名もなき者 A COMPLETE UNKNOWNのレビュー・感想・評価
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シャラメの演技を見るだけでも価値があります。
出だしからラストまで見ごたえあるシーンの連続で全く上映時間の長さが気になりませんでした。
ボブ・ディランを演じたティモシー・シャラメの歌唱力と楽器演奏も素晴らしく、ベテラン歌手役のエドワード・ノートン、モニカ・バルバロも皆吹き替え無しで演じているそうでアカデミー賞にノミネートも頷けます。
若い時から才能溢れたボブ・ディランを丁寧に描いたヒューマンドラマになっています。
天才ミュージシャンの苦悩や女癖の悪さもそれなりに描いているのもリアルでした。
ティモシー・シャラメは「君の名前で僕を呼んで」から注目していましたが今や存在感のある大物役者になりました。
おススメ度は高いです。60年代洋楽が好きな方には特におすすめします。
進むべき道
音楽への逃避行
華も名もあるボブ・ディラン(ティモシー・シャラメ)の半生記でした。当たり前の話ですが、ほぼ全編に渡って音楽で埋め尽くされていて、そこを聞くだけで非常に素晴らしい作品でした。ただ、劇中の観客がボブ・ディランに唄って欲しいと思う曲は、映画を観ている観客も聞きたいと思う曲と重なっている感じがして、にも関わらず客に迎合したくない彼はそうではない曲を唄うという流れになっていたため、劇中の観客も映画を観ている観客(少なくとも私)とも、カタルシスを得られないお話でもありました。そのため、ややストレスを感じなくもない結果になったというのが正直なところでした。まあボブ・ディランの心持ちは充分に理解できるのですが。
また、人間関係においても、恋人のシルヴィ(エル・ファニング)や、ミュージシャンとしてのライバルにして同士でもあるジョーン・バエズ(モニカ・バルバロ)の気持ちを一切無視して、自分の感情の赴くままに行動する姿には、ちょっと痛々しさすら感じました。ただ音楽に接している時だけは生き生きとした表情で、まるで音楽に逃避行しているようで、いわゆる”孤高の芸術家”というタイプとも違う描き方をされていると感じたところでした。
いずれにしても、「マッドマックス」に出て来る車の先頭に乗って”行進曲”を演奏するバンドの存在を見るまでもなく、音楽というのは人を”前進”させる力があるようですが、本作においては”逃避行”とセットになっていることから、音楽の素晴らしさに反比例して感情が高ぶらないお話ではありました。
ただ第97回米国アカデミー賞で、主演男優賞にノミネートされ、また作品賞などにノミネートされた「デューン 砂の惑星 PART2」でも主演したティモシー・シャラメの熱演と熱唱は感動もので、お話の内容は個人的に好みではなかったものの、間違いなく一見の価値はありました。
そんな訳で、本作の評価は★4.4とします。
これぞ音楽映画!
ティモシー・シャラメの演技が圧巻!年間ベスト級の洋画作品出現。
文句なし❗️
ティモシー・シャラメの演技が素晴らしかった。
彼の作品は3作品目だが、一番の最高作品では。
ボブ・ディランを本物かと思わせる程似ていたし、歌唱力も抜群。相当力を入れていたはず。名前を聞いた程度だが、だぶって見えた。
ストーリーも観ごたえがあったし、ライブシーンも抜群。
2025年年間ベスト洋画級作品候補に挙げたい。
主人公の性格があまり好きじゃない
最初の数分で何故か持ってかれた
ボブがニューヨークに着いて街中を歩いてるだけの冒頭シーンから何故か目が離せなかった。正直ボブディランのファンとかではないです。でも「一流のアーティストは皆変人」はその通りだと思う。
やはり、アメリカの音楽は、自己のマインドの獲得と自由への渇望、そして抑圧された自己の解放という部分がコアにあるんだと思った。元々良い音楽なら何でも良いというスタンスはありつつも、フォーク大好きだったボブがそのフォークというものに縛られ、逃げ出したくなるのは、よくわかる。常に新曲が最高作だと思うアーティストと常に過去の定番を求める観衆。ここに音楽における摩擦が生まれ、それに葛藤するというのがアメリカの音楽の歴史なのかも。
「メシを食えるミュージシャン」を目指し、売れてからはその地位から逃れたいボブ。わかる!わかるぞー!
シルヴィとバエズとの恋の行方は正直余計ではあった。史実に基づいているから仕方ないけどね。でも淡い愛憎劇でコンパクトにしたので良かった。
★5プラスパンフも購入。今年はこれと思ったのだけパンフは買います!
2025年度劇場鑑賞11作品目
知らない人
過去あったヒーロー伝記映画のような過度な脚色をせず、生身のディラン...
