「また伝記映画かよ!と思うなかれ」名もなき者 A COMPLETE UNKNOWN ヘルスポーンさんの映画レビュー(感想・評価)
また伝記映画かよ!と思うなかれ
ギターも歌も自前で頑張ったティモシー・シャラメがアカデミー賞主演男優賞を獲れなかったら、口パクだった「ボヘミアン・ラプソディ」のラミ・マレックはなんだったんだという突っ込みが出てしまうし、反対に近年の主演男優賞が伝記映画ばかりになってしまうのもどうかという思いもあり、アカデミー賞の行方は要注目だ。
ラッセル・クロウ×クリスチャン・ベイル出演の西部劇「3時10分、決断のとき」、マット・デイモン×またまたクリスチャン・ベイル主演の「フォードVSフェラーリ」など渋くてアツい映画を手掛けてきたジェームズ・マンゴールド監督最新作!
前作「インディ・ジョーンズと運命のダイヤル」は興行的に不振で終わってしまったので、本作で名誉挽回!!
1961年ボブ・ディランが入院中のウディ・ガスリー(激似!)を見舞いに行くところから、数多くの逸話が存在する1965年のニューポート・フォーク・フェスティバルで過去と決別宣言をする「イッツ・オール・オーバー・ナウ、ベイビー・ブルー」を歌い上げるまでを描く。
ギターと歌を猛練習しただけあって、ティモシー・シャラメによる数々のディランの名曲は見応え(聴き応え?)がある。喋り方もディラン独特の訛りだったり、アルバムのジャケット写真そのままの立ち振る舞いだったり、しっかりと表現出来ていてなんて器用な俳優なんだ!とビックリしました。
また、シャラメだけでなくジョーン・バエズを演じたモニカ・バルバロ(あの「トップガン マーヴェリック」のフェニックス!)も素晴らしい歌声だった。
映画ではデビュー当初はカバーソングだけがレコーディングされているような印象だったが実際はオリジナルソングもレコーディングされている。
他、ウディ・ガスリーの見舞いにピート・シーガーも居合わせていたり、ラストのニューポート・フェスティバルで色んな人が居合わせいたりと映画ならではの脚色は上手いと思いました。
これがラストのウディ・ガスリーにハモニカを再度託されるという感動のシーンに繋がる。
登場人物皆魅力的だ。特にエドワード・ノートンの優しい眼差しが泣けた。彼はいつのまにこんなに歳をとったのかと思ったが、フォーク界や若きミュージシャン達や家族に対してすごく気遣いの出来るビックダディ感が出ており、ラストは結末わかっていながらも「お前、エドワード・ノートンさんの為にフォーク演ってやれや!!」とブチ切れそうになりました笑
ミュージシャンの伝記映画にありがちな薬物描写はカットされていて(その代わりなのか喫煙シーン多め)、これも時代か。と思いました。
トミーさん
コメントありがとうございます。
まさにエドワード・ノートンの新境地でした!フェスティバルの朝20代の若造達にコーヒーを配ってからゆっくり交渉に入るところなど、これが本当のイケおじだ!と思いました(泣)
ノートンさん、最後迄声を荒げないですし、斧での一撃も初音さんに制止されてますからねーこんなイイ人役は珍しいんじゃないでしょうか(彼の作品多く観てる訳ではないですが)。