SPIRIT WORLD スピリットワールドのレビュー・感想・評価
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大人の緩いファンタジー
なぜ、この作品にカトリーヌドヌーブが?とも思うけど、なかなか面白いファンタジーでした。
竹之内豊のこういう役、見たかった。満足です。
でも、生気が抜けると言葉の壁は無くなるんですね。
でんでんがでんでんのままで、ちょっと笑えました。
斎藤工は最初似てるなーと思ってたけど、あまりに若く見えたので後で驚いたのでした。
過剰な足し算をすることによる逆効果
今週初日の鑑賞候補は『グランドツアー』にするつもりでしたが、いざシャンテの上映スケジュールを確認してみると、メーンであるSCREEN1は“先行上映”の『SPIRIT WORLD -スピリットワールド-』に譲られてSCREEN2へ追いやられている。と言ことで、同作について改めて作品情報を確認してみると、監督(エリック・クー)は私の知らない方。そこで今度はIMDbでの評価を確認してみると、レビュー総数は少ないとは言え点数は高くない。。とは言え、番組は劇場の作品に対する力の入れ方が反映されているものでもありますし、何なら『グランドツアー』だって正直言うと“半信半疑”だったこともあり、今回は劇場の判断を信じることにしました。(ちなみに、午前中の回はガラガラでしたけどね。。。)
と前置きが長くなっていますが、本作、そのギミックについて触れるとそれだけでネタバレになり兼ねない設定。私は今回もあらすじは読まずに観始めましたが、まぁタイトルから何となく“そっち系”であることは予想が出来ていたため、個人的には(その設定に)案外スムーズに入り込めました。で、この物語が何を言わんとしているかについては普遍的なテーマだと思いますし、私も自分自身の人生経験から(共感とは違いますが)ある程度の理解は出来ます。ただ、言い方を変えれば新鮮さはあまり感じませんし、ストーリーも諸々の状況が整うまでの前半は結構退屈。そして、(この作品に限らずよくあることですが、)劇中における創作物(音楽、アニメーション)のレベルが低く感じるため背景的な説得力も弱い。更に、堺正章さん(ユウゾウ)の独特な調子の台詞回しに対し、ドヌーブ(クレア)との会話シーンは「さぞ編集が大変だったろうな」と余計なことに気がいってソワソワ。他にも、細野晴臣さんのカメオ出演や、がっつりカットしても物語に何の影響もないシーンに斎藤工さんを起用するなど、贅沢(?)なキャスティングなどもファンにとっては見所かもしれませんが、私としては出演陣が豪華なだけ期待に反して物足りないとさえ感じます。
とまぁ、ケチばっかりになってしまっていますが、作品として出来が悪いと言うわけでもないし、何と言っても竹野内豊さん(ハヤト)の浮腫みっぷりは素晴らしく仕上がっていてそこだけは解像度バカ高い。何なら、テーマがテーマだけに想うところはもっと観客に委ね、キャストもストーリーも思いっきり引き算して“短編映画”にした方がよっぽど見応えを感じるんじゃないかな。ま、それじゃ興行的に難しいのでしょうけどね。。
目に見えない力で魂が救われてゆく、心温まる物語!
この作品は、今を生きている人(竹野内豊さん演じるハヤト)と、思いを残しながらも人生を終えた人(堺正章さん演じるユウゾウ、カトリーヌドヌーブさん演じるクレア)とが目に見えない不思議な形で交わってゆくなか、お互いの魂が苦しみや後悔から解放され、救われてゆく過程を描いた心温まる物語です。
ストーリーですが、
ハヤト(竹野内豊さん)は母親と生き別れ、心の中に埋めがたい孤独感を抱えながら生きてきた。それを吐き出すかのように打ち込んできたアニメーション映画の創作活動にもこのところ行き詰まっている。「ただ生活のために仕事をこなす毎日」に葛藤を抱え、アルコール漬けになっている。
ユウゾウ(堺正章さん)は、ハヤトの父。ハヤトが子供の時に離婚し、妻(風吹ジュンさん演じる)のその後をずっと案じてきた。また、息子のハヤトの今後も気にかけているが、その思いを残したまま、ある日亡くなってしまう。彼は生前、フランスのシャンソン歌手、クレアの大ファンだった。
クレア(カトリーヌ•ドヌーブさん)は歌手として成功を納めるも、娘のエルサが亡くなり、そのことがどうしても頭を離れない。たまたま久しぶりに公演に来た日本で亡くなってしまう。
この世に思いを残してしまい、あの世に旅立てないユウゾウとクレアが、彷徨う魂として出会い、自分たちをこの世に縛って離してくれない「問題」を解決しようと動き始めます。また、今を生きているハヤトも、2人からの目に見えない後押しによって、苦しみの原因を見つめ、これまでの自分を乗り越えようとし始めます。
この3人の魂がどのようなプロセスを経て解放されて行くのかは、劇場でご確認いただければということで笑
俳優の皆さんについては、堺正章さんとカトリーヌドヌーブさんが語り合いながらお互いを理解してゆく演技が、すごく自然体で良かったです。カトリーヌ•ドヌーブさんは世界的女優さんの圧倒的存在感があり、作品中の役柄どおりまさに魂の救済者という感じで、光輝く存在でした(ポスターのドヌーブさんのまばゆい輝きは、作品中のイメージにピッタリです)
風吹ジュンさん演じる元妻や家族の皆さんは、優しく、温かく、人を包み込んでくれる陽だまりのようでした。竹野内豊さんは、身も心もギリギリの状態から心が救われてゆく様子を演じていて、観ている観客も冷たくなった心かゆっくりと溶かされていくような感覚になりました。
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2025.10.10追記
昨年秋に映画祭で鑑賞し、今回舞台挨拶付きの先行上映会話にて2度目の鑑賞をして、初めて観た時の心温まる印象が、さらに輝きを増して蘇えった感じでした。本作が日本で公開されて本当に良かったです!
パンフレットを買ったのですが。内容がとても充実していて、黒柳徹子さんのコメントも興味深かったし、エリック•クー監督のインタビューは特に素晴らしかったです。この作品は、監督がはじめに作品の着想を得たところから、カトリーヌ•ドヌーブさんと会って「人間は死んで終わりじゃないと思う」と意気投合したところを経て制作されたそうなのですが、とてもドラマチックで、奇跡的な感じがしました。こういう制作経緯の背後でも、守護天使や色んな人のご先祖が大活躍しているのかも、、、笑(監督へのインタビューの最後にあった、観客へのメッセージにもしびれました。今を大事に生きようと感じました)。
そういえば、作品中にモチーフとして出てくるお酒ですが、監督はお酒に特に否定的なわけではなくて、お酒を交えた音楽等の創作活動に親しみを感じているようですね。作品中でユウゾウとクレアもそんな会話をしています。主役の3人がお酒好き過ぎたので、少々心配してしまいました笑(でも、ハヤトだけは断酒した方がいいレベルかな)
ちなみに舞台挨拶は堺正章さんの名トークで爆笑の連続でした。竹野内豊さんからは監督の撮影の仕方やその楽しい様子が聞けて良かったです。初めて登壇者の方々と目が合うほど前の方の席で見られて、忘れられない日となりました。これも目に見えない誰かの魂のおかげかな!?
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