過去あったヒーロー伝記映画のような過度な脚色をせず、生身のディラン初期の時代、フォークからエレクトリックへ進化する様を、あくまでも曲を中心に淡々と描いているが好感度高い。圧巻は5年の歳月を準備にあてたというシャラメが40曲におよぶ楽曲を自ら演奏し歌唱している点。通常、演技は本職なのでともかく、歌唱などはプロ歌手の吹替に依存するものだが、これは立派。しかもディラン節はただでさえ難易度大。チョコレート工場や砂の惑星とはまったく異なるシリアスな役柄でオスカーノミネートも頷ける。脇を固める役者もセリフ数少なく、表情豊かな素晴らしい演技で映画を締めた。改めてディランの名作「追憶のハイウエイ61」までを聞いてみたくなった。
ティモシー·シャラメがすごい
複雑系の彼の物語
1961年から1965年頃までのボブ・ディランの姿を追った伝記映画ということになるのだろう。
ティモシー・シャラメ中心に俳優陣が素晴らしいパフォーマンスをみせ音楽映画としてももちろん一級品。ただボブ・ディランという人の複雑さというか人間的な謎の部分にはやはり切り込めなかった。
ボブ・ディランという人は毀誉褒貶が激しい。ほとんど宗教の教祖であるかのごとく崇める人もいれば、例えばジョニ・ミッチェルのように「まがいもの」だと嫌う人もいる。思うに、彼の精神のコア部分は何重にも守られていて何人も立ち入ることができない。この映画にもでてくるが有名(何人もの人の証言がある)な「若い頃サーカスにいた」というウソも、おそらくは何かを守るために無意識に張り巡らせた鎧の一つなのだろう。じゃあコア部分に何があるかなんだけと、私は個人的には、そこには何もなく「風が吹いているだけ」だと思っている。そして、多分、ジェームズ・マンゴールド監督も同様な仮説でもってこの映画をつくったのだと思う。「複雑系の彼」の物語として。
作品の軸になっているのはまずは時代である。1962年のキューバ危機、63年のワシントン大行進、そしてケネディ暗殺。音楽界でもプレスリーやジョニー・キャッシュの時代からベビーブーマー世代のボブ・ディランらに主流がかわるタイミング。
そして、もう一つの軸は、ボブと恋人シルヴィアとの関係である。ちなみにシルヴィアは架空の人物でありモデルになったのはスーズ・ロトロ。ほら「フリーホイーリン・ボブ・ディラン」のジャケット写真でボブにしがみついている女性です。スーズは音楽関係者ではなく、すでに亡くなってもいるので許諾がとれなかったんでしょうね。
この二つの軸から映画は「複雑系の彼」の姿を描き、そしてニューポート・フォーク・フェスでカタストロフを迎える。ここは映画としての虚構であって実際に彼がエレキギターを持ち出し観客とのやりとりがあったのはイギリスのステージだったし、スーズ・ロトロとはもう少し早い時期に別れていたようです。
だからこの映画は史実そのものではない。そして、タイトルの「A complete unknown」は多くの人が誤解しているように有名になるまでまだ誰にも知られていない彼ということではなく(それでは立身出世の映画になってしまう)、誰も本心を知ることができない孤高の人としての彼を意味しているのでしょうね。
でもなお、ボブ・ディランという人はよくわからない。生まれながらの詩人にして、どうしようもない俗物である、と私は思っているんだけど映画はやっはりそこまでは踏み込めないよね。
鑑賞動機:シャラメとノートン7割、ノミネート3割
ディランにそれほど興味があるわけではないので、ピンとこない部分も多かったが、シャラメもノートンもバルバロも全部自分で演ってるのかな? そこは私でもわかるすごさだった。
あとIMAX鑑賞で劇場中央付近の座席をチョイスしたので、ライブシーンの音響は流石に迫力があった。
ハツネエリコさんてあの初音映莉子さんなんだ、ほえー。
曲を知ってれば
さらなる乱調が欲しかった
まず 楽しめた映画であったことと私がディランの曲が好きであることが前提です。
その上で 最後終わり方があまりに爽やかで…
私の思い込みですが、ホントのディランってもっと鬱屈した、したたかで、狡猾な人だったんじゃと思ってます。
その上でディランの歌、曲が好きなんだけれども…
そんな奴が自分がやりたいことを否定され。
求める人には去られ、加えて変化してる世情。若いディランの鬱屈や暴走の終わり方―バイク事故のほうがしっくり来たのかと。
こう書いてて それも紋切りかと自己否定。
ディランの屈折した性格は、制作側も分かったていたんではないかと、あの上目遣いは少しいじわる?
(コロッケさんのちあきなおみ真似を思い出し吹いてしまいました)
映画的には成立しませんが、個人的には[地下室]録音風景やジョンも見たかったかなと…
普通の鑑賞記では無く、屈折した書き方になってしまいました。これもディランのなせる業かと
ボブ・ディランの自由への苦悩と爆発
個人的には、ボブ・ディランと言えば、ローリングストーンや、ノーベル文学賞を取った人というくらいイメージしかなかった。こういう伝記モノの映画が好きなので、久しぶりに映画館で鑑賞したが、心を動かされる、素晴らしい作品だった。
フォークソングを通じて、平和への希求、パートナーへの愛情を表現し続けてきたが、世の中が変わらないことへの無力感。短絡的に熱狂を続ける大衆への失望。そこでロックをと出会い、激しく自己と自由を爆発させるクライマックスに胸がジワッと来た。
ボブ・ディランの曲を知らなくても楽しめるし、鑑賞後は色んな曲を聴いてみたいと思った。恋愛部分は多少削って、後世も描かれていたらもっと面白かっただろうな〜
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