「アニメ版の「喪失感」は殆ど感じません」秒速5センチメートル ホンダさんの映画レビュー(感想・評価)
アニメ版の「喪失感」は殆ど感じません
尺を2倍にして実写化するのは難しいですね。
アニメ版知らずに恋愛映画として観たら良いのかも知れません。
人物描写を掘り下げたというより説明しすぎかな。水野さんは貴樹のアレさを説明するためにだいぶ尺とって登場しましたが、貴樹のアレさは本作でも種子島のコスモナウト編で十分描写されたと思います。水野さんを活かすならラスト直前の「じゃあね」をラストシーンにしても良かったと思います。
1番、アニメ版と比べてキツイのは大人の明里がずっと出てくるので「喪失感」がほとんど無い事です。アニメ版では大人の明里は殆ど登場せず、ラストシーンの踏切も「さっきのは明里?」くらいで終わるので中学生時代の冬の岩船シーン以降の彼女の不在感が喪失感につながっているからこそ秒速5センチメートルは良かったのにと残念です。
それと実写版だと明里の貴樹への思いの温度差がアニメ版より無いことも、アニメ版から来ました勢としては残念です。アニメ版の大人の明里は殆ど描写されないにも関わらず、唯一の描写は彼女のなかでは中学生時代の冬の岩船は完全に過去であって、終わった事だと言うことです。貴樹は一貫して明里を探していたという事との温度差が良かったのですが、実写恋愛映画で売るには女性からの支持も必要ですからね。
総じて恋愛映画としては良いんでしょうが、アニメ版が好きだった人は観ないほうが良いかなと思います。
仰るとおり説明し過ぎだし、大人の貴樹が原作に比べて既に結構前向きなんですよね。
漫画版では、寄り添おうとして岩船まで一緒に来てくれた水野さんを置き去りにする程でしたが。笑
終盤の館長への吐露なんかも、余白を失くしただけに思えてしまいました。
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