味ありげだが、タカキではない私には彼の心など読めず、情感の核となるものが分からないのでもどかしくてストレスフルだった。
人間関係やら何やら、偶然が重なりすぎ。
ふたりが何度も接近遭遇しそうになり期待を持たせながら、これまた毎回「予期せぬ偶然」から回避。
でもって「一言」は何?
色々引っ張り過ぎて、本来短時間で終わるだろうに回りくどい発表や報告で、延々テーマの核心にたどり着かないミーティングに参加したみたいな気分になった。
結局、タカキのコミュ障は、元々の性質で、特に何かで引き起こされたものではなく、小学生のころ心通わせ合った女の子が忘れられないまま年を重ねただけ、そして女の子の方ではそれはすでに過去の思い出、違う道を歩いていたという、「パストライブス」みたいなハナシでした。
何でお互いの中間地点あたりで待ち合わせしないのかと思ったけど、明里がタカキにあの桜の木を見せたかったなら仕方ない。
大雪の中、心細かったろうに苦労してたどり着いた岩船で、あんな美しい思い出ができたら、タカキが引きずってしまうのは無理からぬこととも思う。
小田急は息をするように遅延するユーザー泣かせの路線なのになぜか雪には強い。大雪でも健気に走ってくれちゃうので、行こうとすれば行けてしまうのが罪です。
思わせぶり、情感たっぷり過ぎで逆に冷めてしまって、ひときわ長さを感じた。森七菜のエピソードはまるっと不要ではと思うし、宮崎あおいの姉も出てくる意味ある?
森七菜パートと宮崎あおい姉部分をまるっとカットして短くしたら少しは締まったかも。。
実写をわざわざアニメ風に加工したような映像もちょっと微妙。
高評価する方がいるのは当然と思えますが私には合いませんでした。
TV放送したアニメを録画してあるけど今のところ観るための根気が湧いてきません。。
海の光が“現実”を照らす 86点
『秒速5センチメートル』は、映像の美しさと構成の丁寧さが印象に残る作品でした。
特に海のシーンは、光の反射や波の揺れまで細かく描かれていて、アニメーションなのに現実よりもリアルに感じます。
物語の構成もよくできていて、最初に見せた場面が終盤で繋がっていく編集がとても自然でした。時間の流れや記憶の循環を、セリフではなく映像で語るような演出に引き込まれます。
松村北斗さんの演技は控えめで、感情を押し殺しながらも心の揺れを丁寧に表現していて印象的でした。後半の「また会おう」と誓う場面では、切なさと現実の重さが胸に残ります。
吉岡秀隆さんも静かな存在感で物語を支えていて、この作品の世界観にとてもよく合っていました。
派手さはありませんが、映像・構成・演技のどれもが高い完成度でまとまった、静かに心に響く作品です。
繊細な心理描写を表現することに関してはアニメは向いていない
2025年映画館鑑賞100作品目
10月25日(土)イオンシネマ石巻
6ミタ0円
監督は『アット・ザ・ベンチ』の奥山由之
脚本は『愛に乱暴』の鈴木史子
2007年の新海誠監督の劇場アニメの実写版
いつまでも初恋の女性を忘れられない男性と中学時代にサッパリと切り替えた女性の物語
監督はあまり存じ上げない
本業は写真家らしい
新海誠のアニメの方はしっかり観たであろう
それを感じさせる
新海誠の良さを活かしている
舞台
1991年東京2人の出会い
中学生時代冬の栃木岩舟
高校時代種子島
成年時代新宿と岩舟
ロケ地
埼玉県羽生市手子林小学校
鹿児島県熊毛郡中種子町種子島中央高等学校
中種子町:アイショップ石堂大平店
東京都新宿区紀伊国屋書店新宿本店
