「原作見てないと意味が分からないと思う」秒速5センチメートル ミレニーさんの映画レビュー(感想・評価)
原作見てないと意味が分からないと思う
原作は3回ほど観ました。
アニメが実写化した時に大きく劣化するよくあるB級映画と比べるとしっかりと原作へのリスペクトも感じられ、原作にあった描写の再現度も高かったのは評価できます。
映像美に関しては最近の映画としては普通だと思いますが、1990年代の日本の雰囲気を可能な限り再現したり、携帯や列車もわざわざ用意したりするなど手を抜いてない感じも良かったです。
しかし、それらを持ってしてもこの評価になってしまったのはストーリーの改変が酷すぎるのと、無駄に長いのが良くなかったです。
まず、原作は「桜花抄」、「コスモナウト」、「秒速5センチメートル」の3部で構成されており、それぞれ小〜中学生時代、高校時代、社会人時代で分かれているのですが、本作では順番が逆になっています。ストーリーが進むにつれて過去と現在の状況を考え今どういう心境なのかを考察できますが、本作では伏線回収を狙ったのかそれが出来ず、しかも解説のためか現在と過去を頻繁に行き来する事で話の流れが見えにくくなっています。
また、全体のボリュームの割にコスモナウト編が極端に短く、所々の重要なセリフが抜けていました。他の方が指摘してるタバコ問題に関しても原作みたいに将来の進路指導とかにしてもっと上手く出来なかったのかと思いました。
社会人になった2人をそれぞれ近い距離にしようとする話も変にキャラを使ったりして好きじゃなかったです。あとは尺稼ぎのため?と思えるほど無駄に長いシーンを使っているのも気になりました。
総じて、原作という一つの完成された料理自体の再現は良かったですが、余計なトッピングをした事で全体の味が崩れてしまった残念な作品でした。泣くために行きましたが泣けませんでしたね…
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