「そうそう!と思えるんだけども。。。」秒速5センチメートル kddgpxさんの映画レビュー(感想・評価)
そうそう!と思えるんだけども。。。
監督はきっと、アニメ版をきちんと理解したうえで、本作があらぬ誤解や評価を招いている(いた)ことに、大きな不満があったんだろうと思います。
だから実写版は、アニメでは語られていなかった創作エピソードを様々付け足し、あるいは既存のエピソードを組み替え、アニメのテーマを『わかりやすく』噛み砕いてくれたように思いました。
結果、単純な作品になったとも言えます。だからここに『あのシーンやカットの意味は?』という議論は沸き起こらないでしょう。何度も視聴し、考察し、理解を深めていく…そんな過程は実写版では必要ないかと。
アニメは定期的に見直してしまいますが、こちらは気持ちに残るサムシングがなかったので、もう一度観たいと思えませんでした。
たとえば、主人公が豪徳寺から岩舟に向かうまで旅程を描いた「桜花抄」の最重要エピソード。積雪で列車の到着が劇的に遅れることで募る彼の焦燥感や苛立ち、そして『待っていてほしいけど、待っていてほしくもない(彼女のことがが心配だから、また自分の期待が裏切られることで自身の一方的かもしれない恋心も開放され、自由になれるから)…』といった諦念や戸惑い、不安感が強く伝わり、それがヒロインに対する気持ちの強さと共感できたのだけど、実写版はこの行程がアッサリ。だから主人公のヒロインに対する気持ちが、私にはそれほど伝わらなかったのです。
監督の方向性は、きっと間違ってないと思います。エピソードには不自然さもなかったですし。けれども…結果としては、新海誠さんの天才性を改めて思い知らされてしまいました。
とても分かります。
自分は、最終章のエレベーター内で鍵を落とし拾うシーンをカットされてしまったことが残念でした。
あのシーンは大人になった貴樹を表わす大切なピースであったと考えているためです。
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