東京都西東京市多摩六都科学館
繊細な心理描写を表現することに関してはアニメはあまり向いていない
漫画とかアニメは簡略化だから
漫画はそれでもアニメと違い動かないし音声はないわけだから読者の想像でいくらでも補強できるがアニメはその手間がないのが却っていけない
せめて『AKIRA』くらいの画力を求めたいがあっちはどちらかというと背景はともかく人物に至っては低予算のエロアニメレベル
いくら声当てがお芝居しても限界がある
デジタル化したとはいえアニメーターの膨大な手間暇を考慮したらいっそのこと顔出しの人間の俳優が演じた方が手っ取り早い
人類はその点で繊細な表情表現でしっかりとコミュニケーションを取り絆を深め氷河期を乗り切った実績がある
アニメはSFとか現実離れしたアクションを表現することに長けている
アニメの『秒速5センチメートル』にはそれがなかった
新海誠が山崎まさよしの歌に影響を受けてアニメ制作したのだろうがアニメに向いている内容ではなかった
新海誠のアニメ作品の実写化は『君の名は。』の大ヒットから話が持ち上がっていたはずだ
80年代のおっちょこちょいなら『君の名は。』を実写化して大失敗しただろうがそれをやらなかったのは賢明だ
よりにもよって新海誠作品の中では傑作とは言い難い作品を選んだのは正解
むしろ新海誠監督は感謝しているに違いない
貴樹役の松村北斗がほぼ終始抑えめの芝居をしている
長めの前髪がとにかくうざい
しかしプラネタリウムで明里への想いの丈をぶつけるシーンでガラッと変わる
そこで一気に爆発する
前髪全然ウザくない
脚本を熟読し彼なりの演技プランがあったのだろう
あのシーンだけ業を煮やした監督にハッパをかけられ渋々おもい腰をあげ本気を出したわけではあるまい
聞き手の科学館の館長役が吉岡秀隆ってのがまた良い
妹役の中嶋朋子に先を越され焦っていたのか「置いていかないでくれよー」と言い放った嘘か本当かわからないエピソード好き
いまや日本映画業界に欠かせない押しも押されぬ老いてなお盛んなベテラン俳優として君臨している
それなのに内田有紀との結婚がなぜうまくいかなかったよくわからないがあの頃は若かったのだろう
白山乃愛がガキのくせに生意気に細かい芝居を随所に見せる
老獪なピッチングで打者を翻弄する技巧派のベテラン投手のような心憎い見事な演技力
子供にここまでやられては成人女性は負けていられない
あんなほんわかしている高畑充希や森七菜だって女優魂に火がついてしまう
貴樹の恋人役の木竜麻生なんて監督に「脱ぎましょうか」と提案するくらい前のめりになってしまったかもしれない
白山乃愛のキスシーンをあえてああいう表現にしたのはいいね
昔の映画なんてあんな感じだった
『カルメン故郷に帰る』なんて結局脱がないんかい!だし
片岡千恵蔵主演の『大菩薩峠』なんて長谷川裕見子犯すシーンはないんかい!だし
でもハグするシーンはあの年代からすればとても恥ずかしくてハードルがかなり高いんだろうけど白山乃愛は早くもプロフェッショナルとして自覚があるからできちゃうんだな
白山乃愛は影のMVPだよ
女ってその気にさせて罪だよね
まあ中坊があそこまでやられたらそりゃ勘違いするよ
ミルマスカラスのテーマ『スカイハイ』じゃないけど有頂天から奈落の底だよ
男ってさ基本的に気持ち悪いんだよ
いつまでもいつまでも
女は切り替えが早いのに
あっちは水商売なのに男はバカだから本気になっちゃって腹いせに罵声を浴びせるのに留めておけばいいのにわざわざナイフなんか持ち出して馬鹿みたい
