「出逢いは必然で奇跡かも…」秒速5センチメートル yumekoさんの映画レビュー(感想・評価)
出逢いは必然で奇跡かも…
私自身が覚えていたいことがたくさんあるから長文!
すぐ忘れるから!
まずタイトルが素敵!新海誠さんは言葉を大切にされる方なのだろうな。
そして映画を観て…
ああ…
そうだよね
そうなるよね
やはりそうか…
ほんの少しだけ、実写版ではハッピーエンドにしてくれないかな〜と、小さな希望を持っていたけど、やはりアニメ原作通りだよね。でも知ってる、これで良いって。
私はとても好きな作品だった。
この映画を観るために、アニメ版を観てすぐ観にきた。
アニメ版のエッセンスを散りばめた別の作品だなと感じた。ほんの少しパラレルワールドみたいな。だから、観てる人も、勝手に好きなエンディングを自由に想像すればいい!
私は、私の勝手な妄想は、貴樹と明里は、おじいさん、おばあさんになってからでも、また2人は出逢うのかもしれないと。先生(宮﨑あおいさん)が言ってたよね、会いたい人とは会えるって。私もそんな奇跡が実際にたまにある。その人のこと話してたら、バッタリ会ったり。そんな「気」のようなものってあるような気がしてる。だからご縁がある人とは、良きタイミングでまた逢えるじゃないかと信じたい。逢えなければ、そういうご縁だったと。
だから出逢いには意味があると。
人だけではなく、物、映画、アート、舞台…いろんな出逢いは、何かに導いてくれる。人生が豊かになっていく。
新海誠さんの作品、「言の葉の庭」をたまたまTVで観て、好きな感じだった。ちょっど「君の名は」公開直前だったから、宣伝のための放送だったんだろうけど、作品との出逢いに感謝だった。これもご縁。そこから今日につながっている。
「君の名は」はすごく好きで2回劇場で観た。その後の、「天気の子」「すずめの戸締り」はそんなに好きではなくて、「秒速5センチメートル」は観たいと思ってたのに、なんだかそのままになってて…。だから実写版が公開になって、この機会にアニメ版から観ることができてとても良かった!
やはり最後にまた出会ってって…それだと普通になってしまうし、そんなこと現実ではなかなかなくて、このせつない終わり方で良かったんだろうな。
朝ドラで松村北斗さんを知って、俳優としての北斗さんが好きで、「ファーストキス」も観に行ったけど、これもせつない終わり方。どちらも、映画の作品としては、これで良いんだろうね。何度も自分に言い聞かせてる笑。
北斗さんは「すずめの戸締り」でも声優としてご出演されていて、声や話し方もとても好きな俳優さん。今回も、プラネタリウムのシーンでの語る声がじっくり聴けて幸せだった。品がある演技や声。
私の年代には、結構、刺さる映像だったんじゃないかな?あの時代を知らない若い人たちより、きっとグッとくる場面が散りばめられていて、きっともっと楽しめたはず!
私はあんな小学生時代じゃなかったけど、高校の頃、好きな先輩を駅で待ってたり、好きな先輩とポストに投函する文通をしばらく続けていたり…。
勉強しながら流れてくるラジオ。
友達との恋ばな。
叶わぬ恋とわかって号泣。
電車の窓の両脇についている開け閉めする時のクリップのような金具。
家族に聞かれたくない電話は公衆電話から。
何もかも懐かしい!
ノスタルジーにひたる。
スマホのない時代に、公共交通機関での移動は本当に大変だった。ICカードもないから切符買うのも大変だった。ものすごく時間がかかったし、乗り換えも迷った。小学生であんな遠くまで、大冒険だったよね。
簡単に連絡を取り合うことなんてできなかった時代。遅刻しても連絡はとれない。すれ違い。駅の掲示板とかの時代。今の若い人たちは知らないし、想像できないかも?びっくりするよね。
SNSのない時代、友達との連絡をとり続けることは、なかなか大変だった。もうどこで何をしているかわからない、仲が良かった友達もいる。
だから、とてもリアルなのだ。
そんなに奇跡は起きない。
大好きだった人と、一生一緒に生きていける人なんて、ほんの一握り。大好きだった人は、心の中の宝箱に、キラキラとした思い出として、たまに出して眺める…ほんの少し、温かくて心がキュッとなる、そんな大切な存在。
自動販売機を、大人になっても、同時に押してる明里。心にはいるんだよね、貴樹が。でも、思い出なの。今、会いたいリアルな人ではない。会わないほうがいいと思ってる。その人の幸せを心から祈ってる。大切な人。
この映画の中、
月、太陽、空、雲、山、海、田園風景、桜、雪、 自然がとても印象的。そして、都内ではビルに囲まれて、空と雲、輝く月しか見えない。だから空を見上げる。私もよくビルの合間の夜空を見上げる。月を探したり。この月をどこかで大切な人も見てるのかな?とかセンチメンタルになったり…。
夏目漱石を読んでる明里、貴樹の部屋でラジオから流れる「月がきれいですね、は愛してます、の意味…」と夏目漱石の逸話が流れたり、月も何度も出てくる。
もう、単純な私はで感受性が豊かすぎて隅々に心動かされる。
タバコって、早く大人になりたい気持ちだったのかな?大人になってももずっと明里への想いを振り切れない貴樹。タバコのシーンって現代の映画では珍しいよね。昔はタバコ吸ってる人が本当に多かったから。やはり時代を映しているのもあったのか?
別れた恋人は、男性はフォルダ保存でそれぞれをずっと保存してるけど、女性は上書き保存だと言われているが、そんなことを思い出した。
だから、明里は新たなパートナーと自分の人生を歩んでいるから、桜の約束にも行かなかった。あのチラシを見ても、貴樹に会いに行くことはない。名前を指でなぞるだけ。うー、せつない!
貴樹もあの桜を見て、明里が来なかったことと、館長からの明里と思われる人の話を聞いて、やっと、前に進めるようになったのだろう。貴樹も、そばに寄り添ってくれる誰かと出会って、幸せになってほしいと心から思った。
映画だけど笑
一番好きな人とは、結婚しない方が良いって、昔聞いたことがある。その理由はわからないけど、周りを見ても、大変愛していた友人も、その人と結婚しているわけではない。そして、それぞれ今の家族がある。すべて奇跡的なことに感じる。
30歳で地球一周か…。
もう2周目な私には、いろんなシーンが、自分のたくさんの想い出と重なって、涙が止まらなかった。
もう人生もいつまでかわからない年齢になったけれど、たまに心の宝箱からキラキラした思い出を引き出して、ちょっと元気もらったり、切なくなったりして、命尽きるその日まで、毎日を大切に生きていきたいと思う。
最後に、音楽も良かった。
山崎まさよしさんの曲は、大好きな曲なので、アニメでも嬉しかったし、アニメにはなかったカラオケでのBGMのように流れる曲と、モニターに流れる歌詞を目で見て、貴樹の気持ちとシンクロするという場面は良かった。私はカラオケで歌詞を見るのが好きで、言葉が好きだから、そこに自分のことを重ねて、想いがつのったりする気持ちがしみじみとわかる。
エンディングの米津玄師さんの曲もとても良かった!
周りを固める俳優陣の皆様もとても存在感があって、とても良かった!
やはり映画館で見ること大好き!集中できるから、家で小さなモニターで観るより、絶対に数倍楽しめてると思う!
今回もいろんな想いができて、良い作品に出逢えて、本当にありがとうございました。
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