「一生、吟遊詩人でホーボーなんだろう」名もなき者 A COMPLETE UNKNOWN カール@山口三さんの映画レビュー(感想・評価)
一生、吟遊詩人でホーボーなんだろう
名もなき者 A COMPLETE UNKNOWN
開演でいきなり、
ガスリーにピートシガーのトラディショナルフォークの大御所が出てきて、その前でサラリと弾き語るのにはビックリした。
ディランも彼等とは初見なので、自分も同じ体験ようで心を掴まれ、BDと同じ時代、社会、街、ライブを歌を一緒に口遊むことになった。
しかも、これがBDではなくシャラメと気づくのは後半の方だった。
公民権運動、ベトナム戦争、キューバ危機、ケネディ暗殺事件、ビートルズ旋風が吹きまくる時代背景に突然現れたボブディランとは何者か?
そんなことも知らないまま、
ホーボーとしてニューヨークに出現したフォークのプリンスと言うには影があり、それが謎でより歌詩に深みを増した。
そこには、反体制でも、反戦でもない、一時的な時流に流されていない警句と励ましと考察から生まれ絞り出された想いが言霊として音律とリズムがグルーブして吐息のよう吟遊されるディラン節がある。
BD本人もシャラメを認知した様に素晴らしいできだった。
勿論、バエズもピートもフォークの純真さ人の良さが満載で素晴らしかった。
10年前に大阪でディランのライブを観て、
まるでサーカスのMCの様だと思ったが、満更外れていないことがよく分かった。
それはガスリーの様に、
ホーボーしてその時代を吟遊詩人の様に、人肌を感じる手頃な小屋でライブを、ノーベル賞受賞しても、80歳を超えても続けて行く姿がホーボーなのだ。
ありがとう、砂の惑星のシャメラ。
( ◠‿◠ )
名もなき者 A COMPLETE UNKNOWN
2016年に歌手として初めてノーベル文学賞を受賞したボブ・ディランの若い日を描いた伝記ドラマ。
「デューン 砂の惑星」「ウォンカとチョコレート工場のはじまり」のティモシー・シャラメが若き日のボブ・ディランを演じ、
「ウォーク・ザ・ライン 君につづく道」「フォードvsフェラーリ」などを手がけてきた名匠ジェームズ・マンゴールドがメガホンをとった。
1961年の冬、わずか10ドルだけをポケットにニューヨークへと降り立った青年ボブ・ディラン。
恋人のシルヴィや音楽上のパートナーである女性フォーク歌手のジョーン・バエズ、そして彼の才能を認めるウディ・ガスリーやピート・シーガーら先輩ミュージシャンたちと出会ったディランは、時代の変化に呼応するフォークミュージックシーンの中で、次第にその魅了と歌声で世間の注目を集めていく。
やがて「フォーク界のプリンス」「若者の代弁者」などと祭り上げられるようになるが、そのことに次第に違和感を抱くようになるディラン。
高まる名声に反して自分の進む道に悩む彼は、1965年7月25日、ある決断をする。
ミネソタ出身の無名のミュージシャンだった19歳のボブ・ディランが、時代の寵児としてスターダムを駆け上がり、世界的なセンセーションを巻き起こしていく様子を描いていく。
ボブ・ディラン役のティモシー・シャラメのほか、エドワード・ノートン、エル・ファニング、モニカ・バルバロ、ボイド・ホルブルックらが共演。
第97回アカデミー賞で作品賞をはじめ計8部門でノミネートされた。
名もなき者 A COMPLETE UNKNOWN
A Complete Unknown
2024/アメリカ
配給:ディズニー