「行政法ワードが飛びまくる割に展開が無茶苦茶で激怒レベル」劇場版TOKYO MER 走る緊急救命室 南海ミッション yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)

1.5行政法ワードが飛びまくる割に展開が無茶苦茶で激怒レベル

2025年8月1日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

今年173本目(合計1,714本目/今月(2025年8月度)1本目)。

 ★ 2025/8/5 (一部のコメントに対応して記述を修正・補足)

 一見するとネタ枠でもないし極端な低評価にもならない気がするのですが、それは表面をみたときの話であって、法律系資格持ちが見ると、何を言いたいのかわからない展開が次々と出てくるのが、そこが厳しいかなといったところです。

 もちろん専ら、この映画の趣旨はへき地(離島)医療の在り方といった部分に論点があろうこと、それ自体は当然理解しますが、公法(憲法・行政法)の観点からはかなり奇妙な展開になるので、資格持ちは何を言ってるんだ??というような謎展開になるのがそこそこ厳しいところです。一方で、医学用語もバシバシ飛ばしてくるので、どういう視聴層を想定しているのかも怪しく(一応、行政書士の業務として病院・診療所の許認可業務があるので、そうした方は、例えば内科なら内科で最低限の知識はありますが、それを全ての行政書士の資格持ちに求めるのは無理があるし(最低限+αしか知らない)、一方で医師・看護師や看護師学校の方は医学ワードは理解できても、今度は法律ワードが理解できずに詰む)、どういう枠なのかが謎(「枠が謎」という意味においてネタ枠にもなってしまう…)という厳しいところです。

 また、多くの方がスルーするであろう部分もこっそりスルーされているので(というより、映画の趣旨的にここは説明すべきでは?この点後述)、ここも補足いれながらレビューいきましょう。

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 (減点2.0/上陸「許可」の概念を観念できない)

 行政法(学問上の意味)での「許可」というのは、一般人に禁止された行為について、ある条件を満たすことでその禁止を解除することを言います。飲食店の営業許可しかり、上記のように病院(診療所)の設置許可しかりです(このあたり、行政書士の業務のひとつ)。

 日本では基本的にどこに行こうが自由で、そこに「許可」という概念は観念できません。ただ、保安上の理由(原発関係、米軍基地等)から個別法で縛りをかけていたり、島全体が天然記念物指定されていて(例えば、北海道の松前小島等。島全体が天然記念物指定されている)、研究目的等で上陸許可が必要だったり(ここは許可の相手が文化庁になります)といった例は確かにありますが、例外的なケースです。

 今回はそれに当てはまらないので、「上陸許可が何とか」と言われても「許可って何の許可なのか」がわからず理解に詰まることになります((学問上の)行政法上の「許可」の話か、日本語的な意味の「許可」なのかが不明)。かつ、仮にその概念があるとしても、それは国土交通省(場合により法務省)であって厚労省ではないはずです(このあたりから無茶苦茶)。

 (減点1.0/災害対策基本法の理解不足/避難命令がらみ)

 「避難命令」は慣用的に使われますが、災害対策基本法の63条が定めるものにあたります。

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 第六十三条

災害が発生し、又はまさに発生しようとしている場合において、人の生命又は身体に対する危険を防止するため特に必要があると認めるときは、市町村長は、警戒区域を設定し、災害応急対策に従事する者以外の者に対して当該区域への立入りを制限し、若しくは禁止し、又は当該区域からの退去を命ずることができる。

 (二項以下省略。市長村長が機能しない限り現場の警察官や自衛官にも準用がある)

 第百十六条
 次の各号のいずれかに該当する者は、十万円以下の罰金又は拘留に処する。

 第六十三条第一項の規定による市町村長 (途中略) 退去命令に従わなかつた者
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 ただし、その場合でも発布権限は市町村長であり、厚生労働大臣ではありません。
どうなっているんでしょうか…。

 (減点0.3/緊急事務管理に関して説明が足りない、無権代理がらみ)
 ※ 事務管理単独では0.2、無権代理が絡むケースでは0.3固定幅

 緊急事務管理の管理者は、悪意または重大な過失(この「悪意」は日本語的な意味)がない限り、本人に対して責任を負いません(民法698条)。この説明がないため、途中からの説明をある程度自身で補う必要があるところが厳しいです。また、管理者にはあらゆる代理権が与えられているのではないので、本人の追認がない限り、ただの無権代理(条件を満たせば表見代理もありうる)にしかなりません(最高裁判例)。

