ガザ=ストロフ パレスチナの吟(うた)

劇場公開日:

ガザ=ストロフ パレスチナの吟(うた)

解説

2009年、イスラエルの侵攻直後のパレスチナ・ガザ地区に足を踏み入れ、そこに生きる人々の姿を映し出したドキュメンタリー。

2008年12月末から2009年1月にかけて、イスラエルによるガザの大規模侵攻が起こる。監督のサミール・アブダラとケリディン・マブルークは、停戦の翌日にガザに入り、そこで両親や兄弟を失った子ども、目の前で家族を銃撃された男性、土地を奪われて逃げてきた人々などの証言を記録。西洋の視点から単なる死亡者数という数字に還元されてしまう現地の人々を、顔のある個の人間として描いていく。また、パレスチナを代表する詩人マフムード・ダルウィーシュの詩が引用され、ガザの人々が生きてきた歴史と記憶を呼び起こしていく。

ガザの地で生きる人々の姿を丁寧に描き出し、同時にパレスチナ問題の背景にある西洋諸国のダブルスタンダードや構造的暴力を浮かび上がらせていく。タイトルの「ガザ=ストロフ(Gaza-strophe)」は、「ガザ(Gaza)」と「カタストロフ(Catastrophe)」をかけあわせたもので、1948年のイスラエル建国から続くパレスチナおよびガザの惨事(カタストロフ)を意味する。映画の製作から10年以上を経た2023年にもイスラエルによるガザ地区への軍事侵攻があり、変わらない状況が続く2024年10月、特集上映「パレスチナ映画特集」の上映作品として劇場公開。

2011年製作/92分/フランス・パレスチナ合作
原題または英題:Gaza-strophe, Palestine
配給:Shkran
劇場公開日:2024年10月11日

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映画レビュー

3.5全国上映して欲しい。

2024年11月7日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

2009年のドキュメンタリーだが、ガザの現状はこのときよりましになっているどころか悪化の一途をたどっている。 良い映画という表現は不適切かもしれないが、今一人でも多くの人が見るべき映画だった。現在いくつかのミニシアターでパレスチナ映画のが組まれているが、普段からこういった映画へのアンテナを張ってる人にしか届いていないのでは勿体無いので、もっと広報に力を入れて欲しいところ。 映画冒頭、「あと2回勝利すればガザからパレスチナ人を追い出すことが出来る」とユダヤ人のやり口をユーモアを交えて語る男性は、近年病院が爆撃されたことで必要な治療を受けられず亡くなったとのこと。 イスラエルはパレスチナを殲滅しようとしているのは誇張でも何でも無い。 ガザの人々の、「なんとしてもこの土地にとどまる、家を壊されたらまた建てる、木を倒されたらまた植える」と繰り返す言葉の強さ。 幸いにも配給担当者のトーク付上映日に観賞することができた。 翻訳担当社の二口氏に、個人的に権力や財力があるわけでもない個人がこういう映画と見るたびに無力感に襲われるのだが、たとえ小さな個々人の意見や行動でも積み重なって国家を動かすことがあるように、1人1人出来ることを考えることが大切だという言葉に胸を打たれた。 なんとか全国上映迄こぎ着けて欲しい。

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Jax