「「ベタ」な演出を徹底することの凄さよ」名もなき者 A COMPLETE UNKNOWN cinema2014さんの映画レビュー(感想・評価)
「ベタ」な演出を徹底することの凄さよ
「傑作だ」とひとり呟く以外、鑑賞後のこちらの処理が追いつかないのだが、記憶が鮮明なうちにメモしておく。
5年間も練習したというティモシー・シャラメの演奏にはとにかく震えたが、モニカ・バルバロが初めて画面に登場して歌うシーンも感動的だ。柔らかでさりげなく、しかし計算し尽くされているであろう完璧な照明の美しさ。
ボブ・ディランの恋愛事情はショットの連鎖と大胆な省略で説明され、退屈なベッドシーンなどはしっかりと排除されている。
ギター、ハーモニカ、タバコが手から手へと受け渡される。グルーピーとの関係性とは明確に異なる手と手のリアルな繋がり。この「手から手への受け渡し」はもっときちんと言語化したい。
サングラスの着脱、ステージ横に限らず誰かが音楽を演奏するときの人物配置(誰が立つのか、どこに立つのか)、フェンス越しの会話(素晴らしい!)、「ベタ」で「凡庸」な演出の素晴らしさ。何度も何度も涙を流してしまった。
「あなたと同じ逆張り屋さん」という台詞がいたく気に入ってしまった。
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