「繊細な心理描写を表現することに関してはアニメは向いていない」秒速5センチメートル 野川新栄さんの映画レビュー(感想・評価)
繊細な心理描写を表現することに関してはアニメは向いていない
2025年映画館鑑賞100作品目
10月25日(土)イオンシネマ石巻
6ミタ0円
監督は『アット・ザ・ベンチ』の奥山由之
脚本は『愛に乱暴』の鈴木史子
2007年の新海誠監督の劇場アニメの実写版
いつまでも初恋の女性を忘れられない男性と中学時代にサッパリと切り替えた女性の物語
監督はあまり存じ上げない
本業は写真家らしい
新海誠のアニメの方はしっかり観たであろう
それを感じさせる
新海誠の良さを活かしている
舞台
1991年東京2人の出会い
中学生時代冬の栃木岩舟
高校時代種子島
成年時代新宿と岩舟
ロケ地
埼玉県羽生市手子林小学校
鹿児島県熊毛郡中種子町種子島中央高等学校
中種子町:アイショップ石堂大平店
東京都新宿区紀伊国屋書店新宿本店
東京都西東京市多摩六都科学館
繊細な心理描写を表現することに関してはアニメはあまり向いていない
漫画とかアニメは簡略化だから
漫画はそれでもアニメと違い動かないし音声はないわけだから読者の想像でいくらでも補強できるがアニメはその手間がないのが却っていけない
せめて『AKIRA』くらいの画力を求めたいがあっちはどちらかというと背景はともかく人物に至っては低予算のエロアニメレベル
いくら声当てがお芝居しても限界がある
デジタル化したとはいえアニメーターの膨大な手間暇を考慮したらいっそのこと顔出しの人間の俳優が演じた方が手っ取り早い
人類はその点で繊細な表情表現でしっかりとコミュニケーションを取り絆を深め氷河期を乗り切った実績がある
アニメはSFとか現実離れしたアクションを表現することに長けている
アニメの『秒速5センチメートル』にはそれがなかった
新海誠が山崎まさよしの歌に影響を受けてアニメ制作したのだろうがアニメに向いている内容ではなかった
新海誠のアニメ作品の実写化は『君の名は。』の大ヒットから話が持ち上がっていたはずだ
80年代のおっちょこちょいなら『君の名は。』を実写化して大失敗しただろうがそれをやらなかったのは賢明だ
よりにもよって新海誠作品の中では傑作とは言い難い作品を選んだのは正解
むしろ新海誠監督は感謝しているに違いない
貴樹役の松村北斗がほぼ終始抑えめの芝居をしている
長めの前髪がとにかくうざい
しかしプラネタリウムで明里への想いの丈をぶつけるシーンでガラッと変わる
そこで一気に爆発する
前髪全然ウザくない
脚本を熟読し彼なりの演技プランがあったのだろう
あのシーンだけ業を煮やした監督にハッパをかけられ渋々おもい腰をあげ本気を出したわけではあるまい
聞き手の科学館の館長役が吉岡秀隆ってのがまた良い
妹役の中嶋朋子に先を越され焦っていたのか「置いていかないでくれよー」と言い放った嘘か本当かわからないエピソード好き
いまや日本映画業界に欠かせない押しも押されぬ老いてなお盛んなベテラン俳優として君臨している
それなのに内田有紀との結婚がなぜうまくいかなかったよくわからないがあの頃は若かったのだろう
白山乃愛がガキのくせに生意気に細かい芝居を随所に見せる
老獪なピッチングで打者を翻弄する技巧派のベテラン投手のような心憎い見事な演技力
子供にここまでやられては成人女性は負けていられない
あんなほんわかしている高畑充希や森七菜だって女優魂に火がついてしまう
貴樹の恋人役の木竜麻生なんて監督に「脱ぎましょうか」と提案するくらい前のめりになってしまったかもしれない
白山乃愛のキスシーンをあえてああいう表現にしたのはいいね
昔の映画なんてあんな感じだった
『カルメン故郷に帰る』なんて結局脱がないんかい!だし
片岡千恵蔵主演の『大菩薩峠』なんて長谷川裕見子犯すシーンはないんかい!だし
でもハグするシーンはあの年代からすればとても恥ずかしくてハードルがかなり高いんだろうけど白山乃愛は早くもプロフェッショナルとして自覚があるからできちゃうんだな
白山乃愛は影のMVPだよ
女ってその気にさせて罪だよね
まあ中坊があそこまでやられたらそりゃ勘違いするよ
ミルマスカラスのテーマ『スカイハイ』じゃないけど有頂天から奈落の底だよ
男ってさ基本的に気持ち悪いんだよ
いつまでもいつまでも
女は切り替えが早いのに
あっちは水商売なのに男はバカだから本気になっちゃって腹いせに罵声を浴びせるのに留めておけばいいのにわざわざナイフなんか持ち出して馬鹿みたい
気持ち悪くない男に巡り合ったら残りの生涯を共にする運命の人かもしれない
でもさいつまでも女性を想い続ける男ってある意味において素敵だとは思うよ
俺には到底できないけど
ラストの踏切のシーンがアニメと実写版で全くの真逆
だけど実写版の方がむしろ良い
配役
新宿在住のシステムエンジニアの遠野貴樹に松村北斗
貴樹の種子島中央高校時代(弓道部所属)に青木柚
貴樹の小中学期に上田悠斗
貴樹の初恋の女性で新宿の紀伊國屋書店の店員の篠原明里に高畑充希
明里の小中学期(親が転勤族で東京に転校したが小学校卒業と同時に栃木に引っ越し貴樹と離れ離れになる)に白山乃愛
貴樹の種子島中央高校時代のクラスメイトでサーフィンを嗜む澄田花苗に森七菜
貴樹の成人期の恋人で貴樹の同僚の水野理紗に木竜麻生
貴樹の上司の久保田邦彦に岡部たかし
貴樹の同僚の戸塚宗次郎に田村健太郎
貴樹の同僚の酒井直に戸塚純貴
貴樹の同僚の大野泰士に蓮見翔
理紗の同僚の金子あさみに中田青渚
紀伊国屋書店の店長の柴田治に又吉直樹
紀伊國屋書店の店員の田村四季子に堀内敬子
紀伊國屋書店のバイトの大橋純透に佐藤緋美
花苗の親友の砂坂翔子に白本彩奈
花苗の姉で種子島高校の教師の輿水美鳥に宮崎あおい
科学館の館長の古川龍一に吉岡秀隆
あさみの友人かつ同僚に納葉
小学校時代のクラスメイトに一ノ瀬すばる
小学校時代のクラスメイトに山田忠輝
小学校時代のクラスメイトに福永唯人
小学校時代のクラスメイトに古林隼斗
小学生に山田詩子
科学館の女児に岡菜々美
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