秒速5センチメートルのレビュー・感想・評価
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美しい自然の画に見惚れてしまった
「アット・ザ・ベンチ」で初めて奥山監督の作品を見た時、夕暮れや雨上がり、自然の色彩や質感がエモくて素敵だなと思っていたので、今回の作品とすごく合いそうだなと思ったら、やはりドンピシャだった。
奥山監督は写真家としても活躍されているそうなので、カメラを趣味にしている人は特に刺さる画が多いと思う。
自然を美しく撮る人は多くいるかもしれないけれど、奥山監督の自然描写は、感情が映し出されるような気がしていて、見惚れる画が何度もあった。
16ミリフォルムに焼き付ける手法のおかげもあり、この作品がまとっている懐かしさや切なさが質感や温かみとなって表れている点も良かった。
ストーリーに関しては、簡単に言えば男女の恋愛の捉え方あるあるといった感じで、実は男性の方がロマンチストなこと多いよなーという感想。
私は泣かなかったけれど、周りの若者たちは泣いている人も多かったので、過去に似たような経験がある人や、新海誠作品のロマンチックさが好きな人、若い方には好かれそうな作品。
好きな人はすごく好きだと思う!
それにしても今年は本当に、ドラマも映画も宇宙をテーマにした作品が多くて、宇宙ブームなのか?と不思議に思った。
主演の松村さんは「夜明けのすべて」でもプラネタリウムだったし。
役者陣で目を引いたのは、中学時代の子役たち!
美少年と美少女すぎてずっと眩しかった。
中学生であんな遅くあの距離をひとりで…とか、色々思うところはあったけれど、ロマンチック雰囲気でリアルさねじ伏せを受け入れるかどうかは好みだなと思った。
綺麗な画をたくさん見せてもらった点は大満足だったけれど、話の内容的には可もなく不可もなくといった作品だった。
思い出を糧に現実を生きる女性と、思い出を抱きしめて現実を彷徨う男性の物語
「君の名は。」「すずめの戸締まり」の新海誠監督による、2007年公開の劇場アニメーション『秒速5センチメートル』を、「SixTONES」の松村北斗主演で実写映画化。
いつだって永遠にロマンチストなのは男性の方。
より早く現実に目覚めるのは女性の方。
恐らくこれは、生物学的な構造の違いからくるのかもしれない。
女性は身をもって痛みを感じ、我が子を産み、守らなければならない存在だから。
観客に年配の男性が多かったのが少し意外だったが、
実はその年代層こそが、この作品の一番のターゲットなのかもしれない🤫
SixTONESの松村北斗さんは、不思議な俳優だ。
人気グループの歌手であり、バラエティでその素の姿も知られているのに、
スクリーンの中ではまるで別人。
いい意味で、しっかりと“役を生きている”。
だからこそ、素の彼のイメージを重ねることがない。
そして、永遠の高校生・森七菜さん。
いくつになっても、あの透明な魂で演じられるのが素晴らしい。
久しぶりにスクリーンで見た宮崎あおいさんの、年齢不詳気味な美しさにもいい意味で困惑した。
4人のお子さんのお母さんとは思えないほどの清らかさ。
吉岡秀隆さんも、年齢を重ねてさらに深みを増していて素敵だった。
若い時代の主演お二人も瑞々しく、とてもよかった。
本屋の又吉直樹さんには思わず笑った😎
挿入歌の山崎まさよしさん「One more time, One more chance」。
あまりに名曲すぎて“それだけで押されると嫌だな”と思っていたけれど、
ちょうどよいタイミングと適切な分量で流れていて心地よかった。
そして、エンドロールが米津玄師なのがグッときた。
平たく言えば、
思い出を糧に現実を生きる女性と、
思い出を抱きしめて現実を彷徨う男性の物語。
この現実感の差があるからこそ、恋愛が生まれるのかもしれない。
監督のセンスが存分に発揮され「映像美✖️俳優陣」の化学反応が大きく光る恋愛映画。
本作は、1991年から端を発した“過去”と、2008年の現在を行き来する恋愛映画です。
特筆すべきは、こだわり抜いた映像表現でしょう。
