「遠野に全共感することは難しい、だけどこんな淡い記憶あったなと思い出させてくれる作品」秒速5センチメートル PONさんの映画レビュー(感想・評価)
遠野に全共感することは難しい、だけどこんな淡い記憶あったなと思い出させてくれる作品
原作未視聴、実写から入っての感想
結論から言うとアニメだから成り立つストーリーだと思った
男女で分けるものでもないけれど
もしここで区別をつけるとしたら主に男性目線なストーリーであり観客も男性の方が自分と重ねる瞬間は多かったのではないか
現在の遠野の姿に半分理解しつつ、半分は共感できないうじうじさを感じたため評価が難しいが
あの淡い記憶は誰しもがそんな幼少時代があったねと思わせてくれるような演技が良かったのでここを評価したいと思う
このストーリーで理解できた点は
・雑談をすることは悪いことではないということ
私も雑談は不要だと思っていたけれど、雑談することで自分が進めていないことを認められる、誰かの助けを借りて前を向けるのを知ったから雑談は悪いことじゃないよ、と序盤の遠野に言ってあげたい(結果的に雑談をできるようにはなるけれど)
・転校生という共通点にシンパシーを感じる点
これは学生以外にもあり得る話だが共通点があるとグッと距離は縮まるし良き理解者だとも思うしもっと話たいと思う
遠野と明里はそれが知らない土地の中でできた友達だったからこそ余計に思いが深いのだろう
・明里が約束は忘れて過ごしていてほしいと思う点
あの日あの時それぞれの一歩を踏み出せたのは紛れもなく相手のおかげだけれど明里は大切に別のフォルダとして保存したところに女性的目線が入ると感じた
私だって小さいころ本当に些細な出会いで好きになった相手を思い出せるくらい大切にしまってある
だけどあのフォルダをもう一度開けなおそうとは思わない
しもしそんな状況が訪れても今の幸せを離さずに過ごして欲しいと願ってしまうだろう
・好きな時に好きと言えない点
本当に失ってから大切さに気づくのと同じ感覚
これに関しては本作品を見て気づきがあるいい点だと思ったがいい言葉なのに映像の中ではさらっと流れたなとも感じた
共感できなかった点
・後半ようやく雑談をして前へ進む何かを掴みかけているのに最後の踏切で電車がすぎるまでずっと、ずっと待ち続けている点
おそらくこの意図はないのだろうけれど遠野はいつ前を向いてくれるんだろうと思ってしまい観客の心情をミスリードした感がある
・高校時代の遠野の誰も眼中にない姿
それ自体は構わないが、花苗の気持ちを知りながら一緒にいたんだろうな、自分は何かを伝えるわけではないのにと思ってしまいずるい人だなと思った
そして同じことをまた会社員になっても繰り返す姿はなんだかなぁと思ってしまう
・親目線だと子どもの安否が心配になる点
映画だから!と言われればそれまでだが、雪の中栃木に行き置き手紙だけで出てくる2人をみて
実写化したことによりアニメを知らない勢はリアルとリンクさせて感情移入ができなかったらしい(一緒に見に行った人の感想)
ファンタジーでもアリと思う作品はたくさんあるが
今回についてはファンタジーになるつもりはないけどファンタジーになってしまった作品だったなと感じた
別視点での感想として役者さんたちにコメントを添える
・松村北斗さん
遠野には共感できないのだがプラネタリウムで言葉を詰まらせながら話すところや話しづらそうに会話をはじめる点は彼だからできる演技だなと思った
また声の良さも相まってプラネタリウムのナレーションが十分よかったとおもえた場面でした
・宮﨑あおいさん
本当にいつまでも可愛らしくてずっと好きな女優さんであり、自然派だなぁと改めて感じる気張ってない大人な感じがいい
その場面ごとに一番溶け込む演技だった
・森七菜さん
国宝の時も思ったがどんどんスキルを上げている
今年は助演で数々の作品に出られている
学生時代の姿があまりにも可愛すぎて本当に恋する乙女だったし泣きの演技もよかった
キュンときてしまうくらいには照れた顔が愛らしい
・上田悠斗さん、白山乃愛さん
大切な幼少期シーンを愛おしく演じていた
きっと誰しもがこんな昔があったねと思い出させてくれる2人の距離感がちょうどよかった
全体的に自然な演技をできる役者さんが配役されているところは良かったと感じる
貴樹は自分のずるさについては水野さんに「楽しくなくても楽だから、ずるいよね」と言われて初めて気づいたみたいですね。
高校生貴樹は多分自分からは花苗を誘った事はないと思うけど、花苗の気持ちはあの涙で気付いたはず。
でも打ち上げを見たことのほうが、貴樹にとっては重要だったみたいで、何ともね。
貴樹の憔悴感は、初恋、親の転勤だけじゃない何かがある筈で、そこが分かるエピソードが欲しかったなと。宮﨑先生となら深堀りできたのになと思いました。
高校時代は絶対、彼女の好意には気づいていただろうに、社会人になると変な進化をしていたのは成長と言えるんですかね。絶対宮崎先生にもちょっとぐらついてたと思いました。
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