気持ち悪くない男に巡り合ったら残りの生涯を共にする運命の人かもしれない
でもさいつまでも女性を想い続ける男ってある意味において素敵だとは思うよ
俺には到底できないけど
ラストの踏切のシーンがアニメと実写版で全くの真逆
だけど実写版の方がむしろ良い
配役
新宿在住のシステムエンジニアの遠野貴樹に松村北斗
貴樹の種子島中央高校時代(弓道部所属)に青木柚
貴樹の小中学期に上田悠斗
貴樹の初恋の女性で新宿の紀伊國屋書店の店員の篠原明里に高畑充希
明里の小中学期(親が転勤族で東京に転校したが小学校卒業と同時に栃木に引っ越し貴樹と離れ離れになる)に白山乃愛
貴樹の種子島中央高校時代のクラスメイトでサーフィンを嗜む澄田花苗に森七菜
貴樹の成人期の恋人で貴樹の同僚の水野理紗に木竜麻生
貴樹の上司の久保田邦彦に岡部たかし
貴樹の同僚の戸塚宗次郎に田村健太郎
貴樹の同僚の酒井直に戸塚純貴
貴樹の同僚の大野泰士に蓮見翔
理紗の同僚の金子あさみに中田青渚
紀伊国屋書店の店長の柴田治に又吉直樹
紀伊國屋書店の店員の田村四季子に堀内敬子
紀伊國屋書店のバイトの大橋純透に佐藤緋美
花苗の親友の砂坂翔子に白本彩奈
花苗の姉で種子島高校の教師の輿水美鳥に宮崎あおい
科学館の館長の古川龍一に吉岡秀隆
あさみの友人かつ同僚に納葉
小学校時代のクラスメイトに一ノ瀬すばる
小学校時代のクラスメイトに山田忠輝
小学校時代のクラスメイトに福永唯人
小学校時代のクラスメイトに古林隼斗
小学生に山田詩子
科学館の女児に岡菜々美
出逢いは必然で奇跡かも…
私自身が覚えていたいことがたくさんあるから長文!
すぐ忘れるから!
まずタイトルが素敵!新海誠さんは言葉を大切にされる方なのだろうな。
そして映画を観て…
ああ…
そうだよね
そうなるよね
やはりそうか…
ほんの少しだけ、実写版ではハッピーエンドにしてくれないかな〜と、小さな希望を持っていたけど、やはりアニメ原作通りだよね。でも知ってる、これで良いって。
私はとても好きな作品だった。
この映画を観るために、アニメ版を観てすぐ観にきた。
アニメ版のエッセンスを散りばめた別の作品だなと感じた。ほんの少しパラレルワールドみたいな。だから、観てる人も、勝手に好きなエンディングを自由に想像すればいい!
私は、私の勝手な妄想は、貴樹と明里は、おじいさん、おばあさんになってからでも、また2人は出逢うのかもしれないと。先生(宮﨑あおいさん)が言ってたよね、会いたい人とは会えるって。私もそんな奇跡が実際にたまにある。その人のこと話してたら、バッタリ会ったり。そんな「気」のようなものってあるような気がしてる。だからご縁がある人とは、良きタイミングでまた逢えるじゃないかと信じたい。逢えなければ、そういうご縁だったと。
だから出逢いには意味があると。
人だけではなく、物、映画、アート、舞台…いろんな出逢いは、何かに導いてくれる。人生が豊かになっていく。
新海誠さんの作品、「言の葉の庭」をたまたまTVで観て、好きな感じだった。ちょっど「君の名は」公開直前だったから、宣伝のための放送だったんだろうけど、作品との出逢いに感謝だった。これもご縁。そこから今日につながっている。
「君の名は」はすごく好きで2回劇場で観た。その後の、「天気の子」「すずめの戸締り」はそんなに好きではなくて、「秒速5センチメートル」は観たいと思ってたのに、なんだかそのままになってて…。だから実写版が公開になって、この機会にアニメ版から観ることができてとても良かった!
