「足りない」秒速5センチメートル りょうさんの映画レビュー(感想・評価)
足りない
エレベーターで鍵を落として、拾う描写を実写でも入れて欲しかった。貴樹の現在を表わす大事なシーンなので。
貴樹の大人時代を深掘りしており、アニメ版のような(良い意味で)鬱屈としたところ少なくなっていた。しかしそれによりラストシーンの踏切で踵を返し、新たな人生を歩み始める場面のコントラストが薄くなってしまっているように感じた。
また全体的に語りが少なく、アニメ版を観たことがない方には伝わっていないことが多いだろうなと感じた。もちろん映像・セリフだけで伝えようとしている熱意はあった。
キャストに関しては皆さんプロだなあと感じた。特に明里の幼少期、白山乃愛さんはこれから名前をよく聞くようになるだろう。ただ貴樹の幼少期役の上田悠斗くんは少し幼すぎた。アニメ版の中学生にしてはどこか大人びている印象が無くなってしまっていた。
大人になってから、あの踏切で一度だけすれ違うから良いのに、共通の知人が数人でてきたり、ニアミスしたり、2人の距離というものをもう少し尊重して欲しかった。アニメ版の副題は「a chain of short stories about their distance」です。
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