「素晴らしい出来ながら、大人パートの追加要素に感じる蛇足感」秒速5センチメートル よしてさんの映画レビュー(感想・評価)
素晴らしい出来ながら、大人パートの追加要素に感じる蛇足感
原作アニメは視聴済み。ものすごく好き、というわけではないですが、心に残っている作品です。
本作について、キャスティングや映像、演出などについては申し分ない作品だと思っています。主演の松村北斗さんに加え、森七菜さんや白山乃愛さんはとても印象的でした。
実写化するにあたって、大人パートから過去を振り返る構成にしたのもある程度納得はできます。
ただし、追加要素については、原作の持つ大きな余白部分に懇切丁寧に模範回答をされたような印象があり、見る側の解釈の幅を受け付けないものになっています。特に大人パートで追加された、貴樹と明里の度重なるニアミスやあまりにも都合がよすぎるプラレタリウムの出来事+館長の役回りは、正直興ざめしています。
原作はあまり多くを語らずにズバッと終わることで、エグさや歪さも備えた鈍器で断ち切られるような感触が醍醐味でした。しかし、本作では印象的なエンディングより前にクライマックスともいえる出来事を挿入し、その後に丁寧な種明かしもしてくれる状態になっており、終わり方はダラダラとした印象。万人にとって誤読をしにくい構成にはなっていますが、逆に言うとウェブメイドすぎて、深くは心に刺さらない作品になってしまったと思います。
結果的に、原作のよさを再認識させる、そんな実写化作品という印象がぬぐえません。
原作を知らずにこちらを先に見ればよかったのかもしれませんね。
P.S. レビューを投稿した後、読み返して気づきましたが、原作を川村元気的手法で薄めて見やすくしてるだけの作品なんですね。映像や演出は好きなだけに、安易な物語の作り方は非常に残念です。
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