やはり最後にまた出会ってって…それだと普通になってしまうし、そんなこと現実ではなかなかなくて、このせつない終わり方で良かったんだろうな。
朝ドラで松村北斗さんを知って、俳優としての北斗さんが好きで、「ファーストキス」も観に行ったけど、これもせつない終わり方。どちらも、映画の作品としては、これで良いんだろうね。何度も自分に言い聞かせてる笑。
北斗さんは「すずめの戸締り」でも声優としてご出演されていて、声や話し方もとても好きな俳優さん。今回も、プラネタリウムのシーンでの語る声がじっくり聴けて幸せだった。品がある演技や声。
私の年代には、結構、刺さる映像だったんじゃないかな?あの時代を知らない若い人たちより、きっとグッとくる場面が散りばめられていて、きっともっと楽しめたはず!
私はあんな小学生時代じゃなかったけど、高校の頃、好きな先輩を駅で待ってたり、好きな先輩とポストに投函する文通をしばらく続けていたり…。
勉強しながら流れてくるラジオ。
友達との恋ばな。
叶わぬ恋とわかって号泣。
電車の窓の両脇についている開け閉めする時のクリップのような金具。
家族に聞かれたくない電話は公衆電話から。
何もかも懐かしい!
ノスタルジーにひたる。
スマホのない時代に、公共交通機関での移動は本当に大変だった。ICカードもないから切符買うのも大変だった。ものすごく時間がかかったし、乗り換えも迷った。小学生であんな遠くまで、大冒険だったよね。
簡単に連絡を取り合うことなんてできなかった時代。遅刻しても連絡はとれない。すれ違い。駅の掲示板とかの時代。今の若い人たちは知らないし、想像できないかも?びっくりするよね。
SNSのない時代、友達との連絡をとり続けることは、なかなか大変だった。もうどこで何をしているかわからない、仲が良かった友達もいる。
だから、とてもリアルなのだ。
そんなに奇跡は起きない。
大好きだった人と、一生一緒に生きていける人なんて、ほんの一握り。大好きだった人は、心の中の宝箱に、キラキラとした思い出として、たまに出して眺める…ほんの少し、温かくて心がキュッとなる、そんな大切な存在。
自動販売機を、大人になっても、同時に押してる明里。心にはいるんだよね、貴樹が。でも、思い出なの。今、会いたいリアルな人ではない。会わないほうがいいと思ってる。その人の幸せを心から祈ってる。大切な人。
この映画の中、
月、太陽、空、雲、山、海、田園風景、桜、雪、 自然がとても印象的。そして、都内ではビルに囲まれて、空と雲、輝く月しか見えない。だから空を見上げる。私もよくビルの合間の夜空を見上げる。月を探したり。この月をどこかで大切な人も見てるのかな?とかセンチメンタルになったり…。
夏目漱石を読んでる明里、貴樹の部屋でラジオから流れる「月がきれいですね、は愛してます、の意味…」と夏目漱石の逸話が流れたり、月も何度も出てくる。
もう、単純な私はで感受性が豊かすぎて隅々に心動かされる。
タバコって、早く大人になりたい気持ちだったのかな?大人になってももずっと明里への想いを振り切れない貴樹。タバコのシーンって現代の映画では珍しいよね。昔はタバコ吸ってる人が本当に多かったから。やはり時代を映しているのもあったのか?
別れた恋人は、男性はフォルダ保存でそれぞれをずっと保存してるけど、女性は上書き保存だと言われているが、そんなことを思い出した。
だから、明里は新たなパートナーと自分の人生を歩んでいるから、桜の約束にも行かなかった。あのチラシを見ても、貴樹に会いに行くことはない。名前を指でなぞるだけ。うー、せつない!
