「映画に潜んでいるメタファー」秒速5センチメートル Motionさんの映画レビュー(感想・評価)
映画に潜んでいるメタファー
3回鑑賞しました。1回目では、映画の持つ意味を受け止めきれず翌日に2回目を。それでもまだ十分理解したように思えず、1日空けて3回目を。
どこまで自分の中で消化できたのか、理解できたのか、甚だ心許ないところですが、感じたことをここに残したいと思います。
この映画では、貴樹と明里に関するメタファー、つまり、作者からのメッセージのようなものがいくつか潜んでいるように感じられました(あらかじめ言います、間違っていたらスミマセン!)。
一つは、ボイジャー1号と2号。この2つは、遥か昔に地球から旅立ち、もう二度と交わることはなく、それぞれが果てしない旅を続けて行く、と説明されています。あの時別離し、あるいは旅立ち、どこかに向かおうとしている2人のことを表しているように思えてなりません。ただ、それは決して孤独な旅路ではないともいえそうです。それぞれ「ゴールデンレコード」を抱えているから。地球での様々な言葉などを詰め込んだ「輝かしい記憶」であり、ボイジャーが未知のものに出会う時、自分を助けてくれるもの。2人が交わした言葉、好きな景色、その時の想い、そのような「輝かしい記憶」がある限り、新しい世界でも2人はきっと大丈夫、というメッセージなのではないかと。
もう一つは、太陽と月。これは小学生の時の2人の会話から明らかですよね。劇中、月が何度も登場します。大人になった明里がベランダで月を見ているとき、電車から月を見上げるとき、貴樹のことを、自分を照らしてくれる太陽のことを、いつもぼんやり考えていたのでしょうか。そんな時、貴樹は月が空に見えているにもかかわらず、対照的に、下をみて携帯でメールを書いているのですから、まったく心は通じていませんよね(笑)。プラネタリウムで登場する「月はかたちを変えてあなたを見守っています」というポップ(書店にもあったかな?)、そのような明里の貴樹への気持ちを表しているようにも感じられます。
これらのことが明里の気持ちを本当に表しているとすれば、当初、冷たいなと感じた、貴樹に対する明里の想い、想像以上に、深く、優しく、強いものなのではないかと、ある意味では貴樹以上に想いを持ち続けているのではないかと。この映画は、決して「片思いの男の物語」などではなく、それだけ愛された「幸福な男の物語」ともいえるのではないだろうかと。
そう思えた時、自分自身でもこの映画をようやく受け止められるようになりました。
繰り返しですが、ここに記載したこと、すべて間違っているかもしれません(笑)。そのときはごめんなさい。あくまで一つの解釈としてご参考になれば、と思います。
この映画には、他のメタファー、何かのメッセージが潜まだんでいるかもしれません。皆さんも探してみてはいかがでしょうか。私もまた映画館へ探しに行ってくるつもりです。
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