「距離が、孤独を育てていく—」秒速5センチメートル bankhangrongさんの映画レビュー(感想・評価)
距離が、孤独を育てていく—
1000000000/10…最高すぎて、心が壊れるほど泣いた🥹🥹🥹
新海誠といえば、やはりこの作品を思い出します。
桜が舞うあの名場面、淡くて切なくて、心に刺さるような寂しさが漂う。
まさかこの伝説的アニメが、実写映画になるなんて思いもしませんでした。
アニメ版は2007年に公開され、18年の時を経てついに実写化。主演は松村北斗(タカキ役)、高畑充希(アカリ役)、森七菜(カナエ役)。
三人とも原作のイメージにぴったりで、本当に素晴らしかったです。
映画は原作にとても忠実でありながら、新しい要素を加えてより物語を豊かにしています。
まるで「失われていた欠片」を丁寧に埋めていくような構成で、観終わったあと胸がいっぱいになりました。
“涙が止まらないのに、どこか満たされている”—そんな感覚でした。
アニメ版では、物語は3つの章に分かれており、
子供時代、高校時代、そして社会人時代のタカキの人生を通して描かれます。シンプルな物語なのに、どこまでも痛く、静かに心を締めつける。
一方、実写版では構成を大胆にアレンジ。現在から始まり、過去の出来事を少しずつフラッシュバックで見せていくスタイルです。この手法が見事で、観客をタカキの心の奥底に引き込みます。過去への未練や痛みが、まるで現実に甦るようでした。
特に印象的だったのは、アニメ版に描かれなかった細部が補完されている点。原作小説からの要素も加えられていて、まさに“完全版”と言える仕上がり。細かい部分はネタバレになるので伏せますが…ぜひ劇場で体験してほしいです。
映像美は言うまでもなく圧巻。淡くくすんだ色調が、作品全体の“静かな寂しさ”を際立たせています。空、風、雪、そして桜。どのカットもまるで絵画のように美しい。この映画そのものが「芸術」でした。
セリフは少なめで、表情や間で感情を語るタイプの作品です。だからこそ、一つひとつの言葉がより深く響く。
登場人物同士の関係性も丁寧に描かれ、静かに心を揺さぶります。
演技も完璧。特に松村北斗の繊細な表現力には息を呑みました。『夜明けのすべて』での演技も素晴らしかったですが、今作ではさらに深みがある。そして森七菜はまさに“光”そのもの。アニメ版のカナエの切なさを完全に再現し、観る者の心を掴みます。
オリジナルへの敬意が細部まで込められており、
構図やセリフの一言ひとことに「愛」が感じられる。
物語の終盤では、もう涙が止まりませんでした。
そして…最後に流れる「One more time, One more chance」。聞いた瞬間、心が崩壊しました。結末を知っていても、やはり涙が溢れる。演出のタイミングが完璧すぎて、胸が張り裂けそうでした。
さらに、ラストのラストでもう一度“感情の波”が押し寄せてきます。“待つこと”、“すれ違い”、“新しい一歩”——その全てが詰まった、痛くて美しい結末。
主題歌の米津玄師「1991」も完璧にマッチしており、
映画全体を静かに包み込むような余韻を残します。
桜が舞い散り、雪が降り積もる。
その瞬間、僕の心も一緒に痛みました。
僕にとって『秒速5センチメートル』は、今年一番の恋愛映画です。
5 Centimeters per Second(秒速5センチメートル)
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。
