「歌そのものがドラマ」名もなき者 A COMPLETE UNKNOWN コージィ日本犬さんの映画レビュー(感想・評価)
歌そのものがドラマ
とにかくティモシー・シャラメがセクシーにギターを弾く、その歌と目つきを楽しみました。
一見物語性は薄く、ドラマ的起伏はないに等しい坦々とした作品に思えるのですが、その薄いドラマを歌とシャラメで補完してるとでもいおうか。
歌そのものがドラマ。
コロナ禍で閉じこもっていた間にギターと歌を猛練習したシャラメ自身の演奏を作中に使っているらしく、単なるモノマネではない「歌に魂を込めた」本物のミュージシャンにしか見えない、不思議な魅力に満ちたフィルムに仕上がっていたように思えました。
ジャンルに囚われず常に新しい音を探していたディランと、当時のフォークを取り巻く状況を歴史俯瞰的に見せた、ドキュメンタリー的な音楽史ドラマとしてとてもよくできていたかと。
特にキューバ危機の世相再現はすごかった。
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