「1991」秒速5センチメートル ブレミンガーさんの映画レビュー(感想・評価)
1991
新海監督が手がけた「秒速5センチメートル」の濃厚すぎる世界観に惚れ、実写化をほっくんですると聞いたタイミングでこりゃワクワクしてきたな〜となってようやく鑑賞できました。
実写版としてのボリュームアップ、アニメ映画では描かれなかった物語を拡張して描かれており、新たな「秒速5センチメートル」を体験できました。
初っ端聞いたことあるイントロだぞ…となってからのバンプの「銀河鉄道」が流れてきてからそっちに気が取られてしまいました笑
大ファンですがここまでの不意打ちを食らったのは初めてで見事にやられました。
アニメ映画の時とは順番がシャッフルされているので、多少違和感はありましたが、実写版として幅を広げるためにはそういう改変もありだよなと飲み込めました。
幼少期・高校生・大人と過ごしていく中での心境の変化や周りとの出来事なんかもしっかりと落とし込まれており、アニメ映画とはまた違った表情が見れたりとで見惚れていました。
幼少期の初恋と別れ、高校生の淡い恋心、大人の憂いた気持ち等々、どこを切り取っても濃密でしたし、大人パートが多く物語が追加されていたのも印象的でした。
プラネタリウムでの遠野くんと明里の心情を語るシーンが相反していたのもすれ違いを加速させていてキューってなりました。
遠野くんは約束の日に約束の場所までいで向いたけれど明里は約束の日なんか忘れて幸せになってほしいという互いが互いを想っていたからこそのすれ違いはなんとも寂しいもので。
ここで流れる涙もこれまた美しいんです。
ラストシーンの切なさは今作でも健在で、新海監督よろしく、すれ違えたはずなのに会えないという絶妙な距離感、遠野くんはまだ初恋を捨てきれずにどこか影を追ってしまっているけれど、明里は前に向かって歩いている。
自分はもう初恋すらぼんやりなもんですから、ここまで初恋を持って行けているのも良いなと思いましたし、それでも明里の様に生きていくのが良いんだよなとしみじみさせられるのも不思議な体感でした。
前作の「アット・ザ・ベンチ」で奥山監督の映像の惹きつけ力が凄いなと思い、ストーリーは元の素晴らしいのがあるので絵作りがどんな風になるんだろうと思っていましたが、今作も自然の美しさから都会の複雑な構造まで事細かく映されていて圧巻でした。
ストーリーは付け足した分、より詩的な感じがして味が濃くなったなとは思いましたが、元の世界観を変に崩さずにやってくれて良かったです。
役者陣がこれまたサイコーでした。
ほっくんの涙や哀愁漂う感じはとんでもなく素晴らしく、エモーショナルにさせてくれて涙腺が大変でしたし、高畑充希さんはベストアクトなのでは?と思わせてくれる明里でしたし、声や仕草が本当に愛らしくて凄かったです。
大人パートの明里の描写はアニメ映画ではあまり無かったので、新たな解釈で描かれる明里はこうなるのかという驚きもありました。
森七菜さんの澄田の可愛さたるや…!
アニメ映画でもテレッテレしている澄田にニヤニヤしていたのですが、これまた純粋に遠野くんを想っているもんですから可愛さが突破しまくっていました。
青木柚さんの表情をより読み取れなくなった遠野くんの得体のしれなさも良かったです。
幼少期〜中学生パートでの上田悠斗くんと白山乃愛さんもこれまた素晴らしく、小学生だからこその楽しいに包まれる時間、距離が離れても頑張って会おうとする中学生の時間、アニメ映画でも1番好きなシーンの桜の木の下での2人だけの時間は実写版でもやはりトキメキっぱなしでした。
宮崎あおいさんの頼もしい姉御肌な先生や、吉岡秀隆さんの優しい館長だったりと、脇を固める布陣も最高で温かさマシマシで良かったです。
音楽はアニメ映画と同じ音楽や「One more time,One more chance」が流れてくれたりとでアニメの雰囲気を味わえつつ、新たな表情も見れたりとで良かったです。
「1991」も壮大な物語を締めくくってくれる優しさがたくさんありました。
新たな「秒速5センチメートル」が観れてとても良かったです。
出会いと別れ、たくさんしてたくさん喜び涙して生きていきたいですね。
鑑賞日 10/10
鑑賞時間 18:10〜20:25
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