秒速5センチメートルのレビュー・感想・評価
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より濃厚になった人間ドラマ
事前にアニメ版を予習し、忘れない内に劇場へ向かいました。オリジナルの内容を思い出しながら観ていたので、大まかなストーリーを想像することができました。
今回は実写版らしく、人間ドラマが濃厚になっていました。貴樹と明里の関係が深く描かれており、お互いの心境に共感しやすかったです。特に小学校時代は、科学が好きという共通点やそれぞれの良い点を見つけて、2人が仲良くなっていく過程が細かく描かれていたのが好印象でした。
アニメ版特有の美しい風景はないものの、それを別の形で再現していたのも良かったです。中でも、星空と雪景色のシーンがすごく印象に残り、貴樹たちと一緒に眺めているような感覚でした。
気になった点としては、時系列がわかりづらかったことです。劇中で何度も場面が行ったり来たりするので、いつ頃の話なのか途中でわからなくなりました。せめて、簡単なテロップだけでも表示してほしかったなと思いました。
3話形式の物語が、一つの映画として丁寧にまとめられていました。新海監督へのリスペクトも込められた繊細な人間ドラマに感動できました。
奇跡の美しさと思い出を
実写ならではの美しさ。初めから終わりまで見とれるばかり。高難度・季節限定のカット連発をよくぞ実現したということもあるけれど、実現したに留まらず、実写ならではのリアリズムの美しさを追い求めた結果でしょうか。
原作自体はかなり以前で、作中の年代も2009年だったから、はや16年前、かな。お話自体はネタバレも無いのかもしれないけれど、「再会するの? しないの? ああ、もどかしい」とハラハラしていたのは、原作を碌に見てない私だけだったのでしょうか。再会してゴールインしたら、それはそれで、ほっこり出来たような気がするけど、最後の最後までギリギリのすれ違いに胃腸をギリギリするほどのキレッキレの切なさ可憐さ美しさ。納得いかない、何とかならなかったのかと切なさに思わず言いたくなるけど、こうした物語の宿命なのでしょうか。
そうした辛さも湛えた美しさもあり、再び見るのが辛い気もするけど、自分のお気に入りシーンはやはりクライマックスの大きなリアル相合い傘でしょうか。こんなシーン、リアルで思い出に持ってる人なんて世界で何人いることだろうか。花びらの速度や出逢いの確立同様、統計を取って欲しいところ。こうした思い出の追体験がこの映画のキモでしょうか。
思い出と言えば、画面に映るアイテムも懐かしいですね。ぼんやりと並んだ漫画本は間違いなくドラゴンボール。もう知らない世代もいるんでしょうか。腕時計のG-SHOCKが歳を重ねてグレードアップしてましたね。型とか詳しくないけど1万程度から数万円ぐらいのグレードかな。劇中に聴いていたRADIO HEADのアルバム「パブロ・ハニー」も多くの人の青春の音楽なのでしょうか。名曲「CREEP」が有名ですが、それを流すかと思ったけど、歌詞が筋違いかな。
昨今、「鬼滅」とか「チェーンソー」とか壮絶バトルが活躍する中、絶対信頼できる美しいばかりの安心して見れる映画だったと思います。やっぱ切ないけど。
そういえば、又吉さんが本屋の店員をしてるってのがちょっと笑えました。
(追記)
切ない切ないと、見終わってから一晩ぐらい悶々と考えてしまったんですが、よくよく考えてみれば、二人がそれぞれに成長していく姿が描かれていたと思う。サーフボードから立ち上がる彼女、そして最後にやっと自分の思いを伝えた彼。切ない思い出を抱えながらも、二人の間を行き交う電車が分かち、それぞれに歩いて行く。とはいえ、振り返る彼氏の姿が、男女の違いを表現しているのでしょうか。元カノ・元カレに再会したがるのは男女どちらか、みたいなところか。
兎に角、切なく悲しい思い出を乗り越えて、実はポジティブな結末だったと云えるかも知れない。こうした物語の構成が改めて素晴らしいと思う。ハリウッド版とか作られそうなぐらい。でも、この邦画版をそのまま世界にぶつけて欲しい。もっともっと日本の映画界に頑張って欲しいから。
美しい自然の画に見惚れてしまった
「アット・ザ・ベンチ」で初めて奥山監督の作品を見た時、夕暮れや雨上がり、自然の色彩や質感がエモくて素敵だなと思っていたので、今回の作品とすごく合いそうだなと思ったら、やはりドンピシャだった。
奥山監督は写真家としても活躍されているそうなので、カメラを趣味にしている人は特に刺さる画が多いと思う。
自然を美しく撮る人は多くいるかもしれないけれど、奥山監督の自然描写は、感情が映し出されるような気がしていて、見惚れる画が何度もあった。
16ミリフォルムに焼き付ける手法のおかげもあり、この作品がまとっている懐かしさや切なさが質感や温かみとなって表れている点も良かった。
ストーリーに関しては、簡単に言えば男女の恋愛の捉え方あるあるといった感じで、実は男性の方がロマンチストなこと多いよなーという感想。
私は泣かなかったけれど、周りの若者たちは泣いている人も多かったので、過去に似たような経験がある人や、新海誠作品のロマンチックさが好きな人、若い方には好かれそうな作品。
好きな人はすごく好きだと思う!