 (減点0.2/「消防」についての説明不足)

 こっそり「スルーされている」と書いたのは実はここです。

 ほとんど意識されませんが、日本には2つの消防が存在します。「総務省消防庁」と「東京消防庁」です。

 前者がその名前の通り国(総務省)の行政機関であるのに対し、東京23区および周辺地区で活動する「東京消防庁」は東京都の行政機関です。

 日本の慣例上、国の組織ではない後者に「庁」がついてしまって現在にいたるのは敗戦後のGHQの改革が不完全だった(消防に権限を与えるのは良くない等と言われて改革されたが、その後朝鮮戦争が始まって適当にされたため、そのままになってしまったといわれる。ただ、当時のこれらの改革はしばしば内密に行われたので、完全な資料は残っていない)。

 ただ、日本ではこのことを意識して119に電話をすることはおよそあり得ず、また「2つの消防」があるとはいえ、上記のような特殊な事情で登場した2つの消防組織という事情もありますので、お互いにそれぞれをウェブサイトでリンクをはるなどして、国民が無用な混乱を招かないように工夫されています(特に2024~2025ではインバウンド需要があり、外国人観光客はこのようなことはおよそわからないので、最初からその違いなど考慮させず、「火事や救急のときはここに電話」とノウハウ本等では教えることが普通)。
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 (8/5追記:採点が極端に厳しいのは何故か)

 法律用語を適当にしか出さず、かつ、意味が無茶苦茶なもの(特に、「通達」「避難命令」など、いかにも「お好き」なようで適当に登場するが、正しい意味を理解していないもの)は、極端に評価が落ちます(資格持ちは何を言っているのかわからないため)。もちろん、すべての作品に適用はせず、インディーズ映画等、ある程度は配慮が必要であろう作品等(大阪市なら、シアターセブンさんなどで放映される映画等)はある程度採点上に考慮しますが、一般的に大手の映画館でかかるような作品は、評価基準はそれなりになります。

 ※ このことは、法律ワードが飛び出す映画について、100%正しい理解を求めるような作成の要求など意味しておらず(そのような映画は見られる人が限られてしまう)、特になぜか「お好み」のように登場する「避難命令」だの「通達」だの(通達は上級行政庁が下級行政庁に発出するものであり、国民に発出されたものでも、国民の権利義務に関係するものでもない(←墓地埋葬事件))が出た瞬間、「ガチ採点モード」に切り替わるので、こういった採点になることになります。

yukispica
西尾一朗さんのコメント
2025年8月5日

すみません。
> 固定電話でもスマホでも119にかけると、「東京都23区以外では」総務省管轄の消防につながります。ここで、火事か救急かを問われます。
>  一方で、東京23区と隣接区程度では(スマホの位置情報では厳密に特定できないため)、ここにかけると、「東京消防庁」という、総務省とは関係が「ない」施設に実は繋がります。

と書かれましたが、これは間違いです。日本全国、どこでも市町村またはその連合が消防を組織しています。東京特別区は連合して同様の組織を持ちます。(消防組織法を見よ。)そして、いずれも総務省や、その外局である消防庁の手下ではありません。自治体の消防組織と消防庁との関係は対等ですが、例えば防火設備の点検頻度は消防庁長官が定めた規則に東京特別区も含めて日本全国が縛られるように、そういう関係性はあります。(消防法が消防庁長官に権限を付与しているから。)
いろいろ思うところはおありのようですが、せっかく法律系専門家として語られるのでしたら、正確な記述をして下さい。

西尾一朗
ゴウシュさんのコメント
2025年8月5日

物語です
フィクションです
リアルを求めるならばドキュメントをどうぞ

ゴウシュ
わいさんのコメント
2025年8月4日

感想は人それぞれでいいとは思うけど、こんなふうに映画見るくらいならドキュメンタリー映像見たほうがいいのでは。大きなお世話ですが

わい
ツッコミ属性さんのコメント
2025年8月4日

いや、専門用語をそれっぽく連打する癖に検証が雑過ぎるって事でしょ。
「おかしくね?」と思わせる設定や流れは、製作側の怠慢。
まぁ日本の脚本家の大多数に、矜持なんて期待できないけどね。

ツッコミ属性
ケント光さんのコメント
2025年8月2日

ずいぶん理屈っぽいレビューだこと。
そんな感覚で映画を観てて楽しめる?

ケント光
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