どのシーンも、写真家としても活躍する奥山由之監督のセンスの良さが全面に出ています。そして、最新のデジタルで撮影しつつも、その映像データを16ミリのフィルムに焼き付けることで、全体的に温かみのあるような「質感」も上手く表現しています。
役者陣も全員が上手く演じ切っていて、「映像美✖️俳優陣」の化学反応が大きく光る恋愛映画になっていました。
中でも子役の演技は驚くほど自然でしたが、撮影前にそのキャスト本人が持つ話し方などのクセを知ってから、それらを脚本に入れ込むといったような作り込みによる成果なのでしょう。
米津玄師の主題歌「1991」も主人公の心情を上手く表現していて合っていました。
様々な才能が集結して完成した、一度は見ておきたい作品です。
人生のスピードは過ぎ去ってみれば儚くて短いと、深い余韻が残る作品
似たような経験をしている、していないに関わらず、新海誠監督のアニメ作品「秒速5センチメートル(2007)」は、各カット、シーンは、誰しもが心の奥底にもっているような、いつかどこかで見たような景色や心象風景が積み重ねられています。
なぜか懐かしく、自然と涙が溢れてくるような新海監督の視点。それは劇中で描かれる時間と距離が、観る人によって、観る世代によって異なる“記憶”と結びつく作品だったからではないでしょうか。
そして、印象的なセリフや音、映像美とともに、山崎まさよしさんによる主題歌「One more time, One more chance」がさらに作品を特別なものにしました。日々の生活の中で、初めてなのにふとデジャヴ(既視感)に襲われたり、特別な人の姿を雑踏の中に探し求めてしまう人は少なくないのではないかと思います。今回の実写版の劇中でも言及される、山崎主演の映画「月とキャベツ」(1996)を観ていれば、人生における出会いと別れの寓話がさらに沁みてくるに違いありません。
もちろんアニメ作品の熱狂的なファンの中には違和感を覚える人もいるかもしれませんが、主人公のセンチメンタル、大切な想いや思い出が、まるで桜の花びらが落ちる“秒速5センチメートル”の間の一瞬の物語であったのではないかとも思えるほど、人生のスピードは過ぎ去ってみれば儚くて短いと、深い余韻が残る作品に仕上がっています。
「エモい」という言葉と現代社会
デジタルで撮られた映像を16mmフィルム風にグレーディングしている映像。いくら何でも主張激しい。少なくともフィルムダメージは絶対入れなくてよかった。人々がエモいと言っているものはエフェクトに過ぎないし、情緒として余韻を作るカットの繋ぎ方もしてない。
金だけかけて内容のこと、何も考えてないとても愚かで作家の自慰的な映画だった。
新海監督のタッチを実写で表現している奥山監督作品
深く心に刻まれる新海監督の原点
典型的なすれ違いラブストーリーでありながら、美意識の高い映像と繊細で純粋な作風が深く心に刻まれる。原作者である新海誠監督の原点が静かに、しかし鮮明に蘇った感がある。
本作の主人公・遠野貴樹(松村北斗)は小学校時代に転校してきた篠原明里(高畑光希)と互いの孤独を癒すことで心を通わせるが明里の転校で離れ離れになる。中学1年の冬に栃木の岩舟で再会した二人は、2009年3月26日に同じ場所での再会を誓う。時は流れ2008年、貴樹はシステムエンジニアとして働きながら過去の想いに揺れ動く日々を過ごしていた。明里もまた過去の想いを抱きながら穏やかな日々を送っていた。やがて二人はそれぞれの過去の想いに静かに向き合い始めていく。
二人の会話は、幼い頃の純粋さから、思春期の揺らぎ、そして、大人としての覚悟に変化していく。そのプロセスが丁寧に描かれており、相互信頼、相互理解が愛に昇華していく様に心打たれる。特に子役の演技が秀逸で、表情や台詞に込めた想いが自然体であり、二人の関係性にリアリティを持たせている。
当初、二人は、心の中に封印していた想いを、人生経験、人間関係を通して少しずつ解放していく。その姿は青春の彷徨そのものであり、誰もが一度は経験する“言えなかった想い”と“踏み出せなかった一歩”を象徴している。私自身も、かつて言えなかった想いを抱えて彷徨していた時期があった。だからこそ、二人のカミングアウトには深く感情が重なった。同時にカミングアウトの大切さも実感できた。
