「想いを伝える」秒速5センチメートル Noriさんの映画レビュー(感想・評価)
想いを伝える
アニメーション映画が元ネタの本作なので、タイトルが既に壮大なネタバレ。あらすじ知らずに観てる人の割合はどの程度なんだろうか?
2019年に記したアニメの感想は
「特定の誰かがいつも心の中にいるって感覚、程度の差こそあれ多くの人が抱いているのでは。
人を想う気持ち、伝えたかったのに伝えられなかった言葉たち。
どこかに置き忘れてきた、心が疼く何か。
山崎まさよしさんの歌とのマッチングも効果的で、決して変えることのできない過去の諸々を懐かしく、ほろ苦く噛みしめた。」
というものだった。
実写版の本作、少し改変されているものの大筋は変わらない。私自身も転勤族の父を持ち、幼少期より各地を転々とした。だから、ふるさとのない、昔からの知り合いのいない日常、彼らの抱えている心情がよく分かる。内なる孤独を常に抱えている、そんな者同士が出会い、惹かれ合ったら、どんなに心強いことだろう。それが美男美女同士であるところがフィクションのフィクションたる所以だが、美しいものをみたいという、人間の根源的欲求には抗えない。子役の二人がとても儚く美しかった。
立派な大人になる、そんなこと14歳の春に考えたこともなかったし、成人した今も、立派な大人の定義は分からない。そして、自身がその域に達しているとも思えない。私自身は何かを置き去りにしてここまで歳月を重ねてしまったなという、ある種諦観に支配されているように感じている。
過去を忘れるくらい幸せに暮らしているはず、彼ならきっと上手くやっているはず。そうだといいのだが、人生はそんなに簡単じゃないなというのが、個人的な想い。
それでも歯を食いしばって、一日一日を生きる。多かれ少なかれ皆そうじゃないのかな。
想いを伝える勇気、あと一歩前に出る勇気があれば。人生の重荷も少しは軽くなるのかもしれない。
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