「こだわり抜かれたビジュアルと奥山由之監督の描く純愛」秒速5センチメートル こう。さんの映画レビュー(感想・評価)
こだわり抜かれたビジュアルと奥山由之監督の描く純愛
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まずアニメーション版の映画を観た。誰も結ばれず恋愛映画としてどうなんだろうと思ったが、もうストーリーなんてどうでも良い。この世界観が好きだと思った。アニメも実写もきっと純愛を描いたのだろう。宮崎駿氏の純愛は「耳をすませば」や「風立ちぬ」などで解る通り、結婚だ。この映画の原作者の新海誠氏の純愛は告白すらしない、片思いでいる状態のことだと思う。
そして、いざ実写版の映画を観に行った。冒頭ででてくる水野のセリフ「私といると楽だけど楽しくないでしょ」。確かに楽(らく)と楽しいは全然違うのに何で同じ漢字なのだろうと思った。楽しいと明るいと、加えて好きは同じ漢字で良いと思った。奥山由之監督の描く純愛は楽しくて明るくて好きで、でも辛くて悲しくて、いつも相手のことを思いやる気持ちに溢れている。僕は奥山由之監督の描く純愛が好きだ。
アニメーションで出てくるキラキラした情景描写は実写版でこだわり抜かれていて、美しくて心に響いた。
何故タイトルが「秒速5センチメートル」なのかずっと考えていたが、僕なりに結論を得た。桜も雪も落ちる速度は一緒。秒速5センチメートル。それはただの数式。30年ひたすら歩いて地球を一周する計算も数式。遠くを眺め遠くに行くには数式が必要だ。でも愛は違う。愛は近くを見ることから始まる。今隣にいる人に自分の気持ちを伝えることから愛は始まる。主人公貴樹はいつも遠くを観ていた。でもきっと近くを見ることの大切さに気づいたのだと思う。僕自信にもそうした気付きがあってとても楽しくて素晴らしい映画でした。ありがとうござんした。
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