「いらない偶然を足しすぎ」秒速5センチメートル ぱぷりやさんの映画レビュー(感想・評価)
いらない偶然を足しすぎ
種子島にいるはずの澄田お姉さんが、なぜか東京に現れ、しかも教師から書店員に転職して、明里の同僚になっています。さらに、偶然街で昔の教え子である貴樹と再会し、明里を誘って三人で飲みに行こうとします。たった今再会したばかりの、特別親しいわけでもない元教え子なのに、親しくもない同僚を急に誘うなんて、普通ありえるでしょうか? この展開は、0.000003%の確率といったレベルの話ではなく、ただの都合のいい偶然にしか見えません。
正直、澄田お姉さんが東京にいること自体に強い違和感があり、物語に不要だと感じました。もし繋ぎ役が必要なら、新しいキャラクターを登場させればよかったと思います。現在の設定はあまりにも無理やりです。同様に、プラネタリウムの館長もただ都合よく配置された存在にしか見えず、偶然があまりにも多すぎます。
原作では、貴樹と明里は繋がりを失い、人生が平行線をたどります。いつも心のどこかで探し求めながらも、簡単には再会できない。最後に、偶然踏切ですれ違う――この十数年間待ち続けた、たった一つの偶然こそが、切なさの真髄ではないでしょうか。
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まさにおっしゃる通りで、澄田お姉さんの再登場には“物語を前に進めるための装置感”が強く、原作が持っていた静かなリアリティや余韻を少し削いでしまった印象があります。
『秒速5センチメートル』の魅力は、偶然ではなく“必然的にすれ違う人生”の切なさにあったはずで、踏切のラストこそがその象徴でしたよね。
あの「一度だけの奇跡」が特別であるからこそ、観る側も10年以上の時間を共に生きたような感覚を持てたのだと思います。
偶然が重なりすぎた瞬間に、あの作品が持つ“静かな痛み”が少し薄まってしまう——その違和感、とてもよく分かります。
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