貴樹もあの桜を見て、明里が来なかったことと、館長からの明里と思われる人の話を聞いて、やっと、前に進めるようになったのだろう。貴樹も、そばに寄り添ってくれる誰かと出会って、幸せになってほしいと心から思った。
映画だけど笑
一番好きな人とは、結婚しない方が良いって、昔聞いたことがある。その理由はわからないけど、周りを見ても、大変愛していた友人も、その人と結婚しているわけではない。そして、それぞれ今の家族がある。すべて奇跡的なことに感じる。
30歳で地球一周か…。
もう2周目な私には、いろんなシーンが、自分のたくさんの想い出と重なって、涙が止まらなかった。
もう人生もいつまでかわからない年齢になったけれど、たまに心の宝箱からキラキラした思い出を引き出して、ちょっと元気もらったり、切なくなったりして、命尽きるその日まで、毎日を大切に生きていきたいと思う。
最後に、音楽も良かった。
山崎まさよしさんの曲は、大好きな曲なので、アニメでも嬉しかったし、アニメにはなかったカラオケでのBGMのように流れる曲と、モニターに流れる歌詞を目で見て、貴樹の気持ちとシンクロするという場面は良かった。私はカラオケで歌詞を見るのが好きで、言葉が好きだから、そこに自分のことを重ねて、想いがつのったりする気持ちがしみじみとわかる。
エンディングの米津玄師さんの曲もとても良かった!
周りを固める俳優陣の皆様もとても存在感があって、とても良かった!
やはり映画館で見ること大好き!集中できるから、家で小さなモニターで観るより、絶対に数倍楽しめてると思う!
今回もいろんな想いができて、良い作品に出逢えて、本当にありがとうございました。
再構成して引き延ばされたような展開
オリジナルを超えた叙情たっぷりの映画
2007年に新海誠監督がアニメーションにした映画をどのように実写化するのかがこの映画を見る最大のポイントであった。オリジナルと極端に相違しているのは上映時間だ。オリジナルは60分、実写版は121分。なんと倍の時間差がある。この時間差は、オリジナルがモノローグを中心にストーリーを進めているのに対して、この作品はほとんどモノローグを使わず、モノローグを映像化し、生身の役者の演技をとおして撮られているから、上映時間は倍になるが、奥行きと幅のある映画となっている。
特に貴樹(上田悠斗)と明里(白山乃愛)の出会いから親しくなるプロセスが詳細に撮られている。転校生の明里にメモを書く貴樹、図書館で科学雑誌を見る二人の会話、桜の花びらが散るのを明里が「桜が散る速度は秒速5センチメートルよ」と貴樹に説明したり、二人で星を見たり、二人のお互いを好きあう、ほんのり淡い恋心がストレートに伝わってくる。そしてこの二人の会話は後の伏線になっている。
映画の冒頭で貴樹(松村北斗)が仕事をしているシーンはオリジナルにない。貴樹は周りの人間関係を無視して仕事に没頭する。そして同僚の理紗(木竜麻生)とは恋人関係だ。しかし理紗は貴樹に二人の関係を「私と一緒にいると楽だけど楽しくないよね」と言われ絶句する貴樹。
貴樹は中学生の時鹿児島に転校した。高校生になった貴樹(青木柚)は花苗(森七菜)から恋心を寄せられる。このストーリーはオリジナルとほぼ同様である。ただ生身の役者が演じているから森七菜の悲しさと青木柚のある種残酷な態度は、森七菜のあふれる涙に凝縮されている。
貴樹が鹿児島に転校する前に、栃木に転校していた明里に会いにいく。電車が雪で遅れもう明里が待っていないと絶望する貴樹の心の揺れ。なんとか駅に着いたとき、ひとり明里が待っていた。再会を喜び合う二人。二人で明里が作ったお弁当を食べ、雪深いなか二人は桜の木の下に行く。そこである約束をして二人は強く抱き合う。二人のプラトニックな愛情表現がなんともさわやかでいじらしい。二人が別れる前に二人とも大切な言葉を言えず、また手紙を渡せなかった。このことが今後の二人の生き方を左右することになる。
