「雰囲気だけか・・・」エマニュエル 泣き虫オヤジさんの映画レビュー(感想・評価)
雰囲気だけか・・・
“エマニエル夫人”が公開されたときは、十分ものごころついていたので、センセーションを巻き起こしたことは知っている。ただ、まだひとりで気軽に映画館に行くような年齢でも無かったので観なかったし、その後ビデオ・配信も観ていない。 それでも、どんな類の作品であるかは理解していた。
年代的にも、時代的にもエロだけならいつでも気軽に観ることができる現代でのリメイクに興味を覚えたのは、AVには無い芸術性や精神的なゾクゾク感を味わえるかなと思ったから。観賞後に開いた公式HPには“観る者にめくるめく興奮と陶酔、さらには幸福感までも与えるエロティシズム”という一文が有ったが、期待したのはまさにそれ。
【物語】
ホテルの運営・サービスを審査する仕事に携わるエマニュエル(ノエミ・メルラン)。あるとき、香港の高級ホテルの評価を依頼され、ホテルに滞在しながらミッションを進めていた。その際に出会った支配人・マーゴ(ナオミ・ワッツ)や、謎めいた宿泊客たちとの交流を通じ、彼女は自身の内なる欲望を解き放つ欲望に駆られる。
【感想】
残念。観賞前に期待した望みは満たされなかった。
主演のノエミ・メルランは魅惑的女優だった。キャスティング的には悪くないと思うのだが、ストーリー性があまりに弱いと感じた。何と言うか、ひたすら妖艶な雰囲気だけ作ったという感じ。
演出的にも、幕が開いて早々にエマニュエルの肢体を拝ませてくれちゃう。これってどうなんでしょう? やっぱりAVじゃないんだから、“めくるめく興奮”を実現するにはもっと焦らして、引っ張るべきじゃないの? 俺的にはいきなりの“ショータイ”ムに逆に「あれ?」となってしまった。
逆にエンディングは、「なんだこれでおしまいなの?」という欲求不満。
元作“エマニエル夫人”は一体どんな作品だったのだろうとWIKIを覗いてみた。
「平凡な外交官夫人が夫の企みで性に目覚め、自らを解放して行く」
このあらすじを読んだだけで、気持ちがザワザワする。圧倒的に元作の勝ちだろう。対比して言うと、本作では冒頭からエマニュエルは既に“性に目覚めている”状態で、ストーリーが進む中でただその内にため込んだ欲望を満足させようとしているだけに見え、全然気持ちがザワつくことは無かった。
AVが氾濫している現代において、俺には本作の価値が見つけられない。