「砂漠の美しさと心の温もり」ブラックドッグ Syochan17さんの映画レビュー(感想・評価)
砂漠の美しさと心の温もり
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この映画が好きだ。胸を掴まれた。『ブラックドッグ』は、ゴビ砂漠の寂寥と過疎化した町の廃墟を、青みを帯びた静謐な美しさの映像で捉える。寡黙な男と、狂犬病を疑われた野良犬の出会いは、乾いた世界に温かな希望を灯す。街に若い女性がほぼ登場しないのも、取り残された地方の現実を静かに映し出す。
特に心に残るのは、砂漠で車が横転し、寒さに凍えるランがシンを檻から出して運転席で寄り添うシーン。言葉はないのに、孤独な魂同士の絆が胸を打つ。虚無的ではなく、どこか人間的な温もりが漂い、ラストの「人生をもう一度やり直す人のために」という言葉に全てが集約される。グァン・フー監督の詩的な映像とエディ・ポンの抑制された演技が、観た後も心に残る傑作だ。
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