ラストの踏切でのシーンが作品を静かに集約していて心に深く刻まれる。迷いを振り切って二人がそれぞれの人生を踏み出すことを示唆している。
人生には、想いを言葉にできないこともある。誰にも言えず、ひとりで抱え込むこともある。それでもなお、過去を断ち切ることで人生は前に進んでいく。本作は、迷いの中にいる全ての人たちに過去を抱えながら前に進む勇気を与えてくれる熱いメッセージである。
いい映画
まず出演されてる俳優の方々、そして松村北斗くんの演技が自然過ぎてすごく感情移入出来ました。
内容は、最初から共感が凄くて、
「誰かに近づきすぎないように1箇所に留まらないように誰といつ別れて平気でいられるように」自分と重なる部分があって大共感しました。それからプラネタリウムの時あかねちゃんがたかきくんに「幸せに生きていて欲しい」って言ってるとこがち泣きました。誰かの幸せを願えるって凄く素敵で最大の愛のように感じました。終わり方は若干モヤモヤしたし、本当はもう一度会って話して欲しかったけど、それがこの映画のいい所なのかなと思えました。全てを知った後でもう一度映画館に行って見に行きたいなと思います。最高の映画でした。あ、あと森七菜ちゃんが、とにかく可愛かったです笑笑
男と女の恋愛に対するとらえ方を感じさせる映画
片道2時間半は遠いよ
好きなアニメの実写化なので、懐疑的な気持ちで入ったが
思いの外に原作に寄り添った仕上がりなので安心した。
人物や風景が美しく描かれている中を
切なくもの悲しい物語りが進行するのも原作の通り。
作中印象に残る多くのシーンも再現されていて嬉しい限りだし
山崎まさよしが流れるシーンはほんと良かった。
キャスティングも違和感なく見られた。
オリジナル要素はいくつかあり、花苗の姉を効果的に使った印象。
大人貴樹が別れた彼女にちゃんと気持ちを伝えるシーンよき。
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貴樹が小中高から大人まで一貫して、人として魅力に欠けてる。
転校直後の明里に優しくしたくらいか。
人が寄り付くのに違和感がある。
大人明里が貴樹の存在を近くに認識してもスルーした点。
おそらく、原作でも名シーンである踏切でのすれ違いを
2人の気持ちのズレを広げて見せた解釈なのだろう。
「私は行かない。貴樹君はきっと幸せだから」
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原作ファンの不満はこの2点。
実写を見た後、何年かぶりに原作を見返したら
あらためて背景描写の美しさの軽く驚きを感じた。
やっぱ好きだな。
アニメ視聴済みです。
観た印象として、アニメとはまた別の作品に感じました。
新海監督の作品は人の繊細な感情だったり、風景の美しさやメッセージ性だったり、短い映像での表現力だったりが印象的だと思います。
実写版では現実に落とし込む為に可視化して、アニメよりもドラマチックに仕上げている為、アニメ版を先に見ているからかわざとらしく感じてしまいました。
逆にアニメでは自分なりに理解したシーンが実写だと分かりにくいなと思ったシーンもありました。
実写映画なので登場人物の心情とかを画面に反映させるのは難しそうです。
ただ特に電車のシーンでは時間や寒さがよりリアルに感じられ、良かったです。
あの木も自分の中の観る前の印象と変わらず良かったです。
これは自分の解釈ですが、桜が秒速5センチで舞い散るように降り積もる想いはあれど、また新しい年の春を迎え、桜は積もっていく、決別の作品だと思っています。
人間だから新しい年になったら割り切って気持ちを切り替えるようにはいきませんが。
最終的に結ばれると思って観ていた勢にとっては残念に見えてしまう方も多いようで。
自分の前にいた恋人同士の方々は無言だったので普通の恋愛成就ものだと思ってたらどうなんだろうと思わないでもなく、余計なお世話ですが…。
自分は実写版も楽しめました。
実写の映像美も素晴らしかったです。
あとこれはしょうがないですが、年代が違うだけに今の子ってメール分かるのかなとか少し思いました。
どの時代も生きることに切実で誠実で、幸せを実感するまでの余裕はない...
