劇場公開日 2025年1月10日

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「性に悦び目覚めたエマニエル夫人から欲求不満解消のエマニュエルへ…」エマニュエル 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

2.5 性に悦び目覚めたエマニエル夫人から欲求不満解消のエマニュエルへ…

2025年5月31日
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鑑賞方法:DVD/BD

単純

知的

ドキドキ

1974年、世の男性たちを虜にし、開放的な性や愛の姿に特に女性たちを魅了。
それまでの男性が見る官能映画と違い、女性も見れる官能映画=“ソフトポルノ”として、社会現象&大ヒット。
主演シルヴィア・クリステルはスターダムに。シリーズ化や類似作品は数知れず。
映画史に残るセンセーショナルなヒロイン、エマニエル夫人が帰ってきた…!

リメイクではなく、現代リブート。オリジナル一作目を見たのはもう随分前だが、何もかも全く違うのは見て明らか。
舞台がバンコクから香港に。異国感と叙情溢れた作風からスタイリッシュな都会センスに。
外交官の妻ではなく、そもそも“夫人”じゃない。現代的なキャリアウーマン、エマニュエル!

オーナー企業から依頼を受け、ホテルの査察をするエマニュエル。
今回の滞在先は香港の高級ホテル。ホテル格付けのランキングが下がり、オーナー企業から支配人マーゴを懲戒解雇する粗探しを命じられていた。
エマニュエルは欲と感情交錯するホテルで、マーゴや様々な宿泊客と知り合う内に…。

新エマニュエルに、『燃ゆる女の肖像』のノエミ・メルラン。繊細な感情演技は勿論、フルヌードや大胆なラブシーンを披露。それ以上にドレスアップ姿に魅了。
監督に『あのこと』のオドレイ・ディワン。シリアス題材から禁断の世界へ。
近年注目された女性監督&新進女優で、性と愛に踏み込む。
美しい映像、新しい解釈、現代視点。それらは悪くないのだが…、
でも決定的に、インパクトや魅せるものが薄れてしまった。

ゴージャスなホテルもいいが、バンコクの異国叙情感が性と愛を開放させる何かを駆り立てる。
そこでウブなヒロインが内なる性に目覚める。そこが、かつて世の女性たちを共感させた。
しかし新たなエマニュエルは、すでに成熟された女性のように見える。キャリアウーマンでもあり、ちょっと近寄り難い印象も受ける。
作風もだが、ヒロイン像の違いも大きい。
当初はレア・セドゥだったらしいが…。いや、何も言うまい。

オリジナルも客観的に見れば平凡な官能映画だが、アンニュイな雰囲気がまた魅力でもあった。
今回はちと何を描きたいのか分からない点も。ストーリー自体がオリジナルに比べあまり面白くない。
ナオミ・ワッツは元より、アジアの名優アンソニー・ウォンの無駄遣い。

性の目覚め、悦びが我が身を快感で包んだ。
だけど今回は…。ただの欲求不満解消映画だった…?

近大
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