貴樹と明里が見た桜舞い散る情景、鹿児島の透き通る青い空ときれいな雲、打ち上げられるロケット雲、栃木で再会するために貴樹の乗って止まっている電車の灯りと雪化粧、明里と行った雪に覆われた桜の木、どれもオリジナルに匹敵する映像美であった。しかし奥山由之監督はオリジナルをただ真似たのではなく、美しさの裏側に潜む後悔、悲しさ、未練、別れといったそれぞれの登場人物の心の奥にある滓を俳優の肉体をとおして撮っているから見る者の心を揺さぶる。
その心の奥にある滓をいつまでもひきずるのは貴樹だ。いつも遠くの誰かを想って毎日を過ごす。高校生の青木柚や社会人になってワークホリックになり目の前のことにあえて集中する虚無的な生活を繰り返す松村北斗の肉体からにじみでている。それは言えなかった5万語のなかで大切なたった一言。ただただ松村北斗は待っているのだ。大人になった明里(高畑充希)はいきいきと仕事をしている。貴樹とは正反対に。そしてプラネタリウムで少女にあることを教える。
自分でも煮え切らない、うだうだと吹っ切れない貴樹を上田悠斗、青木柚がリレーのごとく松村北斗にバトンを渡したように貴樹を奥山監督はナイーブに演出している。過去と運命を忘れられない。わかるような気がする。人は必ず「もしあの時こうしておけば」と振り返ったり、「もしかしたらこうなるかもしれない」と思うことが何度もある。人は現実逃避をしながら厳しい現実を生きていく。それゆえこの映画は理屈とか理論、常識を超越した場所、空や宇宙に見る者を誘い、心を揺さぶるのだ。終盤、貴樹と明里は踏切ですれちがう。その時貴樹はやっと現実世界に帰ってくる。
奥山監督の緻密な演出と鈴木史子のオリジナルを損なうことなく想像力を膨らませた脚本、今村圭祐の奇をてらわないオーソドックスなカメラワークは映画に安定感を与えていた。また特殊効果も映画の深みをうみだしていた。
オリジナルでも使用されていた劇中歌、山崎まさよしの「One more time、One more chance」は、貴樹の内面を反映しエンドロールに流れる米津玄師の主題歌には映画館の中で過去に経験した想い出とともに遠いところに連れて行ってもらったように身をゆだねていた。
よく出来ているけど惜しい
アニメ版の『秒速5センチメートル』を知ったのは『君の名は』を見てから新海監督を知り遡って作品を見て知りました。青春時代の切ない恋心にキュンとし君の名はではハッピーエンドで終わりましたが、こちらでは会えなかったことで終わっている切なさが、実に現実的で共感しました。恋多き青春時代を送った私はいつも告白してはフラれて叶う恋はありませんでした。なのでこの作品は刺さって仕方がありません。アニメ版は30回以上観ています。実写版はまだ2回目です。実写化に伴い惜しかった場面があります。電車に乗って岩舟に向かう途中の駅に停まっている時に、開けっぱなしのドアをおじさんがボタンを押して閉めた時、貴樹がすみませんと謝ったが、いいよ、いいよ気にしないというジェスチャーで手を振ったシーンと、岩舟駅の駅員さんがもう閉めますと言った時の丁寧な言葉使いが、子供相手なのに優しい心遣いが感じられるいいシーンだと思ったので実写でも入れて欲しかったです。我々の時代では、中学生くらいはまだ子供扱いで、目下扱いの話し方をされていました。子どもへのやさしさが感じられるシーンで好きでした。
叶わない思いを未来へ
十数年前にアニメ版は視聴済み。当時は山崎まさよし氏の「One mo...