それにしても今年は本当に、ドラマも映画も宇宙をテーマにした作品が多くて、宇宙ブームなのか?と不思議に思った。
主演の松村さんは「夜明けのすべて」でもプラネタリウムだったし。
役者陣で目を引いたのは、中学時代の子役たち!
美少年と美少女すぎてずっと眩しかった。
中学生であんな遅くあの距離をひとりで…とか、色々思うところはあったけれど、ロマンチック雰囲気でリアルさねじ伏せを受け入れるかどうかは好みだなと思った。
綺麗な画をたくさん見せてもらった点は大満足だったけれど、話の内容的には可もなく不可もなくといった作品だった。
思い出を糧に現実を生きる女性と、思い出を抱きしめて現実を彷徨う男性の物語
「君の名は。」「すずめの戸締まり」の新海誠監督による、2007年公開の劇場アニメーション『秒速5センチメートル』を、「SixTONES」の松村北斗主演で実写映画化。
いつだって永遠にロマンチストなのは男性の方。
より早く現実に目覚めるのは女性の方。
恐らくこれは、生物学的な構造の違いからくるのかもしれない。
女性は身をもって痛みを感じ、我が子を産み、守らなければならない存在だから。
観客に年配の男性が多かったのが少し意外だったが、
実はその年代層こそが、この作品の一番のターゲットなのかもしれない🤫
SixTONESの松村北斗さんは、不思議な俳優だ。
人気グループの歌手であり、バラエティでその素の姿も知られているのに、
スクリーンの中ではまるで別人。
いい意味で、しっかりと“役を生きている”。
だからこそ、素の彼のイメージを重ねることがない。
そして、永遠の高校生・森七菜さん。
いくつになっても、あの透明な魂で演じられるのが素晴らしい。
久しぶりにスクリーンで見た宮崎あおいさんの、年齢不詳気味な美しさにもいい意味で困惑した。
4人のお子さんのお母さんとは思えないほどの清らかさ。
吉岡秀隆さんも、年齢を重ねてさらに深みを増していて素敵だった。
若い時代の主演お二人も瑞々しく、とてもよかった。
本屋の又吉直樹さんには思わず笑った😎
挿入歌の山崎まさよしさん「One more time, One more chance」。
あまりに名曲すぎて“それだけで押されると嫌だな”と思っていたけれど、
ちょうどよいタイミングと適切な分量で流れていて心地よかった。
そして、エンドロールが米津玄師なのがグッときた。
平たく言えば、
思い出を糧に現実を生きる女性と、
思い出を抱きしめて現実を彷徨う男性の物語。
この現実感の差があるからこそ、恋愛が生まれるのかもしれない。
監督のセンスが存分に発揮され「映像美✖️俳優陣」の化学反応が大きく光る恋愛映画。
本作は、1991年から端を発した“過去”と、2008年の現在を行き来する恋愛映画です。
特筆すべきは、こだわり抜いた映像表現でしょう。
どのシーンも、写真家としても活躍する奥山由之監督のセンスの良さが全面に出ています。そして、最新のデジタルで撮影しつつも、その映像データを16ミリのフィルムに焼き付けることで、全体的に温かみのあるような「質感」も上手く表現しています。
役者陣も全員が上手く演じ切っていて、「映像美✖️俳優陣」の化学反応が大きく光る恋愛映画になっていました。
中でも子役の演技は驚くほど自然でしたが、撮影前にそのキャスト本人が持つ話し方などのクセを知ってから、それらを脚本に入れ込むといったような作り込みによる成果なのでしょう。
米津玄師の主題歌「1991」も主人公の心情を上手く表現していて合っていました。
様々な才能が集結して完成した、一度は見ておきたい作品です。
人生のスピードは過ぎ去ってみれば儚くて短いと、深い余韻が残る作品