観る世代、性別、過去の恋愛と現在の境遇によって感想が異なる
観る世代、性別、過去の恋愛と現在の境遇によって感想が異なる作品なのかなと他の方のレビューを見て思いました
私の感想は…
映画の前日に原作アニメーションをサブスクで初鑑賞
正直な感想はアニメーションの絵は綺麗だったけど
話の内容はキモい、の一言
(原作ファンの方々申し訳ありません
以下若干暴言が続きますが私個人の感想です)
中学時代の木の下でのキスシーン
キモい
明里のお弁当
自分の中学時代を思い出しても子供を見てても
あんなの作らない
思春期男子(思春期の初恋を引き摺ってる男子)が
こんな風だったらいいなーの妄想が詰まり過ぎてて
キモい
1、3話が貴樹の主観で語られてるせいか
全く感情移入出来ませんでした
その翌日に映画版鑑賞
アニメーションの話数的に(3)→2→1→3と流れ
高校時代の貴樹のどこか他人と距離を取って何考えてるのか分からない都会から来たミステリアスでぶっきらぼうだけどさりげなく優しくて掴み処の無い転校生感を青木柚くんが、片思い女子高生を森七菜ちゃんが上手に演じてて素敵でした
そこから小学生時代の乃愛ちゃんは可愛いし、悠斗くんの明里は友達だし好きだって純粋な感じもとても良かったです
木の下でのキスシーン
真っ白い雪原に映るシルエットの2人が重なってく
あの映像がとても綺麗で素敵だったし
あの位の見せ方が丁度いいと思いました
大人になってすれ違う2人
それでも子供の頃好きだったモノを
お互い好きでい続けてた事を知った貴樹と明里
もしかしたら凄く近くに居たかもしれない
会えたかもしれない
でも会えなかった…
会わなかった…
無駄だと思ってきた他愛ない雑談も必要で
言えなかった好きを伝えるだけじゃなくて
元気?何してたの?の一言を話したい
雑談したいって事に貴樹が気付けて良かったなー
だから別れた彼女に誤解されたままではなく
素直に自分が彼女を好きだった気持ちを伝えられたのは
貴樹の成長、大きな一歩だったのかな、と
踏み切りのシーン
振り返って明里がいなくても前に進んでいく決意が
原作よりもグッと深く感じられて
私は好きです
人生には自分が気付いてないニアミスも
あったカモしれない
でも出会わなかったからこそ
甘酸っぱくてちょっと切なくて
くすぐったい想い出を抱えながら
別の、今の人生を進んでいく
高校時代に片想いしてた先輩に
大人になって再会できた時に
好き(でした)の一言が言えなくて…
そんな自分の甘酸っぱい想い出を帰り道思い出し
「One more time one more chance」を聞きながら
家族の待つ家に帰りました
迷う映画
きっと自分が20〜30代で、独身で、初見であったなら、ものすごくハマったかもしれない。
この映画の評価が難しいところは、そもそも新海さんの癖強のオリジナルアニメが既にあって、嫌が応なしにも比較してしまう点。比較するのがナンセンスである意見も分かるが、脳裏にちらついてしまう。その点で、なかなかデスアドバンテージになってしまってる。
おそらく「現在の役者陣で見てみたい」というモチベーションで始まったと思うが、それに白羽の矢がたった監督はじめスタッフ陣、役者陣は良い仕事をしたと思う。
一方で、それは自発的、内的に発生するクリエーションではないので、狂気とも思える映像美を追求してできたオリジナルと比較するとどうしても作品の質としてパワーが落ちる。それも難しい点だった。
また、パンフの内容からも見受けられたが、いろいろ迷いながら作られたカットがあったと思う。「さすがっ」と思うような良いカットや実写ならではの表現もいくつかあったけども、「これは本当に納得した絵なのかな?」と思うような部分もあった。そこはアニメと比較して実写の限界だったのかもしれない。
トーンは岩井俊二や篠田昇を意識したようにも見えるけど、これもまた狂気の二人と比べると、運とパワーが及ばない。この点は仕方ない部分もあって、見方を変えれば若々しいであったり、これからの伸び代に期待する、とも言い換えられる。
音楽については、江崎氏や米津玄師の楽曲を否定するわけではないが、1991は名曲だと思うが、やはりオリジナルの天門さんの楽曲が「新海作品らしさ」をたらしめてる要素として、かなり大きいウェイトを占めていることを改めて実感した。
というわけで評価も迷う映画であった。
しっとりと
子役の2人の演技に感涙
アニメ版は随分前に鑑賞済みですが、実写化ということで鑑賞。子供時代の明里(白山乃愛)と貴樹(上田悠斗)の演技が良かったです。シニアの私ですが、特に岩舟駅でのシーンは感涙してしまいました。小学校時代の初恋ってあんな感じだったかなぁ...と思い、帰宅後小学校の卒業アルバムを探して見てしまいました😅。
高校生時代の花苗(森七菜)の貴樹(青木袖)に対する恋心の表現、描写が切なくて、心の中で応援していました。
大人になってからの明里役の高畑充希さん、貴樹役の松村北斗さんもすばらしいかったです。特に松村さんの他人と距離をおいている演技には孤独感が感じられましたが、彼女役の理紗(木竜麻生)との付き合い方や接し方には「それは無いんじゃないないの😡」と思ってしまいましたが...