十数年前にアニメ版は視聴済み。当時は山崎まさよし氏の「One more time, One more chance」の世界観へと結び終えるために作られたシナリオ、ストーリーという印象でした。今回、実写化、加えてアニメ版より1時間増ということで、近日上映の「平場の月」ほどではないにせよ、貴樹(演:松村北斗)と明里(演:高畑充希)のヒューマンドラマの要素を加え、大人になって二人が再会する展開に改編?・・・などと想像して観に行きました。
貴樹や明里の社会人ライフ、理紗(演:木竜麻生)と貴樹の関係などが深めに描かれ、いわゆるファンタジー世界で終わらない現実的描写はありましたが、貴樹と明里、もしくは貴樹と花苗(演:森七菜)のウフフでモジモジなシーンは、アニメ版では会話が流れつつも、周りの風景や二人のシルエット、後ろ姿を描写する演出でしたが、実写版ではモロに二人の表情が映され、その尺も長く、もはや現役恋愛世代ではない私にとっては直視できない「気恥ずかしさ」と「もどかしさ」に苦しくなった次第(笑)。また、実写ゆえに現実感が強まって、「さすがに13歳でキスはしないよな」「明里の家で泊まれるよな」「大学時代に会えなかったのかな」といったアニメ版ではスルーできた部分が引っかかってしまったのは、私の心が汚れているせいでしょうね。
松村北斗さん、高畑充希さんの安定感ある演技は言うまでもありませんが、今回、明里の小学生時代を演じた白山乃愛さんは「かわいい」というだけでなく、既に「顔」で演技ができる女優さんですね。びっくりしました。アニメの実写化は色々とプラマイありますが、こういう所はアニメでは精緻に表現しきれない所であり、そういうプラス面が感じられた分、実写化は良かったのかなと思います。
大宮で待ち合わせすればいいのに😎
新海誠作品の初実写映画。
2007年のアニメ作品は観てません。小説も未読。
MOVIXさいたまの観客の大部分は高校生同士や父兄付き添いでした。
がぁーぎゃー騒いでいたJKたちも始まるとなぜか最後までシーンとしてました。
プラネタリウムは西東京市(田無&小平)の多摩六都科学館でした。新青梅街道沿いですが、駅からはかなり離れています。
20年以上前ですが、行ったことがあります。なかなか楽しくて、ついつい親も遊んでしまい、息子は迷子になりました。
館長役は吉岡秀隆。
あれほど寅さんに手解き受けたのに、
恋のキューピット役としてはちっとも役に立たない。
中学生が雪の中、桜の木の下で夜をあかす。
ボイジャー→ジュリー・デルピー→Before Sunrise
恋人までのディスタンス???
松村北斗と高畑充希がメインキャストであるのはわかっていたのですが、、森七菜、宮崎あおい、木竜麻生らが最初の子役とどうつながっているのか? 誰と誰がカップルなのか? 分からなくて、かなり難儀しました。みんな童顔だし。
岡部たかしの歓迎会を机の下にもぐって隠れてまで回避する中田青渚w
ほんのチョイ役でガッカリ。
1991EVという小惑星が地球にぶつかると予言されたのが、2009年3月26日でしたっけ?