似たような経験をしている、していないに関わらず、新海誠監督のアニメ作品「秒速5センチメートル(2007)」は、各カット、シーンは、誰しもが心の奥底にもっているような、いつかどこかで見たような景色や心象風景が積み重ねられています。
なぜか懐かしく、自然と涙が溢れてくるような新海監督の視点。それは劇中で描かれる時間と距離が、観る人によって、観る世代によって異なる“記憶”と結びつく作品だったからではないでしょうか。
そして、印象的なセリフや音、映像美とともに、山崎まさよしさんによる主題歌「One more time, One more chance」がさらに作品を特別なものにしました。日々の生活の中で、初めてなのにふとデジャヴ(既視感)に襲われたり、特別な人の姿を雑踏の中に探し求めてしまう人は少なくないのではないかと思います。今回の実写版の劇中でも言及される、山崎主演の映画「月とキャベツ」(1996)を観ていれば、人生における出会いと別れの寓話がさらに沁みてくるに違いありません。
もちろんアニメ作品の熱狂的なファンの中には違和感を覚える人もいるかもしれませんが、主人公のセンチメンタル、大切な想いや思い出が、まるで桜の花びらが落ちる“秒速5センチメートル”の間の一瞬の物語であったのではないかとも思えるほど、人生のスピードは過ぎ去ってみれば儚くて短いと、深い余韻が残る作品に仕上がっています。
苦手だったのに
原作アニメ映画の時、絵は綺麗だなっておもったんですが、貴樹が苦手でした。
原作では、明里は彼の中で「永遠に美しい初恋の象徴」として、実在感よりも記憶の中の幻に近い存在として描かれているように見えました。
今作の場合、明里が今も“生活している”という現実を見せることで、彼女が「もう別の人生を生きている人間」と明確になりました。
そして、明里の中にも貴樹との思い出があることが描かれる。
だからこそ、貴樹の未練が“痛々しい執着”から“確かな愛の記憶”に変わってみえました。
私が大人になって優しくなれたのかも?
とは思いますが、
秒速5センチメートルという作品が改めて素晴らしいものたと思えました。
めちゃくちゃ良かった!
幼少期の2人が良かった!可愛かった!森七菜ちゃんも噂どおり本当に可愛くて切なくて泣いた〜
そして松村北斗!やっぱり良い!好き!泣かされた!居酒屋のシーンと、館長に雑談をするシーンもう一回観たいな。次はレイトショーで観たい!
二人の交わらない線に残る「余韻」。
原作のアニメは、三部構成でそれぞれ独立した作品の印象があった。本作はアニメの内容を尊重しながら、現在のおとなになった貴樹と明里を重点的に描くことで、半ば忘れていたこども時代の二人の交流の記憶を鮮やかに蘇らせているのが良い。1本の映画としてとてもまとまっており、貴樹と明里の心情も丁寧に描かれていて、二人にとってあの時代が今どんな意味を持っているのかみたいなことがよく伝わる。あの時代に置いて来てしまった大事な思いを再発見するのがテーマになっていると感じた。
小中学校時代の貴樹と明里の交際には切実さがある。二人とも孤独感を抱えていたため、相手を素直に受け入れ、お互いになくてはならない存在になっていった。貴樹は、明里がいたから自分らしくいられると思い、明里も貴樹と「好きなもの」を共有し生き生きと過ごすことができた。貴樹が転校した明里に会いに行くシーンは、なかなか動かない列車に切実さが極まっていく。再会した桜の木の前で、その美しさに感動して二人の気持ちも極まる。相手への「好き」という気持ちと、将来への期待と不安をも共有する。二人はその場で小惑星の接近に因んだある「約束」をするが、どうしようもない別れはあまりに切ない。
高校時代はアニメを踏襲しているが、あまり重要なパートにはなっていないようだ。貴樹の心情が分かりにくい。彼に好意を寄せる花苗に優しくするが、心を開かない不誠実な人物に誤解される。花苗の姉の美鳥先生が後に貴樹と再会して重要な役割を果たすので、その人物紹介という意味があるように思った。