吉岡秀隆さんや宮﨑あおいさんも良いシーンで登場していたと思います。
貴樹には、過去の思い出は美しく苦い思い出として心に刻み、新たな出会いに向けて今後の人生を満喫してほしいなぁ…と思いました。
精算
TVから突如流れた、涙を零さざるを得ない懐かしい曲。画面に顔を向けると、それは実写化が決まったCMでした。
それからしばらくして。あんなに美しい作品を実写化してしまう恐ろしさ、不安、心配が募る中、公開前にもかかわらず知人が必ず観に行けと言うのでムビチケを購入。役者が上手い下手関係なく、きっと主人公の貴樹は味がしてくれるだろうと少し期待をはじめました。
とどめは米津玄師の1991。なぜか切なくなるこの曲の歌詞を眺めながら、きっと切なくなると思い躊躇っていた気持ちを押し出して足を運びました。
結果としては、観に行くべきです。私はこれのおかげで、あの時から止まってしまった何かを精算できたような気がします。
そんな補完は求めていない
元のアニメを何回も見た人間からすると、期待外れだった
実写化でどこをどう補完して、どこにオリジナリティを出すかは難しいのかもしれませんが、原作の良さが30%くらいしか出せていないと思いました。
特に気になった部分で言うと、タカキの子供時代がコミュ障すぎる。アニメ版のタカキはもっと表向きは人当たりの良い、好青年といった印象です。
人と会話するときはもっと取り繕った感じで、一人でいるときは何か遠くを見て思いフケっている。
そういう繊細が微塵も無かった。
実写版では話しかけても反応は薄いし、声のトーンや返事も...根暗なやつにしか見えませんでした。
いや女の子はこんな奴を好きにならんだろwとさえ思ってしまった。
他で言うと、舞台や演出の雑さが目立った。
時代的には平成初期とかだと思うのだけど(携帯とか古いガラケーみたいなの使っていたし)、駅や街並みが異様に綺麗でここ最近の風景にしか見えなかった。
また、火球が空を過ぎるシーンがありましたが、めっちゃ近い割に空が全然明るくならなくてCGもテキトーだなーと感じた。
先述した背景も、CGもそうでずがお話を成立させるために存在しているだけで、没入感とかその時代を感じさせたいみたいな努力が全然感じられなかった。
新海さんはアニメ秒速の余白部分を『力不足だった』と認識しているみたいでしたが、だからこそその余白がタカキの心情を考えさせられる繊細さに繋がり、音楽を際立たせ、あの作品にしかない切なさを出していたと思う。
実写版はその余白の補完をとにかく頑張って説明していて、逆にそのせいで本来あった視聴者がそれぞれに感じ取る空気感や2人の思いみたいなものが無くなってしまったと思う。
この映画内では、アニメにはないオリジナル演出として、大人になってから何度もタカキとアカリがすれ違って、会いかける演出が出てくるが、そういう可能性を感じる演出は本当にやめて欲しかった。
約束の日にタカキが木の前に向かうシーンがあるが、『どうか会わないでくれ』とずっと祈ってしまった。
あそこで2人が再開するシーンに改変されてたら☆1つも付けたくない最悪の映画になっていたが、そこは回避されて良かった。
また、その会いそうで会わないみたいなシーンを意図的に入れすぎて、最後の方の踏み切りで2人がすれ違うシーンがめちゃくちゃ薄味になっていた。
アニメではあそこのシーンでクライマックスを迎えるレベルのエモいシーンなのに、そういう惜しい!みたいなシーンを随所に入れられるとロマンチックさの欠片も感じられず、台無し。
私は昔の新海さんが描いた、男特有の実は女々しい部分、いつまでも美化された幼少期の恋愛みたいなものが好きだったのですごく残念でした。
救いとか報われるとかいらないんだよ本当に。
小さい頃の恋愛ってそういうものだし、そういうわだかまりみたいな、戻りたくても戻れないグズグズとしたなんとも言えない気持ちを抱えて生きていくんじゃないか。
あと天門さんの音楽が素晴らしいのだからもう少しリスペクトを持って使ってほしかった。
この映画で唯一良いなと思った部分としては、森七菜さんのキャラクターづくりと演技。
アニメ版から更に情報量がました感じで、実在感がすごく良かった。
人生
この作品をただの恋愛映画としては受け取れませんでした。
私が感じたのは、「儚さの素晴らしさ」です。
人生は儚いものだと思います。でもその儚さは決して悲しいだけのものではなく、
むしろその奥にこそ美しさがあると感じました。
「好きと伝えればよかった」ではなく、
「好きと伝えられなかったこと」にも確かに意味がある。
「タイミングが合わなかった」ことも、
それが人生なのだと思います。
人は離れると少しずつ忘れていく。
でも、それも自然なことであり、
時間の流れの中で生きる人間らしさなのだと思いました。
この映画の結末はハッピーエンドでもバッドエンドでもなく、ただ“現実”としての人生を描いている。
観終わったあと、「そうだよな」と静かに納得してしまうような、そんな深い余韻が心に残りました。
儚さの中にある美しさ
それこそが、人生の本当の姿なのかもしれません。
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