「青春の孤独と疾走する葛藤」名もなき者 A COMPLETE UNKNOWN マコトさんの映画レビュー(感想・評価)
青春の孤独と疾走する葛藤
ボブディランの初期の自伝的映画。
60年代の世相とカルチャーを再現して、ティモシー・シャラメがボブディラン役を見事に演じている。
恋人との出会いと別れ、バイクでの疾走に青春の孤独と新しい希望のざわめきに感じたのは、アーティストの自伝映画だからか。
作品の終盤、ボブディランが観客が望むフォークソング(タンブリングマン、風に吹かれて)を唄わずに、ロック調のバンド編成のスタイルに観客が暴動を起こすシーンに、大ヒットの定番を聴きたい観客と、新しく進化したサウンドを聴かせたいアーティストの認識のずれが描かせて、アーティストのジレンマを上手く表現していた。
そして恋人が皿回しの皿になりたくないと、ボブディランから去るシーンに、メジャーに行ってしまう寂しさの心理なのかと感じたのは、考え過ぎか。
春は別れと出会いの季節。
いま観る事で何かを感じる傑作です
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