おとなになった貴樹と明里が、近い距離にいながら会えそうで会えない場面はとても良くできている。美鳥先生と小川館長が間に入ってとても面白い展開になっていた。あの時の「約束」を意識しながら、明里は行かない、貴樹は行くという選択をした。その異なった決断について、二人の境遇や心情の違いが伝わり、アニメにはない良い結末であった。迷える貴樹は自分の進むべき道を見出し、しっかり者の明里はずっと貴樹にエールを送りながら別の道に踏み出す。こども時代からおとなの現在までが一つにつながったドラマが完成していて、とても満足感があり余韻の残る作品でした。
夜桜の散り際の如き美しさ
オリジナルとは違うドラマに
オリジナルが既に世界観が完結している作品で、実写化は非常に困難に思えた。映像的な再現性はパーフェクトに近く特に物語の中盤の鹿児島編ロケットのシーンや黄昏時の幻想的な空と雲の風景や心閉ざした貴樹に片想いしてしまう花苗のよりどころの無い感情が見事に表現されていたが、第一部の雪模様の天候の中を中学生の貴樹が明里に東京から栃木まで訪ねていく場面は、雪で遅延を繰り返し約束の時間がどんどんと過ぎて行きたどり着くどうかも分からない列車にたたずむ少年の心細い憔悴感、それはひいては少年から大人になるこの時期特有の不安定な気持ちを表現した重要なエピソードなのだが、こちらは残念ながらオリジナルには叶わない。
オリジナルは貴樹の心象風景の映画だと思う。実写化が時系列の3部構成をシャッフルして描くのはいいとしても、最後にお互いの存在を気付かせてしまう展開はルール違反だ。本来は貴樹の心の中の物語だったのが、明里の意志が明確化することでファンタジーでなく、男女の恋愛観の違いを描いた作品になってしまった。明里が貴樹との恋を「思い出でなく、今も続いている」と言ったのに、再会を拒む気持ちがよくわからない。実写版では貴樹の周辺には、彼を暖かく見守る人たちがいるのに彼の心は頑なだ。宇宙博物館の館長から明里が約束の桜の樹の下には行かないと言ったと聞いた貴樹が「何気ない会話だけでも良いから会いたかった」とさめざめと泣くのもちょっと引いたがよりを戻す気もない元カノに傘を返しに行くのも自分の気持ちを整理つけるための行動のようで情けない。終盤のプラネタリウムのボイジャー1号2号のように、貴樹と明里は起点は同じでも二度と同じ軌跡を辿らずに交わることの無いのだ。だからこそ桜吹雪の舞う踏切でしか貴樹は明里の面影を感じる事が出来ない。その時に貴樹が見せる笑みは哀しみに満ちた切ない笑顔だ。もともとそういう話なのだと思う。
いつもどこかに、あの頃の気配を探している
アニメのストーリーをすっかり忘れていた。おかげで、思惑通りにドキドキしながら、そして二人の行く末を見届けた。あれでいいのだよ。男と女は出会いと別れを繰り返す。そしてすこしずつ人に優しくなっていくのだよ。
まるで貴樹の人生のロードムービーのよう。距離をとって人と関わらなかった人生。他人から見れば穏やかに見えて、実は他人に気を許すことなく過ごしてきた。なのに、東京や種子島や栃木やらいろんな場所で彩りのある時間を過ごしている。その時間は何かに(いやはっきりと明里に)縛られてきた人生でもあった。それは無駄だったのか、尊い宝物だったのか。貴樹に出会ったきた女性たちにとっても、その出会いは宝物か無駄か。まあ、たいていの人間はそんな例えようのない人生を過ごしてきているよ。だから、刺さるのだよ。それまで出会いががどっちだろうが、今現在の貴樹を、今現在の僕を、作り上げてきたもの。誰かが言っていた、「人生に無駄はない。それを無駄にする人がいるだけだ」と。
種子島のシーンが、美してせつなくて、森七菜さんが素晴らしかった。 ...
