劇場公開日 2025年2月28日

「ティモシー・シャラメさんの“取り憑かれた”様な演技が圧巻、素晴らしいです」名もなき者 A COMPLETE UNKNOWN Jettさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5ティモシー・シャラメさんの“取り憑かれた”様な演技が圧巻、素晴らしいです

2025年3月1日
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鑑賞方法:映画館

ボブ・ディランという人は音楽界ではレジェンド級ですごい人みたいだけど私は世代でもないので全然知らず、歌も聴いたことなく、本作でどういう人か知ったというレベルの者ですが、それでもストーリーは十分理解でき、興味深く観ることができる秀作に仕上がっています

なので実在の主人公の事は全く知らないで観たので思い入れが無く、何か特別に感情移入するくだりも無かったため至って普通の1人のシンガーのドラマだったという印象
ボブがトントン拍子で上り詰めて行くくだりが淡々と描かれ、傲りや自身の向かう道に思い悩んだり、その結果 虚無感に苛まれるやたら愛想の無い男に変貌して行くドラマの描かれ方がやや中途半端に感じたのがその要因かもしれません

良かったのは60年代のアメリカを再現したレトロで重厚感のある映像が素晴らしく、端々にジェームズ・マンゴールド監督のこだわりも感じる画力は見事、とても良かったです

そして何と言っても本作の最大の見どころはオスカーにもノミネートされているティモシー・シャラメさんの圧巻の演技だと思います
初めはおぼっこい青年だけどストーリーが進むにつれ、時折イッちゃってる様な表情や目つきも凄ければ話し方や歌を歌う所なんかもどんどんダークな雰囲気を纏いとても惹き込まれ、これまでの“ティモシー・シャラメ”を封印した完全な別人ぶりでなかなか迫力があります
これはたしかにオスカーノミネートも納得の演技です

さらに共演陣も素晴らしかった
初期のボブを導く“静”なるキャラクター ピートを演じるエドワード・ノートンさんがシブくていい演技してました
そして女性フォークシンガーのジョーンを演じる『トップガン マーヴェリック』(2022)で最高にカッコいい女性パイロット・フェニックスを演じたモニカ・バルバロさんがすごく魅力的でセクシー、強烈な印象を残します

終始謎だったのは、何故今だ存命のボブ・ディランさんの生涯をこのタイミングで映画化したのか?という所でした

Jett