劇場公開日 2025年10月10日

「スクリーンが美しい」秒速5センチメートル 泣き虫オヤジさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5 スクリーンが美しい

2025年10月13日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

カワイイ

奥山由之監督は少しだけ知っていた、俺の推し広瀬すずの写真集を撮ったカメラマンであり、すずも出演した昨年公開の小作“アット・ザ・ベンチ”の監督でもあった。
それがあったので、「なんでわざわざアニメを実写化?」と思いつつ、奥山由之長編デビュー作に興味が有ったのと女性キャストにも惹かれて観賞。

【物語】
遠野貴樹(松村北斗)は東京で働くソフトウエアのプログラマー。会社では人との交流は最小限に黙々と仕事をこなしている。社内に交際している女性がいるにはいたが、彼女との関係も「これ以上前に進めない」でいる貴樹だった。ついに、自分の気持ちに限界を感じた貴樹は会社を辞め、元上司の伝手で都内のプラネタリウムのソフト改修の仕事受ける。科学館で目にしたもので、高校そして小学校時代の出来事に思いを馳せる。

【感想】
予告編を観ると、原作のアニメ版を忠実になぞった作品を想像させるが、観てみるとそうではなかった。エッセンスやアニメ版で印象的だったシーンは再現されているが、作品構成(時系列)は並べ替えられているし、内容もかなり肉付けされている。確認するとアニメは63分、今作は121分なので肉付けは必然か。当然肉付け部分には監督の原作の解釈が加わることになる。

この肉付け部分の賛否が、評価の分かれ目になるかと思う。
結末の部分はその肉付けがかなり強く出ているのだが、俺的には「これはちょっとはっきり描きすぎか?」と思った。アニメは作品の主題的部分や筋書き、主人公達のその後についても、ぼんやりと描かれていて、そのあたりはあえて観客の感受性に委ねる作品になっていると思う。 もやっとするところでもあるが、それが観客それぞれが「余韻を含めて楽しめる」的な良さになっていると思う。それが本作では、もう少しはっきりした“会話”になっている。
俺的にはあのシーンは無くすか、あるいはもう少しさらりと描いて欲しかった。俺はあそこで「物語の世界から現実に引き戻された」感じになってしまった。

ただそこまでは、凄く良いと思っていた。
まず、とにかく映像が美しい。新海アニメは絵として美しいところが好きだが、本作も勝るとも劣らないものがあった。さすが写真家、絵的センスが素晴らしいと思って観ていた。

女優陣にも惹かれた。
高校時代の女友達を森七菜が演じているが、現在24歳、昨年撮影だったとしても23歳、しかし、女子高生に全然違和感が無い。少女らしい瑞々しさ、純粋さ、もどかしさが感じられて凄く良かった。

そして本作の一番の肝は12~13歳パートだと思っているのだが、その時代の明里を演じた白山乃愛の可憐さにちょっと感動すら覚えた。初めて観たわけではない、東宝シンデレラのグランプリであることも知っていたが、今作で初めて凄いと思った、オーディション審査員の目は確かだったと思う。いずれ、浜辺美波、長澤まさみ級、あるいはそれ以上のスター女優になると確信。次回作は何だろうと思わず調べてしまった。
次回作がとても楽しみ。

ということで、基本的には凄く良かったのだが、それだけに結末のシーンだけが俺的にはちょっと残念。

泣き虫オヤジ
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