これは映画ではなく、確かにどこかにある現実
アニメ版は、「小~中学時代」「高校時代」「大人」の三章が順に流される構成であったが、実写版である今作は大人の貴樹と明里が日々の中で学生時代を思い出すような構成であった。フィルムレコーディングという撮り方をしていて、デジタルの映像データをフィルムに記録することで、淡い記憶を見ているような質感を作りだしていて良かった。アニメ版は60分で、割と抽象的な表現が多く、空白を残し、我々に考える余地を与えるものであったが、今作は120分であり、キャラの追加もあり、より会話や交流でその余白を埋めてつなぎ合わせるような映画であった。
結論から述べると、この実写化は大成功であるように感じた。予告を見た時に、アニメ版にはないシーンがあり、その出来が正直不安であったが、蓋を開けてみれば紛れもない「秒速5センチメートル」があった。特に大人編のボリュームが増えているのが良かった。アニメ版ではいまいち、貴樹が笑って前に進むラストを迎えるのかわかりずらいのだが、館長にただ明里と話したかったことを伝えたこと、明里があの約束を忘れて幸せで過ごしていてほしいと思っている事を知れたこと、ちゃんと元彼女に好きだった所を伝えた事、これらのシーンが追加されていて心情変化の流れが補完されていた。館長の登場と種田姉の役割の追加は大成功だと思う。
「初恋という呪いをどう受け止め乗り越えるか」というテーマを高品質な実写版で見せられたことで、より現実感というか、見ている感覚より見せられている感覚だった。手紙を渡さなかった明里、渡せなかった貴樹、踏切で振り返らない明里、振り返る貴樹、その対比が切なかった。ただ、恋は忘れる必要はなくて、受け止めて、良い思い出にしまう。前向きな結論を出す作品だと思います。役者陣、挿入歌、主題歌、どれもとても素晴らしかったです。
BUMPOfCHICKENの「話がしたいよ」が個人的にとてもこの作品に合っているなと感じました。渾身の一作です。是非劇場で。
大好きな新海誠作品実写版とても楽しみにしていました 人と人が巡り合...
こころの栄養になる滋味深い作品
以前、新海誠監督の『雲の向こう、約束の場所』を鑑賞した際は、情景や行間から伝わる世界観を充分に理解しきれずに終わってしまいました。
そのため、『言の葉の庭』より旧作は未鑑賞でしたが、新海監督作品の映像美はかねてより認識していたため、今回実写版でその映像がどのように表現されるのかを楽しみにしていました。
鑑賞後の感想としては映像、キャスト、そしてストーリーがよく、心に残る作品でした。
特に印象に残ったのはストーリー展開です。
観客として無意識のうちに予定調和な展開を想像していた自分に気づかされ、ハッとさせられました。
また、主人公である貴樹(松村北斗さん)の性格に対しても、明里との会話シーンでは「もっと気の利いた言葉をかけてほしい」と俗な感情を抱きましたが、それこそが物語に対する自身の願望の押し付けであったのだと、作中で反省させられました。
価値観の違うものに触れることで自分の価値観を知るんだなときづきましたし、「世界は自身の認知を超えて遥かに広い」ということを再認識させてくれる作品でした。面白かったです。
アニメ版の「喪失感」は殆ど感じません
尺を2倍にして実写化するのは難しいですね。
アニメ版知らずに恋愛映画として観たら良いのかも知れません。
人物描写を掘り下げたというより説明しすぎかな。水野さんは貴樹のアレさを説明するためにだいぶ尺とって登場しましたが、貴樹のアレさは本作でも種子島のコスモナウト編で十分描写されたと思います。水野さんを活かすならラスト直前の「じゃあね」をラストシーンにしても良かったと思います。
1番、アニメ版と比べてキツイのは大人の明里がずっと出てくるので「喪失感」がほとんど無い事です。アニメ版では大人の明里は殆ど登場せず、ラストシーンの踏切も「さっきのは明里?」くらいで終わるので中学生時代の冬の岩船シーン以降の彼女の不在感が喪失感につながっているからこそ秒速5センチメートルは良かったのにと残念です。
それと実写版だと明里の貴樹への思いの温度差がアニメ版より無いことも、アニメ版から来ました勢としては残念です。アニメ版の大人の明里は殆ど描写されないにも関わらず、唯一の描写は彼女のなかでは中学生時代の冬の岩船は完全に過去であって、終わった事だと言うことです。貴樹は一貫して明里を探していたという事との温度差が良かったのですが、実写恋愛映画で売るには女性からの支持も必要ですからね。
総じて恋愛映画としては良いんでしょうが、アニメ版が好きだった人は観ないほうが良いかなと思います。
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