「始まりは詩の朗読の様…」秒速5センチメートル リカさんの映画レビュー(感想・評価)
始まりは詩の朗読の様…
映画はまるで詩を朗読しているような素敵な言葉たちで始まった
日常的に見聞きしていたものがこんなにきらめきに満ちていたとは…
物語の全体像は、なんというかこう薄いベールがかかったような、かすみがかったような、そんなイメージ
雪に映る木の黒いかげは切り絵のようで美しかった
ドライで感情が大きく揺れることはなく、生産性がえられない物事は排除して生きる貴樹が、少年時代に失ったピース、「日常」というピースを取り戻したところで映画は終わる
貴樹にとっての日常は「あかり」であった
そのあかりを喪失したことは貴樹少年には酷過ぎることだったし、切実なことだった
期待なんてしないし、好きも嫌いも作らない、そんな大人になってしまったが、プラネタリウムのシーンでは「何気ない会話がしたかった」と貴樹が吐露する
貴樹が失ったピースがゆっくりハマった気がした
幸福感というピース、痛みというピース、不満というピースを…
一方大人になったあかりは「思い出じゃなく日常になっている」と語る
彼女は大人になっていた…貴樹の「日常」を信じて大人になっていたのだ
この対比が秀逸すぎる
また、ふた手に別れて2度と地上には戻らない探索機は貴樹とあかりのようだが、決してバッドエンドではなく、むしろハッピーエンド
秒速5センチメートルについて、何か語りたい何か伝えたい何か書き留めたい!とたくさんの情報が頭の中を駆け巡るのだけど、不思議なもので頭の中は言葉ではなくひらめきのような、心が映像になったようなもので、言葉にする間もなく、瞬く間に消えてしまう
「記憶はないけど匂いとか空気は覚えている」ってやつに似ている
忘れたくないこと、伝えたいことは、自分の中に刻んでおこう
そうしないと人はなにもかも曖昧になってしまういきものなんだと思う
一番印象に残っているシーンは、貴樹が乗った電車に雪が吹き込んできて、咄嗟に電車を飛び出したところ
感情の高ぶりが伝わってきてゾクッと鳥肌が立った
生産性も合理性もないけど「ジンクス」を直感的に信じて行動した貴樹は人間らしかったし、ちょっとだけ光って見えた
あの頃ってとても純粋でストレートで、自分のことも他人のことも、様々な出来事も、飾らない言葉で表現できたはずなのに、なんであんなにも気持ちが届かないことがあったのだろう、なんで諦めて伝えなかったんだろう、なんでなんでと思い返してしまう
人は一生のうち5万のコトバと出会うとあったので、私も忘れないうちに書き留めておこう
『秒速5センチメートル、エモい』
りかさん
コメントありがとうございます。
貴樹のなかなか前に進まないモヤモヤした性格、明里の常に前向きな性格、、男性はよく過去の思い出に浸る後悔するっていいますがその通りだと思いました。鑑賞して何十年前の事を思い出してしまいました(笑)
明里同様、思い出も日常ってその言葉は素晴らしいですよね!
貴樹は救われたと思います。
秒速5センチメートルは奥が深く色々考えさせられる映画だと感じました。日常で0.0003%の奇跡を信じる事も楽しみだと思いました。
今後ともよろしくお願いします。
リカ様
共感、コメントありがとうございました!
私も「記憶はないけど匂いとか空気は覚えている」にすごく共感です(^^) 体が覚えてる感覚、すごく本能的だなって思います。
リカさま
共感ありがとうございます🙂
この映画を初日観てから1週間、誰かと話したり、レビューを読んだり、コメントをいただいたり…毎日生まれる新しい気持ちを言葉にしたくてもどかしいです。
貴樹のプラネタリウムのナレーションを聞いた明里は、その声が貴樹だと分かって「貴樹くんは大丈夫」と安心して、再会の約束を果たさず海外へ行ったのだと思います。
明里と再会できなかった貴樹は、これからは明里の存在が北極星のように道を照らしてくれるといいな、と思っています😙
共感ありがとうございます!
この作品は男と女性で観たときの印象が180度まで行かなくても120度くらい違っている気がします。男は元カノの思い出を上書きできないので、自分の過去を投影して気恥ずかしくなったり、女性はちょっとドライにも感じられる高畑充希の演技を、前を向いて清々しく生きているように感じているのではないでしょうか?
自分のレビューに書いたように、運命の女神は全裸のハゲだと思うので、人生で滅多に来ないビッグチャンスは逃さないようにキャッチしようと思いました。
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