天文好きの男の子遠野貴樹(上田悠斗)。篠原明里(白山乃愛)が栃木の岩舟に転校してはなればなれに。そのあと、文通を続けていたが、彼も親の転勤で鹿児島に転校することになり、その前に、夜の7時に岩舟駅舎で待ち合わせして、会うことになったんですね。雪が降って、列車が次次に遅延。埼京線で大宮、宇都宮線で小山(おやまゆうえんち〜🎵は2005年に閉鎖)、さらに両毛線を乗り継いで岩舟へ。
いつも満員で、ちょくちょく遅延運休する埼京線や湘南新宿ライン、宇都宮線が出てくると、ため息が出そうになるぐらい、ものすごくテンションがさがります。無理やり現実に引き戻されます。
小山の知人宅でのバーべキューにお呼ばれして、ホロ酔いで小山駅から上り最終列車でみんなで帰ったときの駅の閑散としたホームの雰囲気も思い出しておりました。
大雪で東武鉄道が止まった時にはJR久喜駅経由で五時間ぐらいかかって出勤したことなども。
松村北斗がモテるのはわかるけど、青木柚がモテるのがわからない🙏
上田悠斗クンと白山乃愛チャンのパートはちょっとまだるっこしいけど、でてくるキャストの中で一番色っぽいのが白山乃愛チャンだったような😎
陰鬱な映画
原作リスペクトアイテムや曲など所々出てくるのですが、それ、出しとけばいいだろ感があってリスペクトが無いと思いました。
元々が陰鬱な映画なのに坦々と現実と回想を行き来するせいでずっと陰鬱な映画になっていた。
新海映画の上げて落とすカタルシスが皆無でした。
桜花抄、コスモナウト、秒速5センチメートルの3部構成だから上げて落とすという高揚感があったのに大人の貴樹君に焦点を当てすぎて全てが台無しでした。何で3部構成なのかを考えて欲しい。このぶつ切り構成じゃ薄味すぎて何の思いも伝わらない。時間軸って大事なことなんですよ!各部の起承転結があるからこそ、遠野貴樹と言う物語を追体験して、そこからノスタルジーを感じるし共感できる!
これは、結末がわかってる物語の道中の思い出を延々と語ってる様な映画。
元の映画は主人公の経験を追体験して最後陰鬱になる映画。
この映画はそこがわかっていない。時間軸は大事な要素って理解してる?桜花抄で盛り上げといてコスモナウトで微妙な心情の変化、コスモナウトを軽視しすぎ!あそこがあるから心情の変化を語れるのに!後、物語の最後の方に桜花抄のラストって、イカれてるとしか思えない!起承転結の起を最後ってどう言うギャグですか?
原作をぶつ切りして混ぜご飯にして引き延ばして薄くした印象が強く非常に残念でした。
焦燥感もノスタルジーも全て殺した駄作です。
小説版位の補足で良かったのに残念で仕方ない。
何で無駄なぶつ切り構成にしたのかセンスがないというか理解が無いと思いました。
女性俳優は演技が上手いのに少年貴樹は下手で目立ちました。只々活発な少年で図書館に入り浸る図鑑好きな少年感はゼロでした。
小説版のままの実写が見たかった!
アニメ版を観ているとより解像度が高まりますね。 主演の松村北斗さん...
学校・友達・恋愛が世界の全てだった頃
原作を見ずに行ったが、特に問題なく鑑賞できた。
派手さはないが、丁寧に心の動きを描いていた。見てる側が余白を考えて埋めていける映画だった。数日たったが、上手く言葉にできない不思議なせつない感情が残っている。
最近どんどん松村北斗の出演映画から目が離せない。無機質そうでいて、重さや穏やかさを自然体に表現している。なかなかいない俳優だと思う。
また、今回は森七菜は恋する女子高生がとても良かった。今まであまり引かれなかったが、今回は素晴らしい。貴樹の解像度を一気にあげた。
10代のころ、学校・友達・恋愛が世界の全てだった…。毎日がドキドキと不安に満ちていた頃を、思い出させてくれた。きっと大人の方が、深く刺さる映画だと感じた。
思い出蘇る
原作のアニメ版も昔観ていたけど、ほとんどストーリーは覚えていなかっ...
原作のアニメ版も昔観ていたけど、ほとんどストーリーは覚えていなかった。でもそれでよかった。
花苗が想いを伝える前に、相手の心の中には自分が入る隙はないと悟ってしまった時の涙に胸がギュッとなった。森七菜さんはまだまだ高校生役でも全然いけるね…
また、小学生役の2人には1番泣かされた。
音楽と映像がとても良くて、総じて、自分にはもう戻らない青春の全てが詰まっていてなんと言うか心が揺さぶられた作品だった。うまく言葉にできないけれど。
ストーリーがどうとかではなく、これはひとつの美術品なのだと思った。
全692件中、101